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2012年7月30日 (月)

■0730■

昨日のワンダーフェスティバル2012夏、『輪廻のラグランジェ』トークショーにお越しの皆さま、ありがとうございました。
06(そう、お客様には「お疲れさま」ではなく「ありがとうございます」です。)
トークショーの具体的内容は、GIGAZINEさんが記事にしてくれました!→

終盤、あさのまさひこさんが、客席にいたバンダイホビー事業部の狩野義弘さんを登壇させてしまったので、ゲストは計4名でした。
「なぜ、バンダイはウォクスをキット化しないのか?」という流れだったので、狩野さんは決していい顔はなさっていませんでした。
インジェクション・キットで出せないという理由と、ウォクスやターンエーが「アニメとしての落としどころ」で作画されてしまう理由は、なんとなく通底していると思うのです。宮武一貴さんは、『オーガス』を無慣性メカとして設定し、動きまで計算していましたが、アニメの中では、フワフワ浮いているだけでした。
生体メカのオーラバトラーが「爆発」してしまうのも同様で、「いつものアレ」的な手法を使わないと、週一のテレビシリーズは回せない……ということなんだと思います。

前半のトークで、鈴木利正監督が好きなロボットとして「レイズナー、ボトムズ(AT)、ウォクス」と仰っていましたが、前二者が独創的な「動き」をしていたことは忘れてはいけないと思います。
いや、動きというよりは「機能」「フォルム」なんですね。レイズナーだったら、地形を記憶することで敵を陥れたり、AIがサポートしてくれたり、脚本や演出レベルでも「機能」を感じさせてくれましたね。
そうなると、設定画にもとづいたキットは、番組のファンからは「違う」ということになり、そこがまた、模型(というかインジェクション・キット)の面白さだと思うのです。「違う・ダサい・ヘボい」という部分も含めて、模型なのです。文化なのです。

むしろ、インストどおりに組み立ててるのに、「俺の解釈と違う!」と思った瞬間、文化が発生すると言ってもいい。「なぜ、ここでパーツ分割するのか、バカモノ!」も含めて、メーカーとのコミュニケーションだと思うのです。


……というようなトークを「今のワンフェスで話しても大丈夫なのか?」と思ってしまったのも、悲しいことで。監督や声優さんが出演した第一部のほうが、お客さんは多かったです。
Cam1q1ve限定品をダッシュで入手したり、転売するヤツが「勝ち」の空間になってしまってやしないか……だから、あえて僕は「ワンフェスでは、キットを作った人が圧倒的に勝ち」「コンペに参加した人たちは、全員合格」みたいな発言をしたわけです。
この世界まで、「何はともあれ、得したヤツの勝ち」になっているとしたら、それは堕落としか言いようがない。

ガレージキットに接する人は「目利き」にならなくてはいけない。そこがインジェクション・キットにはない、たしみなですね。「大手メーカー並に出来がいい」なんてのは、評価軸にならない。逆に、「原型がヘボい」程度の感想しか出てこない人は、目利きとは言えない。
昨日は、30センチぐらいの大きさのビオランテがあって、原型師だった頃に手がけたことのある怪獣だし、その心意気に打たれましたね。
同時に、「こんなデカいもん、どうやって持って帰るの?」とも思ったけど、つまりは「無理を通して、道理を蹴っ飛ばす」ところにしか、可能性は見えてこないし、感動もないのではないか……たとえば、『ボトムズ』の第1話では、本物のカメラのレンズが合成してある。そういう無茶をやると、少なくとも、志向性は明確になるじゃないですか。

話は戻るけど、ウォクスがインジェクション・キット化されない理由も、ちゃんと考えてみるべきだと思います。「売れるわけないじゃん」みたいな、ジジイの言いそうな理由ではなく、ね。


トーク後は、デザイン・メイキング本『LAGRANGE DESIGNS』を編集されたカースタイリングの方が、話しかけてくださいました。
ウォクスをデザインされた大須田貴士さんのところには、未完成のウォクスを持参したモデラーの方が、アドバイスを受けていました。ステージを降りたほうが創造的な空間になるという(笑)。

僕は、『ラグランジェ』の公式ライターではあるけれど、5月のマチアソビもボランティアだし、今回もそうです。「お疲れさま」とさえ言われないですよ。
唯一、バンダイビジュアルのプロデューサーさんが、終電近くまで酒に付き合ってくれました。そして、やはり何か物足りなかったのか、吉祥寺でガールズバーとキャバクラをハシゴ。ガールズバーでは「お腹が空いた」という子のためにスナック菓子を注文し、太っていることを悩んでいるキャバ嬢には「気にするな」と声をかけ……まったく、自分は欠けた人間だと思った7月の終わり。

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コメント

WFのトークショーお疲れ様でした。
大変面白いものを拝見させていただきました。

特に二部は「WFという会場だから成立する内容なんだ」と思える、キャスティングと内容だったと思います。

「ロボットカラーリングの最適化」等、WFという会場と「ラグランジェ」という作品が可能にする話題だったように思います。
現在進行形のアニメーション作品におけるデザインの必然性や成立の過程が垣間見えて、非常にスリリングでした。

好きなロボットが「ボトムズ、レイズナー、ウォクス」という鈴木利正監督の回答は「なるほど!」という気分でした。
自分の趣味に合致したというのもありますがw、「動画で描かれて、設定画を超えたキャラクターと世界観を獲得したメカニック」の好例だと思います。

勤め先のブース撤収もあり、残念ながらラスト15分を残してトークショー観覧を引き上げましたが、狩野さんの登壇を見損ねたと後で知り、非常に残念でした…。

投稿: べっちん | 2012年7月31日 (火) 09時04分

■べっちん様
ご来場いただき、ありがとうございました。お時間あれば、ひさびさにお話したかったです。

>現在進行形のアニメーション作品におけるデザインの必然性や成立の過程が垣間見えて、非常にスリリングでした。

ロボットのデザインに関してのみ言うなら、ここまで徹底的にやっていた(過去形)のは、『ラグランジェ』だけでした。
だいたい、どの作品も各スタジオの制作体制に合った「落としどころ」「妥協案」へ、コンセプトを持ってこざるを得ない。
最近流行りの「キャラ原案」についても、原案とキャラデの住み分けが、非常に大雑把で、セールス的に大事にしていないと感じます。

本来なら、もっと高度な作業になるところを、いつもの「手癖」でやっている場合が多いです。

>「動画で描かれて、設定画を超えたキャラクターと世界観を獲得したメカニック」

レイズナーなんて、設定画は「スポンサーへのプレゼン画稿」ですからね。映像で動いているSPTが「本物」です。
その辺りはバレバレというか、ユーザーはズケズケ言っていたと思うんですよね。

>狩野さんの登壇

ラスト15分ぐらいだったんですね。スタッフでもない狩野さんを登壇させて「おおっ!」と思える人は、どのくらいいたかなー?と思うんです。
こういう面白い「場」を育ててこなかったのは、模型誌にも書いている僕の責任もありますね。今後は、こういう機会をもっと増やしたいのです。

そして、せっかくライブなんだから、「僕は違うと思う!」と直に言いにくる人がいても、良いのですよ。

投稿: 廣田恵介 | 2012年7月31日 (火) 09時39分

トークショーが始まる前、ラグランジェブースの前を通りかかった時、廣田さんがチラシ配りに励まれる姿をチラと見かけたのですが、ご挨拶位すべきだったな…と。すいません。

>だいたい、どの作品も各スタジオの制作体制に合った「落としどころ」「妥協案」へ、コンセプトを持ってこざるを得ない。

作り手が果たせなかった野望に想いを馳せるのも、楽しいオタク遊びではありますが(笑)、ハナから「出来る事しかやらない」では、閉塞してしまいますね。

…と、ホビー屋の末席に居る身としては天に唾な感じですが。

>今後は、こういう機会をもっと増やしたいのです。

だいぶ前、このブログで拝見した廣田さんの「かつてオタク趣味はクリエイティブな趣味であった」という言葉(うろ覚えですが)をよく思い出すのですが、改めて噛み締めています。

作品は時として「生産者」と「消費者」という寒々しい二極の構図でやりとりされたりしますが、その二極の間には、本当はとても豊かなモノがあるはずですし、それ確かなものにする為にも、このような場所作りはとても意義深いお仕事だと感じています。

投稿: べっちん | 2012年8月 1日 (水) 03時26分

■べっちん様
チラシ配りは、してなかったはずです。ボランティアで司会を頼まれて来て、そんな殊勝なことを、僕がするはずがない(笑)。

>ハナから「出来る事しかやらない」では、閉塞してしまいますね。

「だって、しょうがないでしょ?」という事ですからね。
切り札として「予算がないから」と言われるのですが、僕だってタダで記事を書いたりしてるわけで、予算がないなんて言わせない(笑)。
「しょうがない」=「やる気ない」だと思います。

>「かつてオタク趣味はクリエイティブな趣味であった」

ステージ後、お客さんが、日産のデザイナーさんに話しかけて、えんえんと会話してたんです。
そういう場があってこそのライブでしょう。ステージ上だけで完結していたら、テレビと変わらないですよ。

アニメのイベントは、バラエティ番組みたいなのばかりですよね。お客さんも「そんなもんだろう」と思ってしまっている。

>このような場所作りはとても意義深いお仕事だと感じています。

今回は、前半のバラエティのオマケとして成立できたんです。僕は、ぜんぶ決まってから呼ばれただけであって。
「次回はないから、次は自分たちでつくろう」と、盛り上がっているところなんです。

投稿: 廣田恵介 | 2012年8月 1日 (水) 08時15分

>チラシ配りは、してなかったはずです。

あ、完全に僕の勘違いですね。失礼しました…。

>アニメのイベントは、バラエティ番組みたいなのばかりですよね。

「お客さんはそこで行儀良く見ていなさい」という送り手の在り様も、「ステージ上の人間はカネを払えば無条件に自分らを楽しませてくれる」という消費者の在り様もお客さんを「お客さん」に留まらせているのでしょうね。

>「そんなもんだろう」と思ってしまっている。

そういう物分りの良さが様々な可能性をスポイルしているんだろうな、と。自省込みですが。

…と、長々とすいませんでした。

投稿: べっちん | 2012年8月 2日 (木) 03時06分

■べっちん様
>「お客さんはそこで行儀良く見ていなさい」という送り手の在り様も、「ステージ上の人間はカネを払えば無条件に自分らを楽しませてくれる」という消費者の在り様もお客さんを「お客さん」に留まらせているのでしょうね。

まったく、その通りです。みんな、「テレビ的態度」に慣れすぎです。
こういうイベントだけでなく、雑誌メディアもすべてそうなっているのではないでしょうか。あるいは、仕事のさまざまなシーンで、「そっちはそっち、こっちはこっち」と、過剰に線引きがなされていませんか?

「互いに話し合って、良くする」という態度が、とにかく欠落しています。
文句があっても黙る、だけどネットには悪く書く……日本の病理ですよ。

投稿: 廣田恵介 | 2012年8月 2日 (木) 12時20分

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