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伝説巨神イデオン Blu-ray BOX 20日発売
●ブックレット一部担当
富野由悠季さん、庵野秀明さん、新房昭之さんのインタビューを担当しました。富野さんのインタビューは、かなり深いところまで聞き込むことが出来ました。読み物として、そうとう面白いはず。
記録全集の復刻版が付属しているため、箱はかなり大きいです。
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懇意にしていただいている編集者に、女装バーへ連れていってもらった。僕も彼も女装はしないけど、すごく楽しかったので、朝までひとりで店に残った。客は、いろいろ。女の人もいたし、オッサンもいたし、外国人も来た。下品なジョークが飛び交った。原発の話も出た。誰もが、自由という名の空気を呼吸していた。
性は、生まれながらに人を分けへだてる。抑圧を知った者だけが、自由を欲する。僕は酔っぱらうとキャバクラかガールズバーに行くけど、そこには「性」が屏風のように立ちふさがり、こちら側とあちら側に、僕らを引き離すのだった。僕のこれまで経験してきた恋愛は、崖をよじ登るかのごとく果てしなく、ふと気を許すと、崖から転落していることが常だった。
“彼女”たちは、自由に敏感だ。タブーに敏感だ。ウソを嫌い、自己嫌悪に悩む。社会には、女性の力が必要だ。文化には、美しさが必要だ。“彼女”たちは、その両方をどうにかして手に入れたのだ。見てくれの問題じゃない。
人生には、不可能な何かが必要だ。乗りこえられない何かが不可欠だ。
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「作家が好きで、この辺りの飲み屋を転々としている」という女性が、店に来た。僕が『俺の艦長』を上梓したことを知ると、彼女は「じゃあ、作家さんだ」と目を輝かせた。「どんなお話を書くんですか?」と聞かれたが、僕には何も自慢するようなものはなかったし、自慢する気にもなれなかった。
彼女によると、「たとえ工場で働いていても、何か世の中に訴えたいことがある人は、みんな作家さん」とのことだった。あくびをかみ殺すように、人はものを書くし、旅をする。彼女は、もう五軒も飲み屋をハシゴしていて、一度店を出て行くと、また戻ってきて、それからまた出て行って、二度と戻らなかった。
勘違いであれ何であれ、情熱的に生きた人間の勝ちだ。
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