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2013年3月21日 (木)

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月刊モデルグラフィックス 5月号 25日発売
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●ヘッドライントピック 1/12アクセサリーについて
●廣田恵介の組まず語り症候群 第5夜

今回のサブタイトルは、「削った粉が、少し肺に入った。」 副編集長が考えました。いや、凄いセンスだなと。模型誌で、しかも『ナウシカ』ネタでないと通用しないタイトルです。
モデグラといえば、創刊当初は1/8ドールとか、岩井由紀子によるコスプレとか、『ナウシカ』ではやりたい放題だったはずです。2013年の今回は、それなりに裏をかいた感あり。


福島県いわき市の郷ヶ丘幼稚園から、「2011' 福島第一原発事故から1年 郷ヶ丘幼稚園の記録」という冊子が届いた。発行は、今年2013年3月11日だが、同幼稚園の原発事故、放射能汚染に対する2011年度の取り組みが、カラー写真で記録されている。

郷ヶ丘幼稚園へは、2011年6月の、最初のいわき訪問の際、立ち寄らせていただいた。園は武田邦彦教授の講演会を主催していたが、講演会はすぐ定員いっぱいになってしまったので、せめて、使い捨てマスクを届けようと立ち寄ってみたのだった。同行してくれたSCazh1lj9 氏がミネラルウォーターを実家からもらっていたので「それも、お渡しして」と、園に寄付させてしまった。そのときの大量のマスクは、ちゃんと、この冊子にも掲載されていた。
2011年当時、それこそ九州の方から、『マイマイ新子と千年の魔法』で知り合った防府の方から、そして石黒昇監督からもダンボール何箱にもおよぶマスクの寄付をいただいた。今さらながら、ありがとうございました。

そして、この幼稚園がすごいのは、園内でつくる給食の素材を、すべて北海道産と西日本産に切り替えたところ。食材の寄付があったとはいえ、調達には考えられない苦労をした。お母さんたちの手記も載っているけど、とにかく食べ物から内部被曝するような、大人のずさんさを子供たちに押し付けるようなことを徹底的に避けている。
「食べて応援」を呼びかけているくせに、自分たちの食堂でさえ福島産食材に切り替えていない農林水産省。食材の産地を隠しつづける食品メーカー、飲食チェーン。産地偽装を行う多数の食品流通業者。恥じてほしい。子供たちの顔を見られるのか、と言いたい。

まだ情報が錯綜している事故当初、お母さんたちは子供にしてあげられることを、とにかくすべて試したわけです。中には、関東のホットスポットに避難してしまったり、効果のないことをやってしまったり……という話も載っているけど、その苦労を哂う、無能・無力・無神経な大人たち、いい歳こいた男たち。彼らにも恥じてほしいね。


ネイティブ・アメリカンの格言によると、人間は敵が遠ければ遠いほど、勇敢になるそうです。都民は「汚染は福島のこと、東京は安全」と問題を遠ざけたがる。国民は「怖いのは中国から来るPM2.5だ」と、国内の放射能汚染から目を背けようとする。「戦地は遠くだ」と思うことで、自分を騙しているわけね。

この2日ほどの間に、福島第一原発で停電がつづいていたでしょ。いつも読んでいるきーこサンのブログに、東電と共同通信のやりとりがあって、それがすごい。→
停電発生から発表までの時間がかかりすぎ。会見は、さらに12時間後の翌朝10時。「なんでそんなに対応が遅いの?」と共同通信の記者は詰め寄っているけど、それに対する東電の答えが、もう「何も言ってないし、何も考えてない」としか受け取れない。現状を追認しているだけ。
だけど、こういう「……結局、何も言ってないじゃん?」という空気のような、泡沫のよう会話、日本のあちこち、あらゆる業界で耳にする。
言葉は発しているんだけど、本質に関わることは何も言わないのが「最もダメージが少ない」「賢い切り抜け方」と、みんな覚えてしまったから。そして、本当のことを何ひとつ言わないまま、薄ぼんやりと死んでいけるような人生。それが「幸せ」とされてきた。

だって、小学四年生ぐらいのころ、「東大に入りさえすれば、どんな職業も自由」って言っている同級生がいたからね。「どんな職業も」じゃなくて、「生涯安定」ってだけでしょ。それはね、「あらゆることに対して不感症でいる」ことを至上の価値とする生き方ですよ。
無関心なんじゃなくて、不感症なんです。いかにして痛みを感じずにすむか、傷つかずにいられるか? それを追い求めているから、結果的に、責任感が鈍磨してしまっている。


土曜日から、ほんの一週間だけど、この国を離れられる。戻ってきたとき、どんな気分になっているか、楽しみでもあり、怖くもあり。

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コメント

廣田様

>この2日ほどの間に、福島第一原発で停電がつづいていたでしょ。いつも読んでいるきーこサンのブログに、東電と共同通信のやりとりがあって、それがすごい。

確かにすごい。
「不感症」という言葉がシックリきますよ、これは。
「申し訳ない」という気持ちも無いだろうし、「なんとか収束させよう」という気概もゼロ。馬鹿にされているようにも取れますが、恐らくそういう気持ちもないのでは?
ちょっと人間の受け答えには聞こえませんね、僕には。
そう・・・ATMで間違った操作をした時の機械音声で再生されましたよ、東電の回答は。

>土曜日から、ほんの一週間だけど、この国を離れられる。戻ってきたとき、どんな気分になっているか、楽しみでもあり、怖くもあり。

7年ほど前、僕が2週間ほどの欧州旅行から戻った時は「日本はやっぱりいい!!」と思い、成田帰りに真っ先に飛び込んだのは寿司屋でした。ある意味、何も考えずに済んだ、いい時代です。
今は、そんな感情は湧かないし、寿司も口にはしないでしょう。

日本に居てもいいことないですから、せめてしばし日本を忘れて、楽しい旅を。
気をつけて、いってらっしゃいませ!

投稿: かまた | 2013年3月21日 (木) 22時57分

■かまた様
>馬鹿にされているようにも取れますが、恐らくそういう気持ちもないのでは?

いや、無いですよ(笑)。せめて、僕ら庶民をバカにして「お前らは金ヅルなんだよ」と利用してくれれば怒りようもあるんですけど、そういう傲慢ささえない。
暖簾に腕押しです。無意識過剰。夢の中に生きているような人たちです。

憎悪をむき出しにした人間より、ボーッと「どっちでもいいやー」と放心している人間のほうが、僕は恐ろしい。

>ある意味、何も考えずに済んだ、いい時代です。

NHKで、だいぶ前にやった海洋汚染のドキュメンタリーを見て、それでも太平洋側の魚を食べるのなら、それはもう信仰の世界です。
文明的な態度とは呼びがたい(笑)。

>日本に居てもいいことないですから、せめてしばし日本を忘れて、楽しい旅を。

ありがとうございます。
昔から「クロアチアには行くぞ」と決めてはいましたが、今は日本を離れることに、何だか意味がくっついて来てしまいますね。


投稿: 廣田恵介 | 2013年3月21日 (木) 23時28分

廣田様

>暖簾に腕押しです。無意識過剰。夢の中に生きているような人たちです。

もしかしたら、東電はこの世界が2013年3月31日あたりで全てリセットされると知っているのかもしれませんなぁ(笑)
そして2011年3月11日から再スタート。永遠の破滅の繰り返し。だから、努力したって仕方ない、意味が無い・・・気付いていないのは、むしろお前らと。
冗談はさておき、あの態度を見ていると、こちらまで感情を殺がれそうで怖いです。

>昔から「クロアチアには行くぞ」と決めてはいましたが、今は日本を離れることに、何だか意味がくっついて来てしまいますね。

最近では何をやるにしても、意味とか責任みたいなものを意識させられますよね。


投稿: かまた | 2013年3月22日 (金) 00時34分

■かまた様
>だから、努力したって仕方ない、意味が無い・・・

ぼんやりとそう思っているのが、東電だけではないのが、怖いんです。
命をかけて責任をまっとうしてから死のう、という大人が、この国に何人いるだろう?と思います。数百人か、千人程度でしょうか。

石原慎太郎が、都知事の席をけとばして辞めたとき、マッサージ屋でおばあさんが「石原さんは、あの歳で、すごいわねえ」とウットリしてるんです。
「若い連中に、ちょっとでもマシな世界を残そう」なんて、コイツラは考えてないんだと思いました。

>最近では何をやるにしても、意味とか責任みたいなものを意識させられますよね。

いや、だから、そういう人が少数派すぎて困るんです(笑)。

投稿: 廣田恵介 | 2013年3月22日 (金) 00時48分

今月の「組まず語り症候群」、拝読いたしました。

The特撮Collection等、「大量生産品のプラモデル」が「ガレージキット的な個人技」を飲み込もうとした、あの当事のドライブ感が小学生当事の記憶とともに蘇る気分です(笑)。

当事、詳しい状況はわからないまでも、「なにかイレギュラーな要素が“プラモデル”に放り込まれている」という感覚はあったんですよね。

この連載は「金型にパンツを~」と同じく、「プラモデル造型に見る受け手・送り手の意識の変遷」とも言うべき内容で非常に楽しいです。

…というか「金型にパンツを~」の続きを読んでいる気分ですね(笑)。

旅行、気をつけて行ってらっしゃいませ。

投稿: べっちん | 2013年3月24日 (日) 01時13分

■べっちん様
本日夕方、帰国いたしました。クロアチアに、プラモデルは売っていない様子でした。
今夜から、簡単な旅行記をUPします。

>「なにかイレギュラーな要素が“プラモデル”に放り込まれている」という感覚

小学校の頃でしょ。絶対、トラウマになりますよね(笑)。
「あれ? この人たち、ゼロから手でプラモデル作ってるぞ!」って、何か土器とか石器とか、原始的な禍々しい臭いがするんですよね。決して「クリエイティブ」などではありはしない(笑)。

>…というか「金型にパンツを~」の続きを読んでいる気分ですね(笑)。

それは、副編の狙いどおりですね。「廣田さんの同人誌のパンツ特集、アレですよアレ!」と言われて始まった連載ですから、なんとなくコントロールしてるんでしょうね、彼的に。

「好きに書いていいっすよ」というのも、コントロールのうちですから。

投稿: 廣田恵介 | 2013年3月30日 (土) 22時07分

旅行帰りのお疲れのところ、返信いただき、ありがとうございます。

>クロアチアに、プラモデルは売っていない様子でした。

あ、それは残念(笑)

>今夜から、簡単な旅行記をUPします。

先ほど写真を拝見しました。月並みな意見ですが、光線の具合とか空気が日本と違って見えるというか、綺麗ですね。

>原始的な禍々しい臭いがするんですよね。決して「クリエイティブ」などではありはしない(笑)。

以前、廣田さんの言葉にあったような記憶がありますが、「欲望が転写されてる」という感じですね。
心に残りましたね、ズッシリと(笑)

>「好きに書いていいっすよ」というのも、コントロールのうちですから。

そうですね。勤め先で、企画者が原型師に仕事を振る姿をなんとなく思い出しました。

投稿: べっちん | 2013年3月31日 (日) 02時53分

■べっちん様
>あ、それは残念(笑)

場所柄、帆船の完成品はあったんですけど、ものすごいイマイチな出来でした。

>光線の具合とか空気が日本と違って見えるというか、

太陽が、真上近くにあるんですよ。
ピーカンだったのは一日だけでしたけど。

>以前、廣田さんの言葉にあったような記憶がありますが、「欲望が転写されてる」という感じですね。

そんな上手い言い方はしてない気がしますが、「やろうと思えば出来てしまう」ヤバさは、ガレージキットに感じましたね。ブレーキを「あえて壊している」というか。
そういうヤバいものしか、残っていかないんですけどね。

>勤め先で、企画者が原型師に仕事を振る姿をなんとなく思い出しました。

そんなこと書いたら、べっちんさんの職業がバレる(笑)。

投稿: 廣田恵介 | 2013年3月31日 (日) 13時47分

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