■0401■
『猿の惑星 創世記』を見て、どうしても肉眼で確認したいと思い、井の頭自然文化園へ。小さい頃から、猿山は嫌いだった。いま見ても、憂鬱な気持ちになるので、熱帯温室の写真を載せておく。
猿たちは、子猿をのぞいて、みんなジッとうずくまっていた。何匹かは、痛々しい皮膚病にかかっていた。
笑ってみているのは、家族連れとアベックだけだった。
むかし飼っていた犬たちのことを、思い出した。
蚤にたかられ、目も見えなくなり、抱きしめても、わずかに尻尾をふるだけだった犬たち。広い場所で、リードを外したときだけ、元気に走り回っていた。
彼らには「窮屈で、辛い人生を送らせてしまった」という記憶しか、残っていない。
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土曜日の朝10時40分ごろ。
「昨日、何度も電話いただいた松本ですけどぉ」と、怒った女の声で電話がかかってきた。まったく覚えがないので、「はい?」と聞き返すと、「昨日、奥さんから、何度もお電話いただきましたよねえ? 奥さん、いますよね!」とキレている。
「いえ、家には妻はおりませんが……」
「はあ? だって、そっちがかけて来たんでしょ?」
「いえ、私ひとりしか住んでおりません」
「まったく、何なんですか? もういいです!」
……で、切れた。
俺はJCN武蔵野三鷹と契約しているので、即座に「今かかってきた電話番号を調べてほしい」とお願いしたのだが、「そのようなサービスはない」とのことであった。
(調べれば相手の番号ぐらい分かるはず。それを月数百円のサービスに変えてしまうのが、彼らの商売なのだろうな。)
休日の朝に「奥さま、ご在宅でしょうか?」と電話してくるのは、間違いなく、何かのセールスだよね。
でも、この商売のやり方は腐っている。「だって、世の中なんて、人に迷惑かけて平気な連中ばかりでしょ? だったら、迷惑かけられたフリして商売したほうが、こっちに有利じゃない?」って発想。
――世の中がどれだけ腐ってようと、お前が腐っていい理由には、ならねんだよ。
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つまり、他人への、お客さんへの無関心が、彼らの態度を傲慢にする。
「相手が困ろうが傷つこうが、ちょっぐらい嫌な思いをしようが、カネさえ払ってくれたら、客として扱う」――東京電力などは、この典型である。
この東電気質は、日本人の心の中に、ちょっとずつ潜んでいる。発症しないウィルスのように。
本日から、食品の新基準値が適用されている。大幅に厳しくなったはずだが、僕は、汚染食品は減らないと思っている。
なぜなら、過去一年、暫定基準値をこえる食品が出荷されても、誰も罰せられなかったから。
国や県は、特に汚染の激しい水産物についてさえ「出荷自粛の要請」をするだけで、決して出荷禁止にはしない。
そして、食品業者は「大切なお客さんに、内部被曝はさせられない」とは考えない。「カネを払ってくれるのが客」と考える。だから、どんどん出荷する。
セシウム入りの牛乳や牛肉が給食に出ても、たいして親たちは騒がない。これでは汚染食品が減るわけがない。
いい製品をつくって、大声で「安心して買ってください」と宣伝できる世の中にしたい。
先ほどの電話セールスの話も、まったく同じ。お客さんとは、「信頼関係を結べる相手」のことであり、無条件にカネをくれるカモのことではない。
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バンダイチャンネルで『超時空要塞マクロス』が、無料配信されている。→■第一話『ブービー・トラップ』の絵コンテは、石黒昇監督。
アバンタイトルでは、キャラクターがひとりも出てこない。マクロス艦の落下を、雲間に光の玉が透けて見えるエフェクトで表現している――。
SF小説を読んでいるかのような、文学的リアリティ。
そういうお話について、もっと早くお聞きすべきだったのだが、こうして手軽に作品が見られるというのは、本当に幸いだと思う。
(C)1982 ビックウエスト
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コメント
>過去一年、暫定基準値をこえる食品が出荷されても、誰も罰せられなかったから。
それが問題だよね
どこの産地かは関係なくなってきてるもんね。放射能検査の測定を自主的にやっているかどうかしか判断できないわ..(-_-X)パルシステムは頑張ってるよ
http://www.pal-system.co.jp/index.htmlほとんどココで買ってるの。安くないから「全てパル」という訳にはいかなくて安全そうかな...と思ったものをスーパーで買う。
ほんと「純粋に楽しめなくなってしまったもの」が沢山あって時々ふと寂しくなる。
関西から越して来た仲良しの家族が近所に「家を買った」と聞いて、「これで仲間だ!かんぱーい!」なんて言って盛り上がったけど...「この場所が明日あるのかな。ココに居られるのかな」っていう気持ちがどこかある。
「うちらの明日の約束をかえせーーー!」
ってセリフがよぎった....(ρ_;)
投稿: ごんちゃん | 2012年4月 2日 (月) 14時46分
■ごんちゃん様
都内でも、ようやく西日本産の野菜のみを扱う店や、ベクレル表示をする店が増えてきたよ。
>パルシステムは頑張ってるよ
HPを見ると、国の基準値より低めのガイドラインにしているね。とにかく、国に頼らず「自主検査する」姿勢が大事。何もしてない会社がほとんどだし、問い合わせても「ベクレル」という言葉さえ知らなかったりするよ。
明治は、粉ミルクの問題で不誠実な態度をとりつづけたので、あのメーカーのチョコレートだけは、決して買わない。
それはチョコが危険だからではなく、企業として嫌いだから(笑)。
>関西から越して来た仲良しの家族が近所に「家を買った」
東日本の人たちには、「こんなになっちゃったけど、頑張って工夫して、生きていきましょうよ」という気持ちがあるけど、関西から来て、わざわざ関東に家を買ってしまうとは……。
家を買うなら、西日本のほうが絶対いい!
関西はいま、瓦礫問題で反対運動が激化しているけど、それぐらい敏感な方がいいと思うよ。
投稿: 廣田恵介 | 2012年4月 2日 (月) 15時26分
>関西から来て、わざわざ関東に家を買ってしまうとは……。
でしょう..(・_・)エッ....?
すんごく大事な仲間なんだけど
私は、出来る事なら「今の家が売れるうちに売ってしまって引っ越したい」というのが本音だっていうのにな...(ρ_;)
投稿: ごんちゃん | 2012年4月 2日 (月) 17時12分
■ごんちゃん様
人それぞれ事情があるから、「東北・関東から引っ越せ」なんて、安易に言えないんだけどね……。
でも、西日本に実家があるというだけで、かなりうらやましく思ってしまう。
投稿: 廣田恵介 | 2012年4月 2日 (月) 18時01分
廣田様
その電話、非常に不愉快ですね!
>――世の中がどれだけ腐ってようと、お前が腐っていい理由には、ならねんだよ。
一緒に腐ってしまった方が、楽に生きられるんですよね、きっと。
昔、仕事の都合で2年ほど暮らした地域が、全国的にも自動車の運転マナーが荒いところでした。
最初は、周囲の横暴な運転に腹を立てたものですが、自分も同じように運転すれば、相当気持ちが楽になることに気付いたんです。
途中で「これは違う!」となって襟を正しましたが(笑)
廣田さんが常日頃仰るように、社会や自分に対する理想や理念が最後の砦になるんだと思います。
>関西はいま、瓦礫問題で反対運動が激化しているけど、
これはとても良いことだと思います。
ただ、関西の方々に知って欲しいのは、その瓦礫を生んだ原因は、そもそも『原発』にあるということです。
瓦礫に反対するのであれば、ぜひ、そこまで目を向けて頂きたい。
ここ最近の世間の軋轢のほとんどは、『原発』に通じています。
投稿: かまた | 2012年4月 2日 (月) 23時40分
■かまた様
枝野経産相が、ついに「日本全国が地元」「再稼動には反対」と発言しはじめましたね。みんな、よく耳をかたむけて、しっかり支持して欲しいです。
>一緒に腐ってしまった方が、楽に生きられるんですよね、きっと。
向上心を捨てると、本当に楽チンです。何に対しても「しゃあないよ」とあきらめてる人、理想と戦ってない人って、幸せそうですもん(笑)。
自分にも覚えがあるだけに、怖いんですけどね。
話していて、「何だかイヤだなあ」と感じる人って、理想を捨ててますよ。「コイツとは会いたくないなあ」って感じる人って、生ぬるい泥の中から出ようとしないタイプの人ばかり。
>ただ、関西の方々に知って欲しいのは、その瓦礫を生んだ原因は、そもそも『原発』にあるということです。
まったく、その通りですね。沖縄にまで流通している汚染食品も、原発がなければ存在しないわけで。
面白いことに、アンケートを見ていると、原発立地から離れるほど「再稼動賛成」が増えていくんです。
僕も、九州でメルトダウンが起きていたら、「九州に近づかなければ安全」と思っていたでしょう。
>ここ最近の世間の軋轢のほとんどは、『原発』に通じています。
僕も、そう感じます。
シンプルに言うと、「便利さ」って、誰かしらの犠牲の上に成り立っている気がしてきました。
苦労した人が、ちゃんと報われているのなら「犠牲」ではないのですが、必ずしもそうではありませんよね。
投稿: 廣田恵介 | 2012年4月 3日 (火) 00時19分
>原発立地から離れるほど「再稼動賛成」が増えていくんです。
もう気持ち悪い
何故賛成かという部分には触れては困るから「再起動賛成デモ」はないんでしょうね...
>シンプルに言うと、「便利さ」って、誰かしらの犠牲の上に成り立っている気がしてきました。
豊かさと便利さは対極にあるのでは...,?とさえ思えてきたもの。
投稿: ごんちゃん | 2012年4月 3日 (火) 10時41分
■ごんちゃん様
原発立地から離れるほど「再稼動賛成」が増えていくのは、仕方がないと思う。
関西で瓦礫受け入れ反対が白熱してるように、身近に危険が迫らなければ、どうしても関心が持ちづらい。
関東が汚染されなかったら、僕は今でも「東北には悪いけど、原発容認」だったと思う。
>豊かさと便利さは対極にあるのでは...,?
ある時点で、「便利さ」は限度をこえてしまった。「人助け」から「金儲け」にすり替わってしまったね。
投稿: 廣田恵介 | 2012年4月 3日 (火) 11時18分