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2012年9月14日 (金)

■0914■

EX大衆 10月号 15日発売
Ex_taishu
●吉本りさ グラビアポエム執筆
何年ぶりかで、グラビアポエムを書きました。
写真も明るい感じだし、ページタイトルも「ラブタンバリン♪」と能天気なものなので、以前のセンチメンタルな癖が出ないよう、いろいろ気を使います。

ポエムにかぎらず、書き出しが決まらないときは、プラモデルを作るといいです。「パーツに触れる、組み合わせる」という、やや複雑な刺激を指先に与えると、脳が仕事してくれます。


昨夜は、レンタルで『夏時間の庭』。
Imagesフランス映画は、ひさびさだ。学生時代、友だちの彼女がエリック・ロメールの映画ばかり見ていたことを、思い出した。
……というか、40歳をすぎた芸術家肌の快活な長女役は、ジュリエット・ビノシュだったのか! 我らも、歳をとったのう。

僕は海外旅行したことないので、この映画に出てくるようなフランス郊外の緑なす広大な庭、19世紀そのままの骨董品の散りばめられた別荘のような家、老いた母の誕生日を祝うため、子どもと孫が集まって屋外でごちそうを並べる……などのシチュエーションに、心地よい距離感をおぼえる。

この家の主である老女は、芸術を深く愛し、3人の子どもたちに、貴重な骨董品を遺産として残そうとする。
子どもたちが忙しく都会へ帰ったあと、彼女は夕闇のせまった部屋に、ひとり座っている。外はまだ、ほんのりとグレーに染まった程度で、鳥の鳴き声がしている。そのシーンが、しっとりと美しくてね。
世界のあちこちを旅行し、美術館にも通い、歴史や美術に詳しかった母のことを思い出す。そもそも、母の実家はお金持ちで、お爺ちゃんの家の応接間はあきれるほど広く、大きなガスストーブが置いてあって、分厚いガラスの向こうの炎を、僕はあきずに眺めていた。
……そんな様々を思いおこさせてくれる、感傷的な映画。


『おおかみこどもの雨と雪』、三回目。
Sub5_large一緒に見た女性は、現役お母さん。話を聞いてみると、親と子の関係って過去ではなく、「今とこれから」の問題みたい。僕は親になれなかったので、親子関係を、過去形で語らざるを得ない。
細田監督は同い年なんだけど、かなり幸せな育てられ方をしたんじゃないかな。

もうひとつ、「花」と「雨」と「雪」は、名前としてだけでなく、現象として劇中で描かれる。
『羅生門』の冒頭だっけ、黒澤明が「このシーンの主役は雨だ」と言ったのは。キャラクターを食うぐらい、自然現象が存在感たっぷりに、描かれている。
つまり、文芸的にも映像的にも、物理現実との親和力が強い映画。雪が、おおかみである正体を自らさらすシーンでは、窓から吹き込む雨の力を借りている。
あるいは、雨が初めて本能的に狩りをするのは、雪の降った日だった。雨と雪の野生が、ある瞬間から、逆転していく。

……そんな屁理屈でしか、この映画にアクセスできない僕は、人の営みに追いついていない。『夏時間の庭』でも、似たようなことを感じた。
くやしいけど、「家族」は人格形成のルーツなんだろうな。

では、明晩20時、「富野由悠季監督×ティモ・ヴオレンソラ監督特別対談」()でお会いしましょう!

(C) 2008 MK2 SA-France 3 Cinema
(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

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コメント

廣田様、

おおかみこども、先ほど下の子どもと見てきました。

映像の美しさ、ストーリーのテンポの良さであっという間に終わってしまった感じです。

子どもってきっとふっと親からはなれて行ってしまうんだなぁ...見終わった直後そんな事をぼんやりと思っていました。


後ものすごく感じたのは無駄なシーンが一カ所も無い事。当たり前かもしれませんが、先日見たコクリコがあまりにひどかったのでそんな事まで思ってしまいました。

投稿: やっさん | 2012年9月15日 (土) 21時32分

■やっさん様
そろそろ上映も終わりかな?という時期に、お子さんと見られて、本当に良かったです。
『マイマイ』以上に見に行く相手を、選ぶ映画かも知れません。

>子どもってきっとふっと親からはなれて行ってしまうんだなぁ...見終わった直後そんな事をぼんやりと思っていました。

雨は10歳ぐらいでしたけど、精神年齢は、人間の18歳ぐらいなんでしょうね。
「もう、親には甘えたくない」という意志が芽生えたのは、その頃だったような。

別れのシーンは、決然としていて、苦いけど綺麗でしたよね。

>先日見たコクリコがあまりにひどかったので

それはねえ……僕も「ジブリの初恋なんて見ている場合じゃねーぞ」と、口頭では言っていたのです。
でも、あれでOKという人もいるようなので、あえて、ネットでは触れず(笑)。

『おおかみこども』は迷いがなく、堂々としてますよね。

投稿: 廣田恵介 | 2012年9月15日 (土) 22時48分

廣田様、確かにこの映画のテーマを考えるとそうかもしれません。小五女子には難解なところもあったようですが、感動したと素直に言ってました。

見終わってしばらくしてから雪、雨そして花それぞれの独り立ちの物語りなんだなとじわじわこみ上げてきました。

はたして自分にはこんな事があったのか?独り立ちしたのか?子ども達はどうやって自分たちから巣立って行くのかなぁ....などど思いつつ...

コクリコって新子やまどマギ、そしてこのおおかみこどもなど最近見て感動したアニメとは脚本や演出があまりに真逆なのでついつい引き合いに出してしまってます。
こんなのがあるんだって自分にとってものすごい衝撃でしたから...

投稿: やっさん | 2012年9月16日 (日) 13時00分

■やっさん様
ラストシーンの、雪のセリフを聞くと「お母さんは、まだあの家にひとりで暮らしています」と言っているので、もう巣立った後なんでしょうね。

最初の段階では『おおかみと花』という題名もあったようですが、やはり、子どもたちの話なんだと思います。

>コクリコって

あまり悪口は言いたくないのですが(笑)、えらく古典的で老熟していて、今の時代を見ていないんですよね。「つくらされている」感がすごかったですし。

どんな映画でも、「俺はこれが正しいと思う!」と堂々と宣言したものが好きです。

投稿: 廣田恵介 | 2012年9月16日 (日) 14時08分

廣田様、
>どんな映画でも、「俺はこれが正しいと思う!」と堂々と宣言したものが好きです。

納得です。そういう映画って見ていて気持ちいいです!

投稿: やっさん | 2012年9月16日 (日) 18時09分

>どんな映画でも、「俺はこれが正しいと思う!」と堂々と宣言したものが好きです。

「おおかみ〜」は、その「正しい」が、あまりにも本質的で誰も描かなかった部分のような気がする。そこがカッコイイ!

投稿: ごんちゃん | 2012年9月19日 (水) 09時43分

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