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ここのところ、アニメ見すぎなので、『シティ・オブ・ゴッド』をレンタル。60年代、リオデジャネイロのスラム街。子どもたちまでもが、銃を欲しがるほど荒れ果てた街で、主人公は戦場カメラマンのような立場に立っていく。
その、主人公が頭角を現してくるのは、映画がはじまって一時間半以上たったころ。そこまでは、「本当に実話か」と疑うほど、タランティーノ風なスタイリッシュな作風。
で、主人公は、たまたまカメラに詳しかったので、ギャングのアジトにいるとき、「俺たちを撮ってくれ」と頼まれる。しかし、彼には、フィルムの現像代がない。無理をいって、アルバイトしている新聞社で現像してもらう。ところが、彼の撮ったギャングの写真が、翌朝の一面を飾ってしまうのだ。
無論、彼は激怒するのだが、記事を書いた女性記者は「もっと撮れば、仕事になるわよ」と、誘いをかける。しかし、もっと撮れば殺されるかも知れない……。
主人公は悩んだ挙句、まずは女性記者の家に泊めてもらう。そのシーンが、ちょっと面白い。新聞社のフロアでエレベータを待っていると、女性記者の背中でエレベータのとびらが開く……と、主人公の前のエレベータのとびらも同時に開くので、女性記者はどっちに乗ろうか、きょろきょろと迷うのだ。
その「どっちへ行こうか迷う」のは、あくまでも女性記者です。主人公ではない。
ところが、ラスト近くで、主人公は自分の撮った写真のどちらを掲載してもらうか、おおいに「迷う」。どちらを選ぶかで、彼の人生は大きく変わる。
つまり、女性記者がエレベータ前で「迷う」アクションが、主人公が写真を前に「迷う」シーンを修飾しているのだ。文学的にはつながっていなくても、「映像」としては有機的に結びつく――それが「映画」の話術だ、という気がして、ならない。
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さて、今日は東京地方検察庁に行ってきました。告発状を提出するためです。
被告発人は、福島県産きゅうりを他県産と偽って販売した、東京都足立区の青果仲卸業「株式会社大兼文喜」、告発の主旨は「不正競争防止法」に該当するためです。
飽くまでも、告発状の「提出」であって、受理されたわけではないので、お間違えなきよう。
ただ、告発状なら、私のような素人でも書けます。お金もかかりません。
大阪で産地偽装した元・精肉業者は、大変なことになっていますね。→■
私の告発した「株式会社大兼文喜」については、実はきゅうりの汚染度合いは関係ありません。「福島県産だと売れない」という判断は、もちろん放射能汚染を念頭に置いていたためであり、偽って売ってしまえば「誰が食べようが構わない」という無責任さを、問題にしているのです。
これが3.11前であれば、東京都福祉保険局の「指示」で、十分だったかも知れません。
しかし今は、東日本の人々が(たとえ一部であれ)「汚染濃度の高い地域の食材は避けたい」と苦慮しています。その事態を十分に把握しておきながらの偽装。これは、決して許されることではなく、刑事罰に相当します。
今年5月19~20日、福島県いわき市に滞在した際、当地の方々は、汚染を心配しながらも、地元の野菜を購入すべきかどうか、迷ってらっしゃいました。
私は、いわき駅前のバーで出されたきゅうりを、迷わず食べました。本人が分かっていて食べるのは、自己責任。しかし、「他県産です」と騙して売ることは、福島の方々の複雑な心理を、土足で踏みにじる犯罪行為です。
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検察庁からの帰り、ビックカメラに寄りました。クリスタル・パズルに、ティンカー・ベル(CG映画版ですが……)が加わっていたので、即座に買いました。
それと、天神英貴氏がパッケージを描いた『ガンヘッド』のDVDが届いておりました(DVDの中身は、在来品とまったく同じ)。
――あいかわらず、僕の趣味は進歩してません。昨日も、『ガンダムUC』EP5を、ひとりで見に行ったし。
でも、こういうオタク趣味だから「社会問題に深く関与すべきではない」とは、僕は考えません。両立できますよ。
大人だからこそ、フィクションと現実、両方の強度を重ね合わせ、図太く生きようと思うのです。
Kobal/GLOBOFILMS/TheKobalCollection/WireImage.com
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