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昨日のワンダーフェスティバル2012夏、『輪廻のラグランジェ』トークショーにお越しの皆さま、ありがとうございました。(そう、お客様には「お疲れさま」ではなく「ありがとうございます」です。)
トークショーの具体的内容は、GIGAZINEさんが記事にしてくれました!→■
終盤、あさのまさひこさんが、客席にいたバンダイホビー事業部の狩野義弘さんを登壇させてしまったので、ゲストは計4名でした。
「なぜ、バンダイはウォクスをキット化しないのか?」という流れだったので、狩野さんは決していい顔はなさっていませんでした。
インジェクション・キットで出せないという理由と、ウォクスやターンエーが「アニメとしての落としどころ」で作画されてしまう理由は、なんとなく通底していると思うのです。宮武一貴さんは、『オーガス』を無慣性メカとして設定し、動きまで計算していましたが、アニメの中では、フワフワ浮いているだけでした。
生体メカのオーラバトラーが「爆発」してしまうのも同様で、「いつものアレ」的な手法を使わないと、週一のテレビシリーズは回せない……ということなんだと思います。
前半のトークで、鈴木利正監督が好きなロボットとして「レイズナー、ボトムズ(AT)、ウォクス」と仰っていましたが、前二者が独創的な「動き」をしていたことは忘れてはいけないと思います。
いや、動きというよりは「機能」「フォルム」なんですね。レイズナーだったら、地形を記憶することで敵を陥れたり、AIがサポートしてくれたり、脚本や演出レベルでも「機能」を感じさせてくれましたね。
そうなると、設定画にもとづいたキットは、番組のファンからは「違う」ということになり、そこがまた、模型(というかインジェクション・キット)の面白さだと思うのです。「違う・ダサい・ヘボい」という部分も含めて、模型なのです。文化なのです。
むしろ、インストどおりに組み立ててるのに、「俺の解釈と違う!」と思った瞬間、文化が発生すると言ってもいい。「なぜ、ここでパーツ分割するのか、バカモノ!」も含めて、メーカーとのコミュニケーションだと思うのです。
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……というようなトークを「今のワンフェスで話しても大丈夫なのか?」と思ってしまったのも、悲しいことで。監督や声優さんが出演した第一部のほうが、お客さんは多かったです。限定品をダッシュで入手したり、転売するヤツが「勝ち」の空間になってしまってやしないか……だから、あえて僕は「ワンフェスでは、キットを作った人が圧倒的に勝ち」「コンペに参加した人たちは、全員合格」みたいな発言をしたわけです。
この世界まで、「何はともあれ、得したヤツの勝ち」になっているとしたら、それは堕落としか言いようがない。
ガレージキットに接する人は「目利き」にならなくてはいけない。そこがインジェクション・キットにはない、たしみなですね。「大手メーカー並に出来がいい」なんてのは、評価軸にならない。逆に、「原型がヘボい」程度の感想しか出てこない人は、目利きとは言えない。
昨日は、30センチぐらいの大きさのビオランテがあって、原型師だった頃に手がけたことのある怪獣だし、その心意気に打たれましたね。
同時に、「こんなデカいもん、どうやって持って帰るの?」とも思ったけど、つまりは「無理を通して、道理を蹴っ飛ばす」ところにしか、可能性は見えてこないし、感動もないのではないか……たとえば、『ボトムズ』の第1話では、本物のカメラのレンズが合成してある。そういう無茶をやると、少なくとも、志向性は明確になるじゃないですか。
話は戻るけど、ウォクスがインジェクション・キット化されない理由も、ちゃんと考えてみるべきだと思います。「売れるわけないじゃん」みたいな、ジジイの言いそうな理由ではなく、ね。
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トーク後は、デザイン・メイキング本『LAGRANGE DESIGNS』を編集されたカースタイリングの方が、話しかけてくださいました。
ウォクスをデザインされた大須田貴士さんのところには、未完成のウォクスを持参したモデラーの方が、アドバイスを受けていました。ステージを降りたほうが創造的な空間になるという(笑)。
僕は、『ラグランジェ』の公式ライターではあるけれど、5月のマチアソビもボランティアだし、今回もそうです。「お疲れさま」とさえ言われないですよ。
唯一、バンダイビジュアルのプロデューサーさんが、終電近くまで酒に付き合ってくれました。そして、やはり何か物足りなかったのか、吉祥寺でガールズバーとキャバクラをハシゴ。ガールズバーでは「お腹が空いた」という子のためにスナック菓子を注文し、太っていることを悩んでいるキャバ嬢には「気にするな」と声をかけ……まったく、自分は欠けた人間だと思った7月の終わり。
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