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2012年8月10日 (金)

■0810■

友人2人から、別々に『おおかみこどもの雨と雪』の感想がとどいた。2人とも、パパである。
Sub12_large子持ちの立場としては、やっぱり花に感情移入するみたいだ。特に、雪を出産したときの花と彼との会話には、かなり共感できるとのこと。

それと、2人とも「実写のような映像」と言っていた。やっぱり、アニメのフォーマットを使いながら、別の表現形式に移行してるもんね。
この友人たちは、アニメよりは実写映画を見ることのほうが多いんだけど、そういう人のほうが素直に受け止められるのかな。
「アニメしか見てない」人は、いきなり規格外のものを見せられて、反発を覚えるのかも。

でも、僕はもう、絵コンテ集を買うとか、そんな方法でしか、この作品にはアクセスできない。
原画が誰であるとか、そういう接し方だけは、したくなかった。父親になれなかったことを、本当に後悔させられる映画。


ケーブルテレビで、『カウボーイ ビバップ』の再放送が始まった。
当時はテレビ東京で修正版が放映され、WOWOWで無修正全長版が放映されたわけだが、僕が「週刊SPA!」の連載で、最初に取り上げたアニメでもある。

このアニメの放映前後を思い出すのは、なんだか辛い。辛いというより「苦い」という感じ。
酔っぱらって、カラオケ屋の階段を転げ落ちて怪我したのも、この頃だ。毎日、誰かしらと飲み歩いていた。脚本家の吉田伸も、呆れ半分に付き合ってくれた。
女友達もいたけど、色っぽい話なんて、ひとつもなかった。僕は飲みつづけることで、まったく思いどおりにいかなかった20代の無駄な記憶を、殺菌・蒸発させようとあがいていた。

共著で単行本をつくった目黒くんとケンカ別れしたのも、その頃だ。
終わらせられるものなら、何もかも終わらせてやろうと思っていた。絶望を感じないかわりに、希望もない。自分が憎まれることの対価として、他人を憎む権利があると信じていた。
「未来のためには過去は邪魔」、マンションに帰ると、その日に起きたことは一切が過去。カレンダーの日付を、黒く塗りつぶすように生きていたんだ。

「誰にも干渉しない、誰にも頼らない」のが、完成された個人だと信じ込んでいた。それが間違いだと気がついたのは7年後、離婚した後だった。

『ビバップ』を誌面にとりあげたとき、編集者に「(画像使用料などの)金をかけすぎ」と怒られた。「こちらから金を払って、アニメの広告をつくってやるつもりは、さらさらないんだ」。
今にして思うと、それは「意気地を持て」という意味なのだった。
その一言が、なんとなく自分のコア、背骨になってくれた。細いながらも背骨が通ったお陰で、どんなに酒樽の底で溺れても、翌日には生還するくせがついた。


九州電力社員による、中学生買春事件。
ツィッターでのやりとり。フォロワー「今年の夏はエアコンのつかない地域が多発して、コミケとかのイベントも中止になるかも知れませんが。」 永井秀徳容疑者「そっかぁ…計画停電かぁ…電力会社の人間として謝ります。すみません(>_<)」

……別に、電力不足が心配で、楽しみなイベントが中止になるかも?と心配するのは、いいんです。「俺様の趣味のために、とっとと原発動かせ!」とは対極のこと言ってますから。
ただ、中学生には性欲ムンムンの電力会社社員が「そっかぁ…計画停電かぁ…」レベルにしか考えていないことに、軽いめまいを覚えますね。まったくね、コヤツラをどうしてくれようかと考えるんです。

欲望と倫理のはざまで苦しむのが、人間でしょうに。

(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

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コメント

>友人2人から、別々に『おおかみこどもの雨と雪』の感想がとどいた。2人とも、パパである。

うちは、旦那が観てないの。
ナトーさんとも話したけど、「母性の話だからパパには難しいんじゃないかな〜」って...そんなことはないのかな(廣田さんは別として)

投稿: ごんちゃん | 2012年8月10日 (金) 19時50分

■ごんちゃん様
男女の差、子どもがいる/いないの差は、実はあまり関係ないような気がしてきた。
柔軟性のある人なら、受け入れられるのでは……まあ、オッサンの方が、頭カチカチの人は多いけどね。

投稿: 廣田恵介 | 2012年8月10日 (金) 20時51分

そうか〜じゃあ、旦那に見てもらいたいなあ私はとにかく前にも言ったけど、花が「畑で汗流すシーン」(花が格好良過ぎて)で泣きっぱなしだったんだけど、、、旦那がどこで反応するのか知りたくなって来た。

投稿: ごんちゃん | 2012年8月11日 (土) 00時02分

■ごんちゃん様
いま思い返すと、おおかみおとこの生き方、花の生き方、雨の生き方、雪の生き方、それぞれ「当たり前のようにすごい」。
自分の実体験を重ね合わせてみれば、グゥの音も出ないと思うよ。

投稿: 廣田恵介 | 2012年8月11日 (土) 00時07分

>グゥの音
ごめん...どういう意味?

投稿: ごんちゃん | 2012年8月11日 (土) 00時21分

■ごんちゃん様
「ぐうの音も出ない」…徹底的にやりこめられて、一言も弁解・反論ができない。

投稿: 廣田恵介 | 2012年8月11日 (土) 01時09分

そういう意味なのね

目の前で起こる現実を受け止めながら「心が自由」であること「理想をもつこと」「ときには逃げる事」って勇気が必要でカッコいいことだと、言い切ってるもんね---(^-^;

投稿: ごんちゃん | 2012年8月11日 (土) 10時58分

ママ友からの感想が少しずつ集まってます☆

私から見ても誰からみても、子供のことを一生懸命考えて子育てしている彼女達が、 雨と雪が部屋をハチャメチャにするシーンでの花の寛容な態度、花が一生懸命に畑仕事をするシーンでの花の前向きな行動。

全てが自分にはまだまだ足りない、そして子育てを再び楽しんでやっていきたい。
最初から最後まで泣きっぱなしだったし、あの大スクリーンでもう一度観たい。

その他いろいろ興奮しっぱなしで、話してくれました(笑)


私はというと、指定された映画が無料になる映画券を2枚、なぜかまた友人から頂いて、それに『おおかみこども』が入っていました。
何とも不思議な縁のある映画です。

今度は主人にも観てほしいので家族で行きます。

投稿: ナトー | 2012年8月12日 (日) 06時32分

■ナトー様
僕が『おおかみこども』を何度も見に行くより、実際に子育てをしたお母さん・お父さんの意見を聞くほうが、よほど有意義です。ありがとうございます。

男性のために、男くさいアクション映画があるように、ママ礼賛、ママ絶賛の映画があって当たり前……と思うのです。
この映画のいちばんカッコイイところは、「分からない人は残念でした、さようなら」という堂々とした態度ですね。

>私はというと、指定された映画が無料になる映画券を2枚、なぜかまた友人から頂いて、それに『おおかみこども』が入っていました。

映画と、いい関係を築けていますね。
うらやましいです。

投稿: 廣田恵介 | 2012年8月12日 (日) 18時08分

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