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2013年2月18日 (月)

■0218■

『バニラ・スカイ』のリメイク元である『オープン・ユア・アイズ』。
Untitled(←ペネロペ・クルス、このとき23歳。)
翌日、やはり『バニラ・スカイ』のイメージソースとなった『突然炎のごとく』を借りてきたんだが、引用元に当たれば当たるほど、『バニラ・スカイ』の独自性が、ありありと炙り出されてくる。
(やたら「何だ、パクりか」と言いたがる人は、参考書のような「正解」が作品に内在していると信じ込んでいるのだろう。)

まったく同じプロットで同じ人物を演じたはずのペネロペ・クルスは、なんと「同じ役を演じたつもりはない」と言い切っているが、確かに彼女は、2本の映画で別人のような振る舞いを見せる。『バニラ・スカイ』のほうが、ディテールが豊かだ。
例えば、ペネロペ・クルスが初登場するパーティのシーン。『バニラ・スカイ』には、ホログラフィのコルトレーンが現れる。空中に投射されたコルトレーンを、好奇心いっぱいに手で触れるペネロペの仕草に、胸ときめく名シーンなのだが……、コルトレーン=そこに存在しないはずの死者が、テクノロジーのお陰でパーティ会場にいること自体、「すべてが人工の夢である」という作品の根幹に触れているわけだ。

……ここまで書いて、ちょっと『ゼーガペイン』を思い出した。
どんなに素敵なものでも、しょせんは予兆にすぎない、という切なさが『バニラ・スカイ』の魅力なのかも知れない。
映画に限らず、僕は虚構が虚構であることを、自ら告白するシーンが好きだ。


モデルグラフィックス誌のバックナンバーで、『風立ちぬ』を読んでいたら、「創造的人生の持ち時間は10年だ」という言葉に出くわす。残酷とさえ言える、この端的な言い切りが、宮崎駿らしいと思う。自分の持ち時間が過ぎてから、若者にそれを言うのか?という、ある種の悪意が……ねえ。

宮崎駿といえば、週末に友人と飲んだとき、「飯田馬之介の『もののけ姫』は『第08MS小隊』で、前田真宏の『もののけ姫』は『青の6号』」と力説してみた。
飯田さんと前田さんが、揃って参加した宮崎作品というと、『ナウシカ』『ラピュタ』だけなんだけど、例えば『青の6号』でインタビューに行ったとき、前田さんは『未来少年コナン』の話を熱心にしていた。言われてみると、水没した滅亡後の世界でたくましく生きる人々……なるほど、共通点がある。

メモ的に書いておくと、『もののけ姫』のときの宮崎さんは56歳。『08小隊』のときの飯田さん、35歳。 『青6』のときの前田さん、37歳。
作家でなくとも、誰にでも「創造的な10年」はあると思うよ。誰にだって、「俺の『もののけ姫』」と言えるような、必然的に手を下さざるを得ない一本の仕事ってのも、あるはずだし。


明日は、ひさびさに「談話室オヤカタ」の収録に呼ばれている。『俺の艦長』について、話します。
来月は海外旅行、4月はスーパーフェスティバル参加、5月はマチ★アソビ参加。遊びの予定だけは、いろいろある。

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コメント

遅ればせながら、『俺の艦長』読み終わったので感想お送りします。
取り上げられている作品の中には僕が見ていないものも結構あったんですけど、「この船のリーダーはどんな人だろうか」と考えながら作品を見る視点が得られてありがたかったです。
ところで、これはたぶん廣田さんじゃなく出版社側に責任があるんだろうけど誤植が多かったですね。一迅社さんの校正システムは大丈夫なんでしょうか?

投稿: u.t | 2013年2月19日 (火) 15時55分

■u.t様
ご感想、誠にありがとうございます。
興味をもたれた艦長がいたら、是非、作品に当たってみてください。「本に書かれていた人柄と、ちょっと違うぞ」と思われるのではないか……、そういう仕掛けにもなっています。

>誤植

私の知るかぎり、「校正システム」というほどのものはないように思います。
「私の原稿UP→編集者が確認→各版権元へチェック出し→戻ってきたものを、私と編集者で確認・修正→編集長の校正」
少なくとも、私と担当編集と編集長の3人で見ているはずなので……せっかく買っていただいたのに、申し訳ありませんでした。

この本に限らず、精進いたします。

投稿: 廣田恵介 | 2013年2月19日 (火) 19時02分

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