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モデルグラフィックス 一月号 発売中
●廣田恵介の「組まず語り症候群」 第一夜
唐突に、今月号から新連載がスタートしました。
第一回は、ちょっと『ガンヘッド』のことを語りつつ、2ページ目には、前号で掲載できなかった高嶋政宏さんのインタビューが載っています。(個人的には、ブレンダ・バーキの話が好き。高嶋さんが、ああまでフランクに話してくださるとは……)
いま、すごく便利なサポート・アイテムやジオラマ用素材が売られていて、それらを迷うことなく買える資金力もある。通販もあるし。
中学のころは、「シュロ縄で草をつくる」と模型雑誌で読んだら、そのシュロ縄とやらがどこで売っているか、足を棒にして探したものだけど、ちっとも苦痛ではなかった。買ってきて使えなかったら、別の素材を探すとか、ぜんぜん平気だった。
あの幸せな時間って、15歳前後に特有なものだったんだろうな。
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そして、今週は仕事に振り回されている。
大量のデータをやりとりしているが、ギガファイル便があまりに使えなすぎて、笑った。
問い合わせするには「専用フォームを送るから、メールアドレスを記入してほしい」。で、記入しましたよ。メアドに送られてきたURLは、専用フォームではなく、なぜかギガファイル便のトップページでした。……たったこれだけで、普段どういう仕事をしている人たちか、分かりますね。
仕事ってのは、人の時間を拝借することではないです。
僕の尺度は簡単で、たとえ数時間後がシメキリでも「自由」でありさえすれば、「いい仕事」。逆に一ヶ月後がシメキリでも、「不自由」を感じたら、「やりづらい」「自分の好きなように時間配分できない」と感じたら、その仕事は、僕には向いてない。
例えば、他の人が「明日までにインタビューを2,000字も起こすなんて、そりゃ無理だ」と思っていても、僕には出来てしまう場合がある。自分で労働時間や体力をコントロールできるなら、やれてしまう。
逆に、たった400字であっても、「寝ないで書け」みたいな態度で頼まれると、いつまでも手につかないよね。
「私が仕事を頼んだ以上、私の仕事を最優先してもらう」みたいな人、困ってしまいます。「私が徹夜してるんだから、あなたも徹夜ぐらいするよね?」とでも言いたげな人がいるけど、いつ、どのくらい寝るかなんて、僕に決めさせてほしい。
気分転換に散歩するのも、仕事です。仮眠して、すっきりした頭のほうが、気持ちよく仕事できます。たっぷり食事したほうが、脳みそが働いてくれる気がします。
それらの時間をすべて捨てさせ、「8時間みっちり机に向かって作業すれば、出来ないわけがない」という世界観の人は、創造ではなく、死に向かっている。
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さて、食品汚染に気をつけている人といない人とがいると思うけど……。
「当分の間、摂取及び出荷を差し控えるよう」と、総理大臣に言われたらどうよ?
内閣官房内閣広報室、直近の政府発表。→■ 群馬県、千葉県、福島県、宮城県、栃木県、それぞれキノコ類中心ながら、かなりの食材が出荷制限。野田佳彦名義で。
中には「摂取を控えるよう」と明示してある食材もある。ようするに、総理大臣が「食うな」と言っているわけで、「国が安全だというからには、安全だ!」と決めている人たちは、どうするんだろう? それでも食います?
「野生キノコが出荷できない」「毎年人気のキノコ鍋を、お客さんに出せない」と焦っている業者がいるそうだけど、ある部分は思ったより安全で、ある部分は壊滅的な打撃をうけている……というのが、僕の印象。
すべてが安全でも、すべてが危険でもない。
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大変お待たせしてしまっている『俺の艦長』、一迅社から、表紙のラフ(麻宮騎亜先生・画)が届きました。
都合、半年も遅れてしまいましたが、一ヵ月後には書店に並んでいると思います。お待たせしてしまって、申し訳ありません。
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コメント
MGの新連載、楽しく拝読いたしました。
「組まず語り症候群」ってタイトルからして既に良いですね。
以前より「プラモは作らずとも語るに足る存在」と断じ、「ランナー見ながら酒飲める」と言っては会社の経理の子に「ハア?」って顔された自分には、このタイトルの時点で期待がMAXに(笑)。
オマケフィギュアに焦点を当てた記事も、「人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを~」に通じる視点を勝手に感じて(笑)、大変興味深い内容でした。
この連載開始でMG購読の楽しみが確実に一つ増えたと喜んでおります(笑)。
投稿: べっちん | 2012年11月25日 (日) 01時32分
■べっちん様
ありがとうございます。
以前、べっちんさんがファインモールドのロボット兵について、「ランナー状態で十分に美しい」とツイートされていて、かなり影響されましたね。実を言うと(笑)。
パズーのランナーは、たまたまガンヘッドの箱の近くにあっただけですが、「呼ばれた」気はしましたね。
>オマケフィギュアに焦点を当てた記事も、「人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを~」に通じる視点を勝手に感じて(笑)
編集者から「同人誌にあったパンツの記事、あれでいいんですよ」とアドバイスされて、「だったら、書きたいことは山ほどあるよ」と、道が開けたんです。だから、大当たりです(笑)。
ガンプラ・ブーム前のHJ誌に、「クルマで自動車のキットを買いに行って、信号で止まるたびに箱を開けてニヤニヤしていた」という記事があって、すごく粋に感じたものです。
投稿: 廣田恵介 | 2012年11月25日 (日) 01時59分