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2012年8月23日 (木)

■0823■

某所から、映画『アイアン・スカイ』のプロモーションを手伝ってほしい、との打診。ゲストがビッグネームだし、「あんたしかいない」とおだてられたので、まずは試写会へ。
342492_007僕は『ガンヘッド』好きを公言しているせいか、「ゲテモノ好き」「B級好き」と勘違いされることが、たまにある。「ゾンビ映画、見るでしょ?」とか。
そういう流れのお誘いだったら、どうしようかなあ……と心配しながら見にいったのだが、意外や『アイアン・スカイ』、頭のいい映画である。
エンドロールまで見終わって、『アイアン・スカイ』という題名を思い起こすと、「あー、そういう重たい意味だったのね」と、ちょっと賢くなった気分が得られ、同時に暗澹たる気持ちにもなれて……。

具体例をあげてしまうと、もう面白くなくなってしまうのだが、まず、架空戦記モノを期待している人は、ちょっと肩透かしかも。「歴史を顧みない、幼稚なナチズム大絶賛映画だろ?」と思い込んでいる人、そう人こそ、見てみるべき。
『愛を読む人』あたりより、ナチズムやレイシズムについて(センチメンタルに陥ることなく)、よほど真摯に考えている。

だから、宣伝会社の人たちがナチスのコスプレして「ジーク・ハイル!」とかやっていても、彼らは何を言わんとする映画か、ちゃんと分かった上でやっているのでね。安心できてしまう。
どういうプロモーションを展開するかは、近く発表されるでしょう。


福島県いわき市での『マイマイ新子と千年の魔法』上映会から、一年が経つ。(当時の記事→
Img_3650_3お盆に、いわきに里帰りした友人が、現地で協力してくれた方と再会し、上映会のことを懐かしく話してきた……と聞いて、「ああ、そういえば」と思い出したのだった。
あの上映会は、確かに「やろう」と言い出したのは僕だったが、あとはすべて、他の人たちが勝手に協力し合って、出来たものだ。

『マイマイ新子』というアニメと、いわき市という場所、それらと僕との関係が無意識でつながれ、それゆえに、純度の高い時間を味わうことが出来た。
その、無意識のうちに流れていく時間の中に、たまたま、僕も立っていたという程度のことで。
意識して、あの精神状態に持っていこうとしても、それは人間には無理なのだと思う。

あの夏からこっち、僕の勘のようなものは鈍磨し、苦しまぎれな行動が多くなった気がする。
片渕須直監督からは、今年5月のいわき市からの帰還後、ちょっとやりとりがあった。そして、知らないところで、大変うれしい配慮をしてくださった。
どうして、そこまでしていただけるのか。話は、2010年春にまで遡る。一年後に、震災・原発事故が発生。二ヵ月後、初めていわきへ。僕は、ジグザクな道を歩いている。


手術で入院していた友人が、退院してきた。来週、退院祝いだ。
友人は、病院食のアンケートに産地偽装業者・大兼文喜の名前を書き込み、「食材に使わないように!」と毎日、訴えていたという。

ところが、産地偽装どころか、農林水産省は、すごいお達しを出した。→
汚染地域の食材が、よほど売れてないのだろう。ちゃんと測定すれば、福島県産でも0ベクレルの食材があるというのに。

農林水産省にはメールで抗議と質問をしたが、こりゃあ、街頭で抗議デモするしかないのか?
ちなみに、汚染しいたけの処理について、広島県は無視を決めこんでいる。


いわき市での上映会の最終日。
僕らが機材をまとめて、搬入口から帰ろうとすると、会場の事務手続きをしてくださった方が、夕暮れの中、ちょこんと座って、タバコを吸っていた。
「また、来てくださいね」と笑って、手を振ってくれた。今にして思うと、あのとき、裏口でタバコを吸っていた事務職のオジサンこそが、こんなクソみたいな国で、損得ぬきで仕事してくれた数少ない誠意ある大人だったのでは……。あの光景が、頭を離れない。

(C) 2012 Blind Spot Pictures, 27 Film Productions, New Holland Pictures

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コメント

煽り、早合点もあるでしょうが、これだけのもん見せられちゃあ凹みますね…。

http://6115.teacup.com/u_saku/bbs/smartphone/index/detail/comm_id/2251/

今日時間あったらイ○ン行ってみますね。

投稿: たなきゃん | 2012年8月24日 (金) 08時09分

■たなきゃん様
うーん……「福島県では、診断結果を教えてもらえない」話は、昨年末ぐらいから聞いています。
同時に「低線量被曝は安全だ」という信仰が起きていて、ちょっと手に負いきれません。

>今日時間あったらイ○ン行ってみますね。

イオンには、汚染シイタケは売ってないみたいです。
「生協ひろしま」か「フードオアシスあつみ」のようですが、くれぐれも無理はなさらないでください。

投稿: 廣田恵介 | 2012年8月24日 (金) 10時26分

廣田様、アイアンスカイのプロモーションについて一昨日の東京新聞に掲載されていました。

映画の内容はナチスを皮肉り非常に良いのですが、世界は日本人が想像する以上にナチスにはかなり敏感です。

今私はドイツ企業で働いていますが、来日したドイツ人の中にはナビゲーション地図の卍を見ただけで仰天する人もいました。

配給会社の方もお分かりかと思いますが、お気をつけて下さい。

話は変わりますが、新子DVDを先日久々に見直しました。と言うのもたまたま知人からコクリコ坂のDVDを借り見たのですが、あまりの内容に転げ落ちて(当時の廣田さんのブログを読み直して納得してしまいました)口直しではないですが、思わず新子を見たくなったのです。

何回見ても本当に丁寧な創りですよね。そしてこの映画の持っている力(ラピュタや吉祥寺バウハウスでの上映や廣田さんとの出会い等々)に改めて感動しました。

あっ、それと長女が家内とおおかみこどもを見に行きました。感想を聞いたところ長女は「泣きっぱなしだった」家内は「一人で出産とかあり得ない!と思ったけど、「この夏最高のファンタジー」というコピーを見たら納得した」と言っていました。

次は次女と私が見に行く番です。

投稿: やっさん | 2012年8月25日 (土) 01時13分

■やっさん様
>今私はドイツ企業で働いていますが、来日したドイツ人の中にはナビゲーション地図の卍を見ただけで仰天する人もいました。

はい。そうかも知れません。私も危惧しました。
東京新聞の記事は読んでいませんが、ナチスへの皮肉どころか、各国の「国策」そのものへの痛烈な批判になっています。
イベントで聞くつもりですが、「どうして『インディ・ジョーンズ』のナチスは許されているのですか?」と。『愛を読む人』も同様、どうして、ああまでナチが美化されているのですか?

「ナチスは史上最悪」と考えることと「だから、我々ナチス以外は正義」と考えることは、同じ意味だと、この映画は教えてくれます。少なくとも、「ナチスへの皮肉」なんて、チョロイものではないのです。
レンタルになってからでもいいので、改めて、ご意見をうかがいたいです。

>たまたま知人からコクリコ坂のDVDを借り見たのですが、あまりの内容に転げ落ちて(当時の廣田さんのブログを読み直して納得してしまいました)口直しではないですが、思わず新子を見たくなったのです。

私も、まったく同じでした。
『コクリコ』を見ている間、「ああ、『新子』を見たいなあ」と、ずーっと思っていました。位相が違うというか。

『おおかもこどもの雨と雪』は、ぜひお子さんと見に行ってください。
あれは「家庭のための映画」ですので。

投稿: 廣田恵介 | 2012年8月25日 (土) 01時42分

廣田様、出過ぎたことを言ってしまいすみません。

東京新聞の記事(23日のこちら特報部)では「風刺映画なのに...宣伝にナチスバッチ」のタイトルで報道されました。映画については制作費のカンパの話を紹介し、内容についても好評価でしたが、プレゼントの缶バッチとキューピーのハーケンクロイツを使ったプロモーションについて気志團が以前SSの様は衣装でテレビに出演し、アメリカのユダヤ人団体から抗議を受けた件を引き合いに出し危惧していましたの心配して先の書き込みをしました。

>東京新聞の記事は読んでいませんが、ナチスへの皮肉どころか、各国の「国策」そのものへの痛烈な批判になっています。

おおかみこどももさることながら、この映画もレンタルと言わずに是非上映中に見てみます。


投稿: やっさん | 2012年8月25日 (土) 03時09分

■やっさん様
東京新聞も、無粋なことをやってくれますね。映画というものは、清く正しくなければいけないと思っている。
そんなことを言っていたら、文化そのものを否定することになります。『モンティ・パイソン』なんて、すべて焼き払わないといけない(笑)。

>プレゼントの缶バッチとキューピーのハーケンクロイツ

僕も、映画を見る前は「ちょっと無神経ではないの?」と眉をしかめていましたが、映画が終わる頃には、大納得です。「分かっててやってる」からです。
あまり詳しいことは書きませんが、ナチスの特典そのものが風刺になっています。

繰り返しになりますが、「ナチスは最低だったけど、俺たちはまだマシだよな」という思い込みが揺らぐような映画です。
いくつか、笑いものにされる国が出てきますが、今の日本だって、最低最悪じゃないですか。現政権を叩いている東京新聞が、この映画に目くじらを立てるとは、ガックリです。

投稿: 廣田恵介 | 2012年8月25日 (土) 09時19分

廣田様、納得しました!

>『モンティ・パイソン』なんて、すべて焼き払わないといけない(笑)。

まさにそうですね!ひとにかくこの映画を早くみたいです!

投稿: やっさん | 2012年8月25日 (土) 11時10分

■やっさん様
世代的に、『モンティ・パイソン』で通じしましたか!

投稿: 廣田恵介 | 2012年8月25日 (土) 12時25分

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