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2012年11月 8日 (木)

■1108■

新宿バルト9で『009 RE:CYBORG』。夕方の回だと、3D上映でも1600円で見られる。
Imagescaovq39q押井守作品は、作品そのものは割とどうでもよくて、その作品にかこつけて押井さんが何を語っているのか?が楽しみなんだが、神山健治作品にも、ちょっとそういう傾向を感じている。
飽くまで、僕が取材できる立場からかも知れないが、複数のインタビューと合わせて作品を見られる状況は、ぜひとも利用したい。

たぶん、映画の傾向としては『ダークナイト』が近いんだろう。『ダークナイト ライジング』は未見だが、『009』の格好の副読本になっているような気がする。つまり、「そこそこ頭のいいハリウッド・アクション」という意味。サイボーグ戦士たちの活躍は、それぞれ用意されていて、「彼の声」や「天使の化石」にも、一応の意味は説明されているので、難解というほどでもないはず。考えたい人は、深読みできる仕組み。
なるべく多くの人を楽しませる、すっきりさせて席を立たせることが、映画監督・神山健治のミッションだったんじゃないかな。だとしたら、まんまと成功している。004の脚部ロケットの撃ち方なんて、フィギュアが欲しくなるぐらいだったし、002は出てくるたびに胸にエアブレーキがあったり、エンジンが焼ききれたり、メカ的な見せ場が用意されている。

もうひとつは、CGであることが気になるか、ならないか。
知り合いの編集者は「2D上映で見たら、手書きと区別がつかなかった」と言っていたけど、僕は正直、気になったな。デッサンが狂わなすぎると、かえって気になるもんだよ。


「文藝別冊」のロングインタビューで聞きそびれたんだけど、『攻殻機動隊』シリーズが終わって『精霊の守り人』へ移るとき、ヒロインに対するフェティシズムは、神山さんの中になかったのか? それが気になる。強い女性を主人公にするのは、飽くまでも商業的に優位だから……とのことだが、やっぱりフェティシズムはなかったんだろうな。
003の下着姿が出てきたけど、やっぱり、サービス以上のものではなかったからね。それは正直、残念な気がする。「こうまで3D美女の魅力を見せられてしまったら、もう2Dアニメは必要ないぜ」ぐらい、感じさせて欲しかった。

士郎正宗の『攻殻機動隊』は、やはり草薙素子へのフェティシズムに支えられていると思う。『攻殻機動隊2』なんて、素子のイラスト集みたいだったよね。描く動機の半分は、素子の肉体にあると思う。
003の下着姿はサービスと書いたけど、士郎正宗的なパッションはもちろん薄くて(士郎さんの絵を見せられたら、とても家族連れではいけないし)、肝心のキスする芝居が、もうひとつだった。それこそ、3Dアニメーターの技量の問題なのだろう。

それに対して、島村ジョーの彼女。あの子が座るとき、ちょっと内股になって足をクロスさせる。「おっ」と思った。あれは、意識していないと描けない。「人間って、確かにそうするよね」と気がつく瞬間は、気持ちいいよね。止め絵のモブの絵一枚でも、重心を意識したポーズが描いてあったりすると、「いい絵を見たな」と思うものな。
あと、手描きの絵って、スケベな人が描くと、どうなるか分からないじゃない? パンツが見えるかも知れないし、胸が揺れるかも知れないし、その可能性を、常に秘めているのが「絵」の魅力なんだと思う。だけど、003はスペック的に「硬い」と分かっているから、覚めてしまうんだろうな。揺らすためには、胸にジョイントを入れないといけない。スケベな監督が来たら、胸にジョイントを入れると思う。アホな話だと思うだろうけど、女をどう扱っているかを見れば、監督のスタンスも分かる。実写映画でも、ハダカだけは絶対に出さない監督っているものな。

『攻殻』のとき、神山監督は「作画にリソースを割けないので、テキスト・レベルで勝負した」という意味のことを言っていたけど、それはつまり、映像作品を撮ろうとは思っても、「絵」へのフェティッシュは薄いという意味にも解釈できる。


押井・神山両監督のファンとしては、神山監督が押井さんに宛てたラブレターとして、出来はどうなの?というのも気になる。今の押井さんが撮るにしては、やや淡白なシナリオだと思う。映画にメジャー感を与えたかったという意図は分かるし、成功もしている。ただ、「正義は伝播しない」というテーマは神山さんのものなのだから、そっちをもうちょい掘り下げても良かった気がする。
もうひとつ、キャラのCG化によって、アニメ製作のワークフローを改善したい、せめて安定したクオリティで供給できる体制にしたい……という裏テーマ。それはどうだったのかな。来週、サンジゲンへ取材に行きます。


ガンヘッド、中間モード。
Ca4tl36j河森メカは、レギュレーション以外のモードを発見できるのが楽しい。


(C)2012 「009 RE:CYBORG」製作委員会

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コメント

朝5時に目が覚めてしまいた。

サイボーグ009が映画化されるのは、9月に売ってた「pen」という雑誌でしりました。
特集で「サイボーグ009完全読本。」があったので買ってしまいました。小説も出版されてますね。懐かしいという思いで買ってしまいましたよ。半世紀生きてるとこうなるかな。
映画は未見ですが、今売ってる「TVBros」
で神山監督の見開きのインタビューが載っていて、押井守さんにも言及してます。ご参考まで。

今期のアニメは「ガールズ&パンツァー」を観てます。CGの戦車だと重量感がでないのでは?と心配してたのですが、それなりに重く描写されてます。個人的にはもう少し重くできたら良いと思います。
戦車が好きな人には受けてるようで、まずは良かったな、と思います。


投稿: DH98 | 2012年11月11日 (日) 06時04分

ガルパン今期アニメの中では最高に面白いですね
大洗も早くも聖地巡礼でかなり盛り上がってきていますし。
来月のモデルグラフィックスの巻頭特集も楽しみです

投稿: 秋山優花里 | 2012年11月15日 (木) 17時24分

■DH98様、秋山優花里様
コメントありがとうございます。『ガルパン』は、あまり真剣に見てなくて、お返事のしようがなく、すみません。
モデグラ誌の特集は、どんな切り口で来るのか楽しみです(私の連載もモノクロ・ページで始まります)。

投稿: 廣田恵介 | 2012年11月15日 (木) 21時32分

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