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2012年9月18日 (火)

■0918■

本日は、友人が警察官から侮辱されたので、そのことを書きたいと思います。
明治大学のレナト・リベラ・ルスカ講師は、ペルー生まれのイギリス人で、日本のアニメを海外に広めるため、国内外で取材をしている仲間です。
石黒昇監督のご存命中、大学の学生たちをアニメ・スタジオへ見学に行かせるなど、積極的に活動しています。


本日は、レナト氏と2人で、東京都現代美術館へ向かいました。
ところが、美術館の前では、外国人男女数人のグループが、「やれやれ」と肩を落として、帰ってきます。
昨日月曜が祭日だったため、美術館は閉館だったのです。私はリサーチ不足をレナト氏に詫び、地下鉄の駅へ引き返すため、2人並んで、ゆらゆらと歩きはじめました。

レナト氏は三鷹駅前で、警官に呼び止められた話をしはじめました。
彼が、普段から自転車で行動していることは、よく知っていましたが、その日は「この外国人は盗んだ自転車に乗っている」と警官に決めつけられたので、ちょっとキレてしまったという話を、笑いながらしてくれたのです。

僕らが道で笑っていると、背後から警官が近寄ってきました。
20120918_161020359深川署・現代美術館前交番の田村一樹という、若い巡査でした。彼はレナト氏の外見を見ただけで「不法滞在している外国人かも知れないし、犯罪にかかわっている可能性もあるから、身分証を提示してほしい」と言うのです。

そのくせ、自分が警察手帳を見せるのは、ゴネました。
「いま、警官の職務質問がYouTubeにアップされてるから、撮影は別問題」と田村巡査は言っていました。なるほど、他人を疑うくせに、自分の言動は記録されたくないのか……。
僕は、スマホをビデオ録画モードに切り替えました。そこから後の会話は、すべて録音さているし、田村巡査の顔も、ちゃんと撮影されています。
ただ、ここでは顔はUPしません。上の写真は、動画データからキャプチャしたものです。


虎の威をかる狐との押し問答は、20分近くに及びました。
田村巡査の言いぶんは、「外国人には、身分証を見せる義務がある」の一点張りです。「何もしてないのに、そんな必要はないだろう」と、僕が怒ると、田村巡査は「ここで見せないということ自体、疑わしい」と言います。

あげく、(ここまでレナト氏をかばうのなら)「あなたの身分証も、提示してもらわなくてはならない」。「身分証を見せない場合、罰金を払ってもらう」。「ここで話をするのが嫌なら、交番まで来てもらう」。「どうせ、あなたたち2人は、一緒に暮らしているのだろう」。

僕らはね、特撮博物館展を見にきて、閉館だったことを知り、心からガッカリしていたんです。
そこへ後ろから自転車で寄ってきて、「身分証を見せてください」と言われたら、「一体なぜ?」と理不尽に感じますよ。
僕は、「美術館に行こうとしたが、閉館だった。だから、帰る途中なんだ」と説明しましたが、「あっそーですかー」「ふーん、ふーん」と田村巡査は、まるで信用していません。

根負けしたレナト氏は、ついに身分証を見せました。「ありがとうございます」と口では言いつつも、田村巡査の表情は変わりません。人を信じてない目。虫を見るような目。
「外国人の方は、これからも、ご協力をお願いしますよ」と田村巡査が言うと、レナト氏は怒鳴りました。「協力というのは、お互いにするものでしょう? いま、あなたは僕の時間を無駄に奪っただけで、何もしてくれていない!」
「いえ? 身分証を見せていただいんだから、協力ですよ?」……権力の最下層、ションベン臭い場末のお巡り風情ですら、こういう考え方をしている。相手を屈服させることを「協力」と信じ込んでいる。いま、日本の自治体、官公庁、学校、すべて同じ考えをしている。 


「あなたは、人間として、どんな世界が理想だと思っているの?」 レナト氏が聞くと、田村巡査は「(理想の世界など)そんなもの、ない」と答えました。そして、付け加えるように「犯罪の起こらない町」。――いま、録音データを聞きながら書いているが、違うよ。犯罪は、君たち警官がつくり上げるんだ。間違いない。
お前たちが、この狭い日本を切りきざみ、あちこち立入り禁止にし、みんなをストレスの渦に叩き込むんだ。

レナト氏は、「体格のいい外人は、僕のような目には合わないんだよね」と、寂しそうに笑いました。
確かに、田村巡査は、すぐ横を通りすぎた背の高い白人を、無視しました。僕は、レナト氏が外見だけで疑われたことが、心の底からくやしい。涙が出る。

彼は「日本が好きで、この国にいるはずなのに」と呟く。だからこそ、今日だって特撮博物館に行こうとしたんだ。日本語だって、漢字を書けるぐらい勉強したんだ。
そんな彼を、お巡りは犯罪者扱いした。外見だけで。

僕は、日本という国から、宣戦布告されたような気分なんです。

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コメント

ヒドいよ...それで仕事してると錯覚して安心しちゃうんだもんね。最悪だね...ああ、気分悪い。レナトさん、素敵な人だね(o^-^o)

投稿: ごんちゃん | 2012年9月19日 (水) 09時35分

■ごんちゃん様
警察官は「仕事した」とすら思ってないよ。彼らは、相手を屈服させ、言うことを聞かせ、優越感を得るためにやってるんだよ。レイプと同じ。

投稿: 廣田恵介 | 2012年9月19日 (水) 10時09分

ヒドイですね!!

私も警察で良い思いをしたことがありません。

独り暮らしをして間もない頃、車上荒らしにあった時。
質問が全てセクハラでした。
こっちは、独り暮らし始めてただでさえ不安な中、車上荒らしで怖い思いをしているのに、セクハラ質問。

それから、ゲイの友人と深夜ドライブしていて、バンパーが全てすっ飛ぶ当て逃げされた時。
1時間以上待たされた挙げ句、「こんな時間に男女2人でどこいってたのぉ?だから事故に合うんだよ。」と、いかにも2人がラブホ帰りだろと限定した言い方で、友人も屈辱を受けたわけだし、腹が立つのを通り越して、なんて可哀想な人なんだろうと情けなくなりました。

レナトさんは、本当に素敵な方ですね。
その警官は、自分の小ささに気づいて欲しいです。


投稿: ナトー | 2012年9月19日 (水) 10時58分

■ナトーさま
ネットで検索すると、ほぼ毎日、警官は何かしら問題を起こしています。
事件を悪用したセクハラ質問、警官ならではだと思います。あと、教師もセクハラ(というより性犯罪)が多いですね。
その立場を利用しないと、まともに異性と向き合えない連中……。

高校・大学で体育会系が威張り散らし、大人たちから優遇され、不正を見逃してもらえるのと、まったく同じ構造です。
体力があり、権威のある人間が、そうではない人間を抑圧することで、国家の「秩序」が成り立っている。

レナトさんは、「自分が何をしたのか、今夜、よく考えてごらん」と田村巡査に言ったのですが……。

投稿: 廣田恵介 | 2012年9月19日 (水) 11時15分

最近の警官はこんなことをするんですか。
ちゃんとした教育を受けてきていないかわいそうな人ですね。
最低ですね。
最低な人間しかいない環境で育ったんでしょうね。

投稿: ypsilon | 2012年9月19日 (水) 11時23分

■ypsilon様
コメント、ありがとうございます。
教育、環境の力は大きいでしょうね。それらが、いびつな方向へ向かうと、今回のような事態が起きるのでしょう。

権力を後ろだてにすると、弱い者いじめしたくなるようです。

投稿: 廣田恵介 | 2012年9月19日 (水) 12時04分

特撮博物館、残念でしたね。
この巡査に会われたのはもっと残念でした…
身分証明書(外国人登録証改め在留カードですかね)は携帯義務があるので、提示を求められた場合は見せるしかないとは思いますが、この巡査の態度では、交番についていくどころか、むしろこちらが署に連れていきたいくらいですね、まったく。

ただ、声をかけた時点では、「まちがいなく外国人に見える」からというだけの理由だと思いますよ。
その後の対応は未熟で不快ですが、巡査にとっては
「声をかけやすい良い外国人にみえた」というのが正解だと思います。
日本語を話していた、というのもあると思います。安心して声をかけたのでしょう。

投稿: kyasリン | 2012年9月20日 (木) 00時08分

■kyasリン様
最初は「特撮博物館へ行く外国人の方は、ご注意を」と書くつもりでしたが、それは違っています。僕らの横を、何人かの白人が通り過ぎましたが、田中巡査は、彼らにはまったく声をかけませんでしたから。
深川署内に、人種に関する差別的ルールがあるのでしょう。

>むしろこちらが署に連れていきたいくらいですね、まったく。

このブログを見た方からの情報にもとづき、公安局への訴えも検討中です。

>「声をかけやすい良い外国人にみえた」

それは、チンピラが「ケンカしても絶対に勝てる相手」にしか絡まないのと、まったく同じ動機ですよね。
「良い外国人」とは、レイシストの警官の言うことを無条件に聞く、奴隷のような人のことでしょうか?

ちなみに、友人は日本語ぺらぺらですが、田村巡査は「どうして、そんなに話せるの?」と、ジトッとした目で疑っていました。
それは、頑張って勉強したからに、決まってますよ(笑)。

投稿: 廣田恵介 | 2012年9月20日 (木) 00時39分

>何人かの白人が通り過ぎましたが、田中巡査は、彼らにはまったく声をかけませんでした

田中巡査は英語が苦手で、白人=英語を話す人と思い込んでいる人とか…。
おそらく人種差別ではなく言語差別でしょう。

巡査はおふたりに「失礼ですが、外国人の方の証明書をチェック中ですので見せて下さい。」という英会話を教えてもらえる良いチャンスだったのに!
(日本語での話しかけ方は、廣田さんの訴えにより公安局から教えてもらえるかもしれませんね)

>それは、チンピラが「ケンカしても絶対に勝てる相手」にしか絡まないのと、まったく同じ動機ですよね。

いえ、道を尋ねたい時に、相手にしてくれそうな人を探してから声をかけるのと同じです。

>「良い外国人」とは、レイシストの警官の言うことを無条件に聞く、奴隷のような人のことでしょうか?

いえ…この場合はその巡査のような失礼な態度をとる人に20分もつき合える親切な人のことだと思って下さい…

心の優しさが顔の表情に現れている人は話しかけ易いんです。
巡査を擁護しているわけではなく、ご友人の風格を想像してるところです。

>ジトッとした目で疑っていました。

巡査の人相を想像してるところです…
疑ってたんじゃなくて尊敬のまなざしがそんな風に見える人相だったとしたらお気の毒で…(笑)

>それは、頑張って勉強したからに、決まってますよ(笑)。

そうですよね。私も南米から来た友人が多くいますが、漢字を使わない国の方の日本語の勉強ってとても大変なんですよね。
日本語が話せる人、頑張ってかなは読める人、は多いですが、漢字を書けるようになるには相当のご苦労があったと思います。

次回は特撮博物館で楽しく過ごせて、帰路にも何か嬉しい出来事がありますように。

投稿: kyasリン | 2012年9月20日 (木) 10時24分

■kyasリン様
僕も友人も、不愉快な思いをさせられた当事者なのです。友人は、法律を調べなおして、どうすれば同じ目に合わなくてすむか、対策を練っているところなんです。

こうしてコメント欄を解放していることだし、「僕の意見に同調しろ」と言う気は、毛頭ありません。
しかし、あなたの言い方には違和感をぬぐえません。

>心の優しさが顔の表情に現れている人は話しかけ易いんです。

誉めてくださったのかも知れませんが、受け取りようによっては「痴漢される人は、思わず触りたくなるような立派な体つきをしているものなんです」「痴漢されても、黙って我慢しちゃうような大人しい人が狙われるんです」という、犯罪擁護の理屈と同じに聞こえます。

レイプされた人に「犬に噛まれただけ」となだめたら、本人は、ますます傷つきますよ。
実害を相対化して、「思ったよりも軽症ですよ、良かったですね」なんて言っても、慰めにはなりません。

あなたなりに考えて書いてくれたことには感謝しますが、正直、あまりいい気持ちはしません。ごめんなさい。

投稿: 廣田恵介 | 2012年9月20日 (木) 12時43分

説明しようとすればするほど不快にさせてしまうようですみませんでした。

(意図しない「うけとりよう」は悲しくて反論したいところですが、ここは廣田さんのブログで、廣田さんがそうおっしゃっているので控えます。せっかく教えていただいたので、今後気をつけます)

身分証明書というものは外国人云々抜きにして、「疑わないでよね」と主張するためにあるものだと思っていたので…それを拒みたくなるやりとりだったと理解しました。だから、最初からそう書いてあるだろう、って言われそうですが、勘違いの可能性もあるかな、と思ったんです。ご友人がそんなに疑わしい人に見えるはずないと思って…
提示されている人種差別の件だけ読み取ればよかったですね。
「ペルー」や「ブラジル」に反応してしまうんで…すみません。

話がずれますが、私が住んでいる地域では外国人=南米の人といってもよいくらいで、外国人だから、という差別による嫌な思いは南米から来た友人たちとともに長い間してきました。私の友人たちは、南米から来た人に偏見をもっている日本人より慎ましく勤勉で真面目でしたが、一部の人の行動で、「外国人」とひとくくりに非難されてきました。文化の違いによるすれ違いが主な原因でしたが、戦うのではなくお互いに理解してもらうことから始めました。(「共生」という言葉がよく使われます)。

えー…2時間以上かけてもつづきがまとめられないのでここでおしまいにします。下手な文章で不快にさせるたびに読むだけにしようって思うんですが、ついつい…ごめんなさい。
今の気持ちは、しょぼん…です。

投稿: kyasリン | 2012年9月21日 (金) 01時41分

■kyasリン様
インターネットで、すべては解決できません。よく、相手を論破することを目的にしている人がいますが、ネットは(仮)のものなので、不可能だろうと思います。
だからこそ、ブログもソーシャルネットも消去と解約が可能だし、何度でもやり直しが可能なのでしょう。

反面、人生は、ほとんど回復不可能な出来事の連続のように、僕には感じられます。
警官に呼び止められたことによって、確実に何かが失われたのです。考えれば考えるほど、僕は自分に何が欠如しているか、気がつかされます。
それは、こうしてネットに書くことでは、取り戻せません。穴は埋められません。

ネットに書けることは、せいぜい「途中経過」ではないでしょうか。

投稿: 廣田恵介 | 2012年9月21日 (金) 09時52分

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