« ■0411■ | トップページ | ■0415■ »

2013年4月13日 (土)

■0413■

旧ユーゴ諸国の映画なら、何でもいいから見たい……と思って、真っ先に目に入ったのが『サラエボの花』。ベルリン映画祭でグランプリをとったせいか、南口の小さなTSUTAYAにも置いてあった。

予備知識ゼロで見たら、「戦争未亡人が主人公のようだけど、いつの話?」と戸惑ってしまうだMv36397lろう。父親が戦死した家庭の子は、修学旅行費が免除されるとか、戦争で死んだから親父は立派だとか、ごく平和な現代の風景の中で、信じられない会話が交わされる。

舞台になっているボスニア・ヘルツェゴビナは、クロアチア旅行中、バスで通過した。大きなスーパーマーケットに寄ったけど、すぐ近くの民家で、子供たちが犬を怖がっていたり、日常の光景が見られた。帰りに同じ店に寄ったら、今度は仕事を終えたばかりの労働者たちが、笑いながら歩いていた。
そもそも、そのスーパーには、日本語で「おいでやす」と書いてあったからね。平和もいいところだ。


平和を得るかわりに、何かを失っていくんだよ。主体性とか、自立性みたいなものを。

『サラエボの花』は、戦後10年ぐらいのころにつくられた作品だけど、戦争体験が、人々のアイデンティティになっている。対立も愛情も、すべて戦争をバックボーンにしている。
ラストシーンは、美しかった。屈辱的な出生の秘密を知って、母親に嫌悪感をいだいた娘。彼女が、修学旅行に旅立っていく。遠ざかるバス。母娘は、こんどは物理的に引き裂かれるように見えるが、娘はバスの最後尾から母親を見つめる。まったく会話はないのだが、娘のさみしそうな表情を見ているうちに、母親は笑顔になっていく。

ウソをつくのをやめたとき、幻滅も嫌悪も遠ざかるんだよ。ウソは、ただ生活を暗く、後ろめたくするだけだ。


憂鬱だけど、日本のことでも書きますか。
農林水産省が、『食べて応援』キャンペーンをつづけている。にも関わらず、同省の食堂では、被災地産米の利用率が、たった51%にすぎない。
僕は、その矛盾について「利用率を100%にする具体的なプランはあるのですか?」とメールで質問した。3月18日ぐらいかな。だけど、旅行に行く日が近づいてきたから、「どうして返答がないのか」と電話もしたし、メールもした。「たぶん、担当部署に質問が行っていると思うので、もう少し待ってください」と、電話では言っていた。

ところが、8日間の旅行中も、返答がなかったんだよ。だから、もう一回、「前にも聞いたことですが……100%にするプランは?」とメールしたら、やっと返答があった。
「今後とも、農林水産省内の食堂等に対して、被災地産食品の消費拡大が風評被害の払拭や被災地の復興につながること等について理解を求めつつ、被災地産食品の更なる消費拡大を粘り強く働きかけてまいります。併せて各府省庁に対しても、出先機関も含め、同様に働きかけてまいります。」

「働きかけてまいります」が、具体的なプランなんだろうか? 「働きかける」って、「被災地米を使ってくださいよ」とお願いするだけでしょ。罰則も目標もない。「がんばりますよ」ってだけ。
この、薄ぼんやりしたバカさ加減が、気持ち悪いの。なんの覚悟もないし、意地すらないし、少しも頑張ってないじゃん。仕事していくことに対して、「もやっ」とした感覚しかない。
「理解を求めつつ、働きかけてまいります」って、つまりは何も言っていない。「こんなクレーマーの一人ぐらい、舌先三寸で追い返してやろう」という、努力の痕跡すら見当たらないよね。


だから、食品による内部被曝で、たとえ誰も死ななくても、私は関東を含む汚染地産の食材は食べません。
『食べて応援』は、農林水産省の家畜どもと同レベルで「ぼーっ」とすることでしかない。生産者は「お客さんに安全な食品を届けたい」気持ちより1万倍ぐらい強く、「震災前のように儲けたい」と考えている。「何はともあれ、お金が、いっぱい貰えること」を、仕事と思いこんでいる。

「仕事」というのは、人さまの役に立つことです。役に立ったから、「お礼として」お金がもらえるだけです。
そのような公共心が、日本人にはありません。嫉妬と嘲笑ばかりで、意志も主体性もありません。

2006 (c) coop99 / Deblokada / noirfilm / Jadran Film / M. Höhne

|

« ■0411■ | トップページ | ■0415■ »

コメント

廣田様

>この、薄ぼんやりしたバカさ加減が、気持ち悪いの

これ、ちょっと前にフクイチで停電事故が発生した時の、東電と共同通信との会見の様子を思い出しました。

http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2843.html

これで給料貰えるなんて最高ですなぁ。
「これどうするの?」という問いに「頑張ります」とか答えたら、普通の会社じゃ怒られます。
具体性無きところに、成果なんて生まれるはずがないんです。

>だから、食品による内部被曝で、たとえ誰も死ななくても、私は関東を含む汚染地産の食材は食べません。

いや、僕は全日本の食品を口にしたくないですね。生きるために泣く泣く西日本産を買っているのです。泣く泣く。
ここで言うまでもなく、西日本の食品業者だって相当適当にやってますから。
ちなみに足立区代表は『大兼文喜』です。
忘れられたら困るので、敢えて貼ります。

http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1867.html

結局、フクイチの事故はきっかけに過ぎなくて、食品業界の皆さんは元からいい加減に仕事していたんですよね。
これが本当にムカつくんです。

投稿: かまた | 2013年4月16日 (火) 21時53分

■かまた様
>これ、ちょっと前にフクイチで停電事故が発生した時の、東電と共同通信との会見の様子を思い出しました。

「1+1=2」ですから、そう言いました……って感じなんですよね。それが全くダメだから、「なぜ?」と聞いているのに、彼らは答えられない。
僕が「何も言っていない」「ぼーっとしているだけ」と書いたのは、そういう意味です。彼らは、東大かどっか出てるんでしょうに(笑)。

こんな家畜国家に、税金を払いたいわけがない。

>ここで言うまでもなく、西日本の食品業者だって相当適当にやってますから。

言われてみれば、産地偽装は西日本が多いですね。
TPPで、各地のJAが反対集会をやっていましたが、産地偽装をしたJAが、今ごろ何を?と思います。

>ちなみに足立区代表は『大兼文喜』です。

刑事告発しましたが、東京地検は動いてくれません。
マスコミの大好きな「風評被害」を促進している業者のはずなのに、お咎めナシですね。

だって、『大兼文喜』は「福島産」というだけで、いきなりラベルを貼り替えましたからね。
こいつらを罰しないで、何が「風評被害」ですか?

投稿: 廣田恵介 | 2013年4月16日 (火) 22時18分

廣田様

>彼らは、東大かどっか出てるんでしょうに(笑)。

誠意のある無し、やる気のある無し、言葉が通じる通じないとか、そういう問題じゃなくて、もっと大きな断絶を感じると言いますか、絶望ですね、これは。
東電とか、公務員だけでなく、政治家までこういう物言いをする人間がたくさんいるのが恐ろしいです。
そして、こういう状況を見ても、何も感じない多くの日本人。これも怖い。

>だって、『大兼文喜』は「福島産」というだけで、いきなりラベルを貼り替えましたからね。
こいつらを罰しないで、何が「風評被害」ですか?

まさに!!
彼らの論理からすれば、福島の野菜は安全なんですから。
でも、朝7時台のニュースでアイドルが腫れた惚れたと報道して嬉々としている連中です。腹を立てるだけ無駄です(笑)

>刑事告発しましたが、東京地検は動いてくれません。

足立区の食品産地偽装業者の『大兼文喜』を告発したのですよね。
おかしいですね。『大兼文喜』は何事もなかったかのように絶賛営業中のようです。


投稿: かまた | 2013年4月17日 (水) 00時09分

■かまた様
>そして、こういう状況を見ても、何も感じない多くの日本人。

たまたま電車のとなりに座った人から、「自民党に反対なら、日本から出て行ってください」という視線を、無言で送られそうな気がします。
「自分の意見を持ったヤツはうざい」「多数意見に迎合しろ」と、僕らは義務教育で仕込まれてますからね。

>彼らの論理からすれば、福島の野菜は安全なんですから。

食べ物を「他人の口に入る大事な栄養物」とは、考えてないんですよ。
大兼文喜のような野菜卸業者だけでなく、給食センターや教育委員会も同様です。何の生の実感もなく、「ぼやーっ」と目の前の仕事を終わらせているだけ。
他人の喜び・悲しみに鈍感、無関心。

地球に住めなくなるぐらいの量の隕石を落とさねばならない、と決意したシャアの気持ちが分かろうというものです。

投稿: 廣田恵介 | 2013年4月17日 (水) 00時51分

刑事告発は警察に出さないとね。検察は人員少ないし。検察は受けるけど、殆ど不起訴になります。

投稿: 刑事告発は警察へ | 2013年9月28日 (土) 22時04分

■刑事告発は警察へ様
コメントとアドバイス、ありがとうございます。

東京地検は動いてくれませんでしたが、同様に産地擬装を行った業者を岡山地検に刑事告発したところ、ちゃんと起訴してくれましたけど?

警察だ検察だ言う前に、まずは行動しないとね~

投稿: 廣田恵介 | 2013年9月29日 (日) 06時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■0413■:

« ■0411■ | トップページ | ■0415■ »