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2012年7月 2日 (月)

■0702■

土日は、家でゆっくり『俺の艦長』の原稿を書いていました。
Cajrw77i正確には、USTREAMで大飯原発ゲート前での抗議活動を見ながら……です。現場にいないかぎり、あの壮絶な攻防について、多くを語る資格はないと思います。ネットで見聞したことは、すべて(仮)なのだと思います。「行って、会って、話す」、これが揺るぎのない基本です。
それを前提に――。

中継を見はじめたのは、土曜(30日)の16時ごろです。抗議活動が終わったのは、月曜(2日)の2時頃。30時間以上、大飯原発前の関電敷地内の道路を占拠し、逮捕者ゼロでした。
最初に、乗用車とチェーンを使ったバリケードを見たとき、「こりゃ捕まるな」「うまいやり方じゃないな」と思いました。だけど、「逮捕される危険のあること=悪いこと」という先入観が、僕らの行動を、思っているより遥かに抑圧しているんだと思います。
いや、普段から抑圧されつづけていることに気がついてすらいないんでしょう。何のリスクもなくUSTREAMを家で見ながら、「こいつら射殺しろよ」とか「殺しちゃっていいよ」と書き込んでいる人は、ネットを通じてしか、抑圧から逃れる方法を知らない。

「俺が殺す」なら、主語が自分だから、まだ分かるんです。人に「殺せ」とリクエストしてるんだもん。
自分の負うべきリスクを避けつづけているから、他人が行動していると、それが癪にさわってしょうがないんだろうね。


大飯原発のゲート内、前後を挟まれながら、抗議者たちは最初は怒鳴り、あるいは語りかけることで警察を追い返していた。
深夜になり、関西電力が話し合いに応じないと分かると、「再稼動反対!」のコールが沸きおこり、パーカッションやドラムがリズムを刻み、ついにはギターによる荒々しい伴奏がくわわった。
僕は、生まれてはじめて「音楽」というものに触れたような気がした。
夜が明けてもコールは絶えることなく、昼間になると、女性たちが笑顔でダンスをはじめた。嘘か誠か、百姓一揆のときの踊りだと聞いた。

「こいつら、ヤクでもキメてるんだろう」という書き込みがあったけど、そういう連中にかぎって、大麻も覚せい剤もいっしょくたに「所持していると逮捕されるもの」程度にしか考えていない。ドラッグと文化の関わりも知らないし、なぜ暴動のおきる場所でダンスが発祥するのか、考えたことすらない。なぜ身体を使うのか、なぜ筋肉をつかって声を出すのか――分からないから、「バカ騒ぎ」などと自分の理解しやすい次元に事象を引きずりおろし、安心しようとする。

さっきの「こいつら射殺していいよ」も同様で、責任も罪悪感も、現場にいる警官たちになすりつけようとしている。やたら「法を犯している」とわめきたてる連中は、車が通っていないのに赤信号なら立ち止まってしまう、家畜のような生き方をしている。
人間の尊厳に泥を塗っておきながら、法を遵守したと得意になっている。

法を遵守する、それは檻の中だけの自由だ。「エアコンを存分に使いたいから、原発を動かしてもいい」、それは家畜の発想。


「踊っているんじゃない、戦っているんだ!」――映画『RIZE』のキャッチコピー。
東京でぬくぬく過ごしている僕は、大飯原発まで出向いて、雨の中、不眠不休で戦いつづけた若者に対して、「よくがんばった」なんて言えないです。
僕もやっぱり、行動力にとぼしいオタクなんだと思う。ただ、怒りを音楽やダンスに変えて、最前線で戦った――いや、いまでも戦いつづけている若者たちがいることを、ひとりでも多くの人に知っておいてほしい。→

地面の底からわきおこるような、原初的な「再稼動反対!」のリズムを脳の奥で聞きながら、僕は目の前の原稿を、少しでも読んだ人の人生に貢献できるものにしたい、と思う。
今月はトークショーの依頼も来ていて、今から打ち合わせなんだけど、唾のかかるぐらいの距離で話すような仕事も、どんどん増やしていきたい。

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コメント

廣田さんこんにちは。昨夜はIWJの中継に思わず鳥肌が立ちました。でもおっしゃるように現場とネットを介して私達が見るものは10分の1も伝わらないのかもと思ったりします。再稼働の21時になっても衰えないコールとドラムの音に漠然と幕末のええじゃないか踊り(一揆?!)を想いました。あんな長丁場を闘うパワーが怒りだなんて改めて切ない気持ちになります…。原稿にトークショー…忙しい夏になりそうですね。どうぞご自愛下さい。

投稿: くりか | 2012年7月 2日 (月) 17時30分

■くりか様
こんにちは、IWJ見てたんですね!
再稼動が行われたから、だからこそ、ますますボルテージが上がる壮絶な抗議でした。

>漠然と幕末のええじゃないか踊り(一揆?!)を想いました。

少なくとも、あのエリアだけ「日本人の原点回帰」が行われていたように思います。脳の、いちばん古い部分で怒っていましたし、それを音楽やダンスに転化するなんて、人間本来の姿ですよ!
……と、こうして言葉にしてしまうと空しいのですが、誇り高い、尊いものを見せてもらって、心(というか脳)が洗われました。

>原稿にトークショー…忙しい夏になりそうですね。どうぞご自愛下さい。

ありがとうございます。
トークショーは、すごいことになりそうです。

投稿: 廣田恵介 | 2012年7月 2日 (月) 18時33分

IWJで原発の中と外、リアルタイムで交互に見てました!おかげて目がショボショボです。でも現場の方々の疲労は計りしれませんので…。脳が洗われるってわかる気がします。うまく言えませんが心が震えるのはこういうことだと思いました。
あたしはだいぶ偏った趣向のアニメ&漫画好きなのですが…廣田さんのトークショーぜひお聞きしたいです。告知はブログでして下さいますか。

投稿: くりか | 2012年7月 2日 (月) 20時54分

■くりか様
>IWJで原発の中と外、リアルタイムで交互に見てました!

僕は、Oneness TVも、同時に見ていたんです。中継カメラは4~5台入っていたと思います。
IWJは、会員になって支援しないとアカンですね。

>心が震えるのはこういうことだと思いました。

抜本的に、何か変わりましたよね。怒りの表明の仕方、何を目標とするか、誰を敵と設定するか(あるいは誰も敵としないのか)……。

>廣田さんのトークショーぜひお聞きしたいです。

ちゃんと告知しますが、かなり少数の人に向けた内容です(笑)。
ただ、人前で話すからには、本質的なことしか喋りたくありません。テーマが原発であれ、アニメであれ、「本質に触れたい」ことには変わりありません。

投稿: 廣田恵介 | 2012年7月 3日 (火) 00時46分

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