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2013年4月15日 (月)

■0415■

「あたかも外国映画のようにふるまう」――『王立宇宙軍』の企画書の中で、見かけたフレーズだ。
「アムロやシャアは、本当は何語を話しているのか?」という話題は、当時のアニメックかOUTに出ていたと思う……つまり、外国人名のキャラは、外見のデザインこそ日本人と区別ないのだが、日本語に翻訳された別の言語を話しているはずである。その詐術に、あえて切り込んでくれたのが、『翠星のガルガンティア』だ。

宇宙で使われている言語、地球の言語、そしてそれらを翻訳した日本語が入り乱れるの130318ktgaruだが、そういうカットでは、人物の配置・レイアウトを(かなり)工夫しているように見える。
いずれ詳しく解析したいが、つまり「日本語は便宜的に使っているのであって、実は本物の音声ではない」と自覚しながら、作劇しているのだ。
われわれの耳に日本語として聞こえているのは、地球語か宇宙語の、どちらか。それをカットごとに意識するのは、成功/失敗以前に、必要なことだったんだ。


「あなたの見ているのは絵でしかなくて、“本物”は別のところにある」。
これを強烈に、悪意をもって感じさせてくれるのが『惡の華』。全編ロトスコーピングのTVアニメというフォーマットから感じられるのは、「これは絵に置き換えた映像ですから、“本物”がどこにあるかは、自分の胸に聞いてみてね」という、意地悪な問いかけだ。

実写映像をペイントして仕上げた『ウェイキング・ライフ』に、少し似ている。特に、「これは夢の中なのか、それとも現実か」と議論するエピソード。
あれは、「あなたが“確たる現実”と認識しているもの、それは“別の本物”をトレースしたウソなのかも知れないよ?」と、見るものを不安にさせる。

『惡の華』は、背景も詩的でいいな……と思っていたら、小林七郎さんの弟子筋に当たる秋山健太郎さんでした。陰影の深い、手描きの質感が気持ちいい。


また、旅の話題です。
クロアチア観光ツアーの最後、トロギルという小さな観光地へ寄った。
世界遺産に指定されている旧市街は、小さな島に集まっており、短い橋を渡ると、そこそこ賑わった現代風の町があった。

僕は島の雑貨屋で、ガキ向けのお菓子を買って、店員のおばちゃんと口論になったりした。そういうときは、もう英語は使わない。「そっちじゃなくて、こっちが欲しい」と日本語で言ったほうが、むしろ伝わる気がする。
Cimg1197_2(←「魚市場」と書かれた看板。市場とは関係のない、旧跡の前に置いてあった。)
どこをどう歩いても迷いようがないし、ツアー最終日だし、もう自由行動でいいや……という投げやりなオマケ気分が、心地よかった。

しかし、ここほど怪しいオジサンのふらついている町も初めてで、僕がデジカメを構えていると、よれよれのシャツを着た老人が近づいてきた。僕が場所を移動すると、その老人も着いてきた。
帰国後、友人にその話をすると、理由は忘れてしまったけど、そういう観光地には、スリや浮浪者が多いんだそうです。
確かに、橋を渡った市場には、いくらでも食べ物が転がってそうだし、暖かいから公園で寝られるし、浮浪者になるなら、ここが一番かも知れない。

僕には、その老人が、どうしても他人とは思えなかった。
――デイバッグひとつで、クロアチアはおろか、バルカン半島9ヵ国を、たったひとりで周った人の旅行記が、かなり面白い。→ これぐらいの行動力がないと、本来、人は生きていけないのではないか、とさえ思える。

(C)オケアノス/「翠星のガルガンティア」製作委員会

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