■0920■
松屋銀座、『ベルサイユのばら』展へ。左は、物販コーナーにあったポップのひとつ。ポップは、どれもマニアックで楽しかった。
僕は、1979年公開の実写映画で、初めて『ベルばら』に触れたので、漫画を読んだのは、中学生になってから。
会場は、生原稿の展示がメインで、ストーリーをダイジェストで追えるようになっていた。オスカルに求婚するジェローデル大尉が「人の心に、命令はできませんぞ」と言っていたのは覚えていたが、「人の心に命令はできない」は、オスカル自身のセリフだったのか。
この言葉を、ひさびさに会場で見て、胸が震え、もう少しで涙が出るところだった。
男性として育てられたオスカル、平民と貴族の出自の差に悩むアンドレをはじめ、フェルゼンとマリー・アントワネットの浮気を泣きながら許すルイ16世にいたるまで、『ベルばら』は、心の自由についての作品だったのだなあ……と。
池田理代子さんのインタビュー映像も流れており、「人の心に命令はできない」というセリフは、早い時期から、オスカルに言わせるつもりだったようだ。
僕は、小学校6年生まで、髪を長く伸ばし、男と認識されることに抵抗していた。中学進学と同時に髪を切り、男子の制服を着せられ、僕は「男のなりそこない」になった。
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中学時代は、体育の授業がつらく、特に、水泳は積極的にサボった。
高校になると、野球部の生徒が、教師たちから優遇されていることを知った。その野球部の部員や、体育のできる他クラスの生徒からマークされた僕は、ケガをしない程度にいじめられていた。
体育のできる生徒は人気があり、同調圧力もあったから、昨日まで一緒に弁当を食べていたクラスの者が、「廣田といっしょにいたら、巻き添えをくう」とばかりに、いきなり口をきいてくれなくなったりした。
……俺は、生徒会活動に精を出していたし、恋愛もしていたから、放課後や文化祭は楽しかったけどね。生徒会と恋愛がなかったら、たぶん登校拒否になってたんじゃない?
だけど、「体育が得意」というだけで、こんなにも大いばり出来て、裏でどんなに陰気なことをやっても帳消しになるのかって、身をもって痛感したのが高校時代だった。
だから、先日の日記(■)に書いた警官のようなヤツを、僕は心のそこから軽蔑している。間近で怒鳴りあってみて、実感したよ。「コイツとケンカしたら、確実にコイツが勝つ。それが分かっているから、コイツはいばってられるんだ」って。
どんなに怪しい外国人でも、「こいつに殴りかかられたら負けるかも知れない」と思ったら、警官は応援を呼ぶだろう。だけど、僕らは、ナメられたんだよ。「2人がかりで来られても、勝てるぞ」って。
(友人は別だが)僕は「男という生き物」として、不合格なわけ。高校時代に、それは決まっていたと思う。僕が体育の得意なヤツから、力いっぱいボールをぶつけられても、大部分のクラスメートは、見てみぬフリだった。
僕の場合は、生徒会役員に立候補したりしていたから、「いじめられている」というほどではなかったのかも知れない。ただ、肉体の優劣が、構造的に差別を生み出すのは間違いない。
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警官に呼び止められて感じたのは、「日本にも、人種差別はあるんだな」ということ。こんな当たり前のことに今さら気がついて、外国人の方たちに謝りたい。
友人はペルー出身だから、目鼻立ちがくっきりしている。書くのもくやしいけど、それが呼び止められた理由だろう。僕らのほかに、外国人は何人も通ったけど、みんな白人なわけですよ。国籍ではなく、外見で彼らは許されている。
『クラッシュ』という映画に、相手が黒人というだけで「ちょっと事情聴取してやろうか」ってセクハラする白人警官が出てくるけど、深川署の警官も、まったく同じだよ。
『扉をたたく人』という映画では、アラブ人の青年が、何の理由もなく地下鉄で警官に捕まるけど、同じことが日本でも起きてるんだよ。いちばん薄汚いのは、外見で人を疑うお前たちだろう?
警察官は「体育ができるから優遇されている生徒」のなれの果て。ただ優越感にしがみついて生きているだけの、哀れな生き物。「人の心に、命令はできない」。この言葉を、深く胸に刻んでおこう。
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一ヶ月ほど前、広島県の三良坂きのこ産業が、基準値ごえのシイタケを流通させてしまったが、今度は静岡県の食品加工会社、大塚フードから出回っている。
今年二月の回収から漏れてしまった汚染シイタケが、新潟県その他に出回っているらしい。「らしい」というのは、一体どこに流通してしまっているのか、静岡県が教えてくれないから。
厚生労働省や農林水産省は、「基準値ごえの食品は市場に出回っていません」というパンフレットを作っているけど、出回ってるじゃん! 食品メーカーや県に電話してみ? ろくに検査してないことが分かるから。
今回も、一般市民が独自に測定して、やっと発覚したぐらいだよ?
俺は、こんなズサンでデタラメな官公庁や食品業界の仕事を認めてないし、こいつらが楽をしたお陰で寿命を縮めたくないから、汚染食材を避けている。
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