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モデルグラフィックス 12月号 25日発売予定
●月刊8JO
今月も『ガンヘッド』ページに執筆させてもらいました!ひとつめは、ブルックリン役・高嶋政宏さんインタビュー。高嶋さんは、とってもフランクな方で、撮影~公開当時のトホホな状況を、ユーモアを交えて語ってくださいました。(未掲載です、すみません。)
もうひとつは、「ガンヘッド・ストーリー捕捉辞典」。あの説明不足な映画の裏側で、どれほど膨大な設定が動いていたのか、当時のムック本からデータを吸い上げ、ぎっしり書き込んでみました。
イベント上映会が行われるそうですが、僕のスタンスはやはり、「今ごろになって名作あつかいすんな!」です(笑)。
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月曜・火曜とつづけて『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』、前・後編を見てきた。テレビ・シリーズを見て「十分に把握した」という人は、無理して見る必要はない。それほど誠実にまとめられているので、「テレビ12本を見る気力はないけど、とりあえず知っておきたい」という人向け。
もちろん、映画用に背景をガラリと入れ替えたり、エフェクトを加えているのはよく分かったし、ほほの二重線や瞳のランダムなタッチは、大画面に映える。
誰にでも伝わる話ということは、それはつまり、テキストとしての完結性が高いということでもある。このまま、戯曲の台本に使えてしまえそうだよね。
ほかの作品でも、「何よりもホンが大事」という話は、よく聞く。
シナリオって、最もお金のかからない工程だし、逆にシナリオによって全体の予算を想定できる。絵がショボくても、シナリオで救われる場合がある。大事なのは分かる。
でも、コンテを描きながら、その先のストーリーを手探りしていく宮崎駿式の「絵づくり」のほうが、なぜか信頼できる。論理ではなく、絵で説得されたいというか……。
吾妻ひでおは『うつうつひでお日記』で、『千と千尋の神隠し』後半の水上列車のシーンを、こう評している。「宮崎さんの作品には必ずこういう一見ドラマが止まってしまうようなタメのシーンが挿入されていて それが後に感動を誘う」――言われてみれば、そうかも知れない。
『劇場版 まどか☆マギカ』で言えば、さやかと杏子が初めて戦った後、水道管から水が滴る。ああいう“余韻”だけで成立したようなカットが好き。
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文学性ということで言うと、『さくら荘のペットな彼女』です。期待どおり、すごく面白かったんです。第3話。ヒロインを天才画家だと知ってしまった主人公の動揺ぶり、周囲への視線の変化、そこから生じる逃避と焦り、すべてが完璧な必然性に支えられている――が、ドラマとして完成されているがゆえに「これでいいのだろうか?」と不安にかられる。
理に落ちすぎていると、結局は「面白くない」ですよ。「理外の理」が欲しいんですよ。
くやしいぐらい脚本はよく出来ている。だけど、りんたろうコンテのEDアニメをカットしてまで、各キャラの寝姿を映したラストが一番よかった。
ヒロインは、うずくまって寝ている主人公に、次々といろいろな色のタオルをかけていく。どんどんアクションの間隔が狭くなり、どんどんリズミカルになっていく。意味はないけど、「ドラマを止める」と美しくなる――それは、間違いない。
(絵を止めるんじゃないよ、ドラマを止めるんだよ。)
EDテーマが終わり、明け方、ラブホテルを出た2人。主人公が声をかけると、ヒロインが振り向く。そこに、まばゆい朝陽が、まだ暗いビル街から差し込む。こういう瞬間を、いつも待っているんだ。
その痛々しいほどの朝陽。それを成立させるために、ドラマが組まれるのだ……とさえ、僕には思える。
(C))Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS
(C)鴨志田一/アスキー・メディアワークス/さくら荘製作委員会
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コメント
さくら荘 3話もおもしろうですね~
投稿: みつぐ | 2012年10月23日 (火) 21時23分
■みつぐ様
コメント、ありがとうございます。
第3話、まだですか? 面白いですよ~!
投稿: 廣田恵介 | 2012年10月23日 (火) 21時34分
廣田様、
最近娘の撮り貯めたまどマギのTV編を穴があく程観返しています。
映画に関しては時間があれば行きたいのですが、仕事や家族の事で時間が取れずとほほな状態です。(アイアンスカイも行きたいのに行けない状況です)
>『劇場版 まどか☆マギカ』で言えば、さやかと杏子が初めて戦った後、水道管から水が滴る。ああいう“余韻”だけで成立したようなカットが好き。
ここのTV版シーンも水滴を上手に使っていてますね。
ほむらがさやかを助けるシーンの水滴にほむらの影が写ってるところなど好きですね。(これは何回かスロー再生にして観て初めて気が付いたんですがね(^ ^;)
投稿: やっさん | 2012年10月25日 (木) 21時42分
■やっさん様
それだけ繰り返して見てらっしゃるなら、映画版は、細部がけっこう違いますから、楽しめると思います。
「あ、このシーンはテレビ版のほうが良かったのに!」という箇所が、いくつかありました。
>ほむらがさやかを助けるシーンの水滴にほむらの影が写ってるところなど好きですね。
そうでしたっけ。「オトナアニメ」で記事にしたシーンは、よく覚えてるんですが……。
テレビ版の、じわじわ展開していく感じが、僕は好きです。
>(アイアンスカイも行きたいのに行けない状況です)
いま調べてみて気がついたのですが、『アイアンスカイ』はPG-12指定なんですね。
映倫HPによると、「性的台詞及び殺傷がみられる」……うーん、そうだったかな(笑)。
投稿: 廣田恵介 | 2012年10月25日 (木) 22時58分