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『輪廻のラグランジェ』 SEASON 2 第2巻 26日発売
●ブックレット構成
この巻から、原画を載せるようにしました。原画は普通、スキャンされないので、スタジオの手間を減らすためにも、まったく動きのない一枚絵を選びました。
アニメ誌の編集者とも話したのですが、最近は、原画マンの名前を掲載しづらいというか、掲載しても無意味に感じることがあります。というのは、ラフにレイアウトを描いた段階で作監修正が大きく入り、それに基づいて原画を描く、もっと言うならレイアウト段階でタイムシートも書いてしまい、原画そのものはラフにしか描かない場合が増えている。
だから、昔のように「原画マンの個性」などと言うよりは、作監とのチームプレイの妙味を前面に出した方が正解という気がします。
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『さくら荘のペットな彼女』、第3話をもう一度、見てみた。
プロットは単純で、ヒロインがイケメンを伴って、ラブホテルの取材に行く。そのイケメンに片思いしている先輩が、主人公を連れて2人を尾行する。
ラブホテルに入る2人を見下ろす歩道橋の上、元気だった先輩は、とうとう弱音を吐く。主人公が振り向くと(ここでPAN-DOWNするのがいい)、歩道橋の手すりにもたれて、先輩は泣いている。「私、帰る」と立ち上がった先輩。歩き出してからも、「帰る」と繰り返すところがいい。情緒が出ている。
ひとり残された主人公が、ふたたびラブホの前の2人を見ると、歩道橋の手すりに先輩の涙が落ちているのが、チラリと映る――ということは、帰ってしまった先輩の感情も汲みとって、主人公は行動するわけだよね。ということを、手すりに残った涙で語っている。
ただ、僕の見方は、20代のころにATGの映画を「いい」と思って見ていたのと、そう変わらないような気がする。ようするに、見方が古いのだ。
アニメーションのカメラワーク、構図には、本当に独特の楽しみ方がある。それは秘密でもなんでもなくて、誰にでも発見できるはず。自分の目を、信じてさえいれば。
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311前に、日本人が食べていたお米の中の放射性物質は、0.02ベクレルと言われる。
今は、100ベクレルをオーバーしたものさえ、流通している(自治体の測定が、いかにいい加減かは、彼らとメールをやりとりしていれば分かる)。
土壌の放射能汚染は、311前は30ベクレル程度だったが、いまは都内でも3万5千ベクレルなんていう場所がある。
先日、「放射能汚染とか、どこのSFだよ」と笑っている人がいて、ちょっと可哀相になった。そこまで割りきった人にまで「現実を見ろ」とは、僕には言えない。
東京大学のアイソトープ総合センターが、今年の春、東京と福島でマスクを使った実験を実施。→■
東京都で最大、0.60ベクレルのセシウムが、マスクに付着していた。……という事実を受けとめた上で、気にしないなら気にしない。マスクしたい人は、する。他人の判断に、文句は言わないこと。
僕は、「東京は汚染されている」程度の認識はあるけど、「もう東日本には住めない」「子供がいっぱい死ぬ」という言い方は、下賤だと思う。よく調べて、よく注意して生きている人も、いっぱいいるのに。
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前回の仕事が終わってから、一日に1~2本は、外国映画を見るようにしている。『ブギーナイツ』、『ジョニーは戦場に行った』、『ベンジャミン・バトン 数奇な運命』など。
ロシアのユダヤ人楽団が、フランスへ公演に行く『オーケストラ!』が、面白かった。旧ソ連でのユダヤ人排斥政策が、映画のバックボーンになっている。そういう映画は、やはり原語で鑑賞するのが礼儀という気がする(ロシア語もフランス語も、区別つかなかったけど……)。
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