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2012年3月24日 (土)

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キャラ★メル Febri Vol.11 本日発売
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●「渋キャラオヤジ列伝」第5回:田所正蔵(『輪廻のラグランジェ』)
女子高生が主役のロボットアニメの中で、30歳の男性司令官が、ああまで情けなくて良いものなのか? 「司令官は、やっぱり男らしくどっしりと……」、そんな手垢のついたイメージは、もう通用しない。

亡き王女への忠義立てのために地球にきた男三人組が、どうしてまた女たちに使われたり、共感してしまったりするのか?
今は「男らしくある」こと自体、悩みのタネだよね。さっさとそれを認めないと、どんどん苦しくなっていく時代。
『ラグランジェ』の中で、どうして女装が出てくるのか? スタッフは遊びでやったんだろうけど、少なくとも、ああやって生きたほうが彼は解放されるし、周囲の役にも立っているよね? そういうところを、ちゃんと見てほしい。

●『かんなぎ』 山本寛監督インタビュー
念願のヤマカン単独インタビューが実現しました。
BD-BOXの発売される『かんなぎ』のことを聞いてはいるけど、僕は『私の優しくない先輩』で「この人の作品は、すべて見よう」と決意した男ですからね。言外に、実は『フラクタル』のことがよぎったりしますよ。
ゆったりと落ち着いた、でも、静かに熱いインタビューになっていると思います。


『フラクタル』で思い出したけど、ちょっと前に、『星を追う子ども』をレンタルで見た。
0324main_c0101_largeこうして、色彩やデザインだけでなく、細かいタイミングまで模倣されるようになった(かつ、見た人が容易に指摘できるようになった)ということは、スタジオ・ジブリはクラシックになったんだよね。
ジブリというよりは『シュナの旅』の影響が強いんだけど、その見せ方が限界にきて、持ち駒が尽きてきた辺りから、じわじわと味が出てくる。
『ゲド戦記』は、そこから先がなかったわけだけど、新海誠さんは、やっぱり、少女の内面に入らざるを得ないんだ。

そんな「少女の内面」なんて、僕は少しもリアルには感じないんだけど……、「人は最後に何にすがるか」「結局、その人は、何の奴隷なのか」という秘密を、「作品」という手続きを通して、作家さんは公にしてくれるんですよ。
そもそも、「ジブリっぽい」見せ方が手詰まりになっていく過程そのものが、まさにこの映画の見せ場ではないですか。普通は、恥ずかしくて見せられないです。

そうして恥をかきつづけるかぎり、新海誠さんは、僕にとって勇気ある作家として、何度でも再認識されるのです。


もうひとつ、告知。
アニメ特撮おすすめサイト「MILO!」がオープンしました。→

ライター陣は、麻宮騎亜さん、大沼弘幸さん、神崎将臣さん、春日太一さん、貴日ワタリさん、聖咲奇さん(順不同)。なんかこう、深夜の居酒屋のようなレビュー・サイトになってますよ。
私は、「いまどきのアニメ」担当で、第一回は『輪るピングドラム』の第12話について書きました。実は、この原稿を書いたころは、まだ放映が終わってなかったのです。それで、時期はずれな感じがするんだろうけど、放映中ならではのライブ感は出てると思う。

ツイッターの公式アカウントもあるので、フォローしていただけると、更新情報が早くつかめると思います。


石黒昇監督が企画されていたアニメ『エンジェル・スキャンディーズ』。
声優の増田眞澄さんのブログ。→
作曲の織茂 学さんのブログ。→

石黒監督は、「この企画は、すごく楽しい」と、よく語ってらっしゃいました。内容をうかがって、「確かに監督にピッタリだなあ」と嬉しくなって、進行具合を聞いたりしていました。
『エンジェル・スキャンディーズ』、僕の立場からは、どうやって応援したらいいかなあ……と考えはじめています。

(C)Makoto Shinkai/CMMMY

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コメント

田所というキャラクターはとても気に入っています。
分からない事や疑念の中で悩みながら決断を下していく様がいいですね。
若い女性の檄を聞いて「へ?」となったり、死ぬ気で出した決断を女の子にかっさらわれて「え?」となったり、「司令官の余裕」とは程遠い弱さや情けなさは可笑しいやら悲しいやらで、とても心を動かされます(笑)。

投稿: べっちん | 2012年3月24日 (土) 21時08分

■べっちん様
田所の魅力は、完全にファンサイドからの「発見」ですね。最初は「こうまで一般人にしてしまって、いいものかな」と、かなり疑問に思ったんですけど(笑)。

>死ぬ気で出した決断を女の子にかっさらわれて「え?」となったり

あの「え?」って、もはや声優さんの演技じゃないですよね。あまりに一般人っぽいので、逆にすごい芝居だと思いました。
『ラグランジェ』の監督・脚本家チームはおじさんの方が多いのですが、変に「男らしさ」にこだわらなかったのが、吉と出たのでしょう。

投稿: 廣田恵介 | 2012年3月25日 (日) 00時11分

>田所の魅力は、完全にファンサイドからの「発見」ですね。

そうなんですか(笑)
僕は「なんて鮮烈なキャラクター作りなんだろう!」と思っていました(笑)

「え?」とか「へ?」の間の抜けた素朴ななリアクション(に思える演技)は、田所が大真面目に事態に対処しているのに、一秒先の事も想像不能の立場に置かれている…という感じがして、とても素晴らしいと思いました。

投稿: べっちん | 2012年3月25日 (日) 01時08分

■べっちん様
シナリオだけ読むと、あんなにキャラ立ちしてないんですよ。総監督も、「何だか男性に人気が出ているみたいだね」と笑っていました。

>田所が大真面目に事態に対処しているのに、一秒先の事も想像不能の立場に置かれている…

あの人が、いちばん情報を知らされてないですからね(笑)。
ああまで、アニメ的粉飾を排除した「素」のキャラクターって、ちょっと珍しいですよね。でも、なぜか「枯れた」感じがしないのは、受け手が感情移入しているおかげですよ!

投稿: 廣田恵介 | 2012年3月25日 (日) 01時22分

やはり男性に人気があるんですか(笑)

「キャラクターが立つ」とはそもそもそういうものなのかもしれませんが、作画や演技が視聴者の目と耳に届いて、心が動いた瞬間にキャラクターが成立する、という有機的なメカニズムはとても面白いですね。

「男が~」とか「男ならば~」という価値観からとても遠くに成立している、依って立つものに乏しい、頼り無げなキャラクターであるが故に、逆説的なヒロイズムが発生しているような気がしました。

投稿: べっちん | 2012年3月25日 (日) 01時47分

■べっちん様
あのダメトリオも、男性に人気あるようです。
女性で『ラグランジェ』見ている人は、やっぱり、主役の女子たちが好きなんですよ。不思議なもんでして。

>作画や演技が視聴者の目と耳に届いて、心が動いた瞬間にキャラクターが成立する

かつては、その構造や過程を「萌え」と呼んでいましたよね。今は、キャラ表を見た瞬間に分類できないといけない。
物語についても、「今回は鬱展開」と、記号で分類しないと、受容できない人が多いですね。
(ネットで実況とかやっていると、瞬時に「こうだ」と結論しなくてはならないのでしょう)

>逆説的なヒロイズム

だとしたら、新ジャンル開拓ですよ(笑)。
だんだん、田所さん主役で、ミニドラマぐらいはつくれそうな気がしてくるから、不思議です。

投稿: 廣田恵介 | 2012年3月25日 (日) 01時58分

『ラグランジェ』の主役の女の子達は笑っても泣いても悩んでも、瑞々しくて美しく、それはそれで素晴らしいのですが、やはり僕の住む世界の「あちら側」の住人なんですよね。だから美しいとも思うのですが(笑)。
対して、田所やこのダメ男3人組は明らかに「こちら側」の住人だと思える。だから愛おしく感じてしまう。そんな気がします。

>だんだん、田所さん主役で

ワリと今、僕の中では田所さんは「もう一人の主人公」だったりします(笑)

投稿: べっちん | 2012年3月25日 (日) 02時42分

■べっちん様
たとえば、田所の視点による「もうひとつの作品世界」があるように、『ラグランジェ』には社会があるんですよね。
各勢力の利害関係も一致してたり、微妙にズレていたり、さまざまです。

その中で、主役の3人は、絶対的な責任を免除されている。ロボットに乗れるのも、この3人の女子だけなので、彼女たちは別世界に生きてますよね。

対する男たちは、ファンタジーに飛びきれない。でも、男たちがいないと、社会が成立してくれない。その、のっぴきならない構造が面白いですね。

投稿: 廣田恵介 | 2012年3月25日 (日) 02時59分

「女の子がロボットを操縦する」というと、太古のOVA時代の「アレも食べたい、コレも食べたい」的牧歌的な欲求を想起しますが、物語の構造が飛躍的に進歩していて、構造的必然性が見事だと思います>『ラグランジェ』

彼女等でなくては「伝説のロボットに乗る」というファンタジー世界へ突き抜ける事が出来ない。故にこそ地べたを這いずる情けない男たちも描く必要がある…ように感じました。

確かに『ラグランジェ』は世界観の複層性というか、社会性が面白いアニメだと思いますね。

長くなって申し訳ありませんでした。
BDを購入して廣田さんによる「KAMO☆Lag」も楽しく拝読させていただきました。
今後も引き続き、楽しみに待ちたいと思います。

投稿: べっちん | 2012年3月25日 (日) 03時56分

■べっちん様
BDを買っていただいたんですね、ありがとうございます。話数によっては、放映版から、かなり手が加わるそうです。

>物語の構造が飛躍的に進歩していて、構造的必然性が見事だと思います

本当に、そうですね。女子3人のファンタジーを支えるためのバックボーンが、ちゃんと組まれているところが見事で、勢力図や人物関係を描くと、ちゃんと円を描くようになっているんですよ。

というわけで、東京MXでは、今夜がシーズン1最終回です。

投稿: 廣田恵介 | 2012年3月25日 (日) 12時16分

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