■0209■
以前に見た『フード・インク』の姉妹編のようなドキュメンタリー、『ありあまるごちそう』。
食の裏側をえぐったドキュメンタリーは何本か見たが、どれも、今の日本の食品流通のルーズさには、かなわない。どれだけ残虐にニワトリを処理していようと、ぜんぜん清潔に見えてしまうな。
ブラジルの熱帯雨林が伐採されて、どんどん大豆畑にされていく様子が出てくる。
それらの大豆は輸出用であって、ブラジルの国民の25%は貧困層なのだという矛盾。まともな食材は、やや裕福な人から借りているヤギの乳だけで、飲み水はドブから汲んでくるのである。当然、子どもは病気になる。
さらに言うなら、ヤギの乳は人間の子どもに飲ませるので、引き離された子ヤギは、つねに飢えている。――そうまでして、人間が生きていく理由とは、何なのか。
最後に「世界中の飲み水を、すべて製品として扱いたい」「そうすれば、消費者は水の価値が分かる」と、ネスレの社長がのたまうので、もう絶望的な気分になるよ。
■
沖縄そばから、258ベクレルのセシウムが検出されました。加工の段階で、福島産の薪を使っていたそうです。
その福島産の薪を沖縄県内へ売ったのは、岐阜県の業者。何度も書くけど、社会があちこちで分断しているから、こういうことが起きる。
■
昨日は、大飯原発のストレステストの意見聴取会。反対集会に出るつもりだったけど、僕が行くまでもないかと思い、途中で引き返してしまった。
そのような行為をとがめるツイートを、帰宅してから見て、猛省させられたのだが……。(そのような厳しいツイートをしてくれるのは、やはり女性なんです)
経産省へ行くのをやめて、途中下車して、ひとつだけ分かったことがあります。
ものすごく、楽なんです。自分のことだけにしか、意識が向かわないから。「ああ、これが“無関心”ってやつか。確かに楽だな」と、ちょっと怖くなった。
靴の修理を、どこへ出そうか。クリーニングに出しているシャツは、もう出来ているだろうか。古本屋にも、寄っていきたいな……ものすごく、エゴイストになれます。
原作の『ナウシカ』で、彼女は「シュワの墓所」という地獄のような場所へ、被爆しながらたどり着こうとします。が、その手前に夢のように穏やかな楽園があり、あまりに居心地がいいので、自分の目的を忘れかけてしまう。あの「楽なんだけど怖い」感じ。
無関心もニヒリズムも、自分の胸の奥に、いつでも口を開けて待っている。
■
僕は、懲りずに「原発やめろ」「今すぐ廃炉」と怒鳴るでしょう。
だけど、潔癖症から言うわけではないですよ。廃炉作業は、僕の生きているうちには終わらない。まだ生まれてもない人たちに、後のことを押しつけて死んでいくんだ。
虫のいいことを叫んでいるという自覚ぐらいはある。
脱原発はね、汚いんですよ。分かった上で、叫ぶのです。
そもそも僕は、母を殺した犯人への憎悪で、真っ黒に汚れている。今さら、綺麗なフリなどするもんか。
後ろ指をさされ、罪悪感も何も背負い込んでいって、それが僕の人生なんだ。
(C) Allegrofilm 2005

ブラジルの熱帯雨林が伐採されて、どんどん大豆畑にされていく様子が出てくる。
それらの大豆は輸出用であって、ブラジルの国民の25%は貧困層なのだという矛盾。まともな食材は、やや裕福な人から借りているヤギの乳だけで、飲み水はドブから汲んでくるのである。当然、子どもは病気になる。
さらに言うなら、ヤギの乳は人間の子どもに飲ませるので、引き離された子ヤギは、つねに飢えている。――そうまでして、人間が生きていく理由とは、何なのか。
最後に「世界中の飲み水を、すべて製品として扱いたい」「そうすれば、消費者は水の価値が分かる」と、ネスレの社長がのたまうので、もう絶望的な気分になるよ。
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沖縄そばから、258ベクレルのセシウムが検出されました。加工の段階で、福島産の薪を使っていたそうです。
その福島産の薪を沖縄県内へ売ったのは、岐阜県の業者。何度も書くけど、社会があちこちで分断しているから、こういうことが起きる。
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昨日は、大飯原発のストレステストの意見聴取会。反対集会に出るつもりだったけど、僕が行くまでもないかと思い、途中で引き返してしまった。
そのような行為をとがめるツイートを、帰宅してから見て、猛省させられたのだが……。(そのような厳しいツイートをしてくれるのは、やはり女性なんです)
経産省へ行くのをやめて、途中下車して、ひとつだけ分かったことがあります。
ものすごく、楽なんです。自分のことだけにしか、意識が向かわないから。「ああ、これが“無関心”ってやつか。確かに楽だな」と、ちょっと怖くなった。
靴の修理を、どこへ出そうか。クリーニングに出しているシャツは、もう出来ているだろうか。古本屋にも、寄っていきたいな……ものすごく、エゴイストになれます。
原作の『ナウシカ』で、彼女は「シュワの墓所」という地獄のような場所へ、被爆しながらたどり着こうとします。が、その手前に夢のように穏やかな楽園があり、あまりに居心地がいいので、自分の目的を忘れかけてしまう。あの「楽なんだけど怖い」感じ。
無関心もニヒリズムも、自分の胸の奥に、いつでも口を開けて待っている。
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僕は、懲りずに「原発やめろ」「今すぐ廃炉」と怒鳴るでしょう。
だけど、潔癖症から言うわけではないですよ。廃炉作業は、僕の生きているうちには終わらない。まだ生まれてもない人たちに、後のことを押しつけて死んでいくんだ。
虫のいいことを叫んでいるという自覚ぐらいはある。
脱原発はね、汚いんですよ。分かった上で、叫ぶのです。
そもそも僕は、母を殺した犯人への憎悪で、真っ黒に汚れている。今さら、綺麗なフリなどするもんか。
後ろ指をさされ、罪悪感も何も背負い込んでいって、それが僕の人生なんだ。
(C) Allegrofilm 2005
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コメント
「楽だけど怖い」この感覚...
3.11以降、「あたり前の生活」の中で周期的にやってくる恐怖と罪悪感もそうなのかな。でも何だろう...本来、人が生きることってこういう事なのかもしれないって思ったりもする。必要な事だよね。
テント村が無くなってしまったね....
投稿: ごんちゃん | 2012年2月10日 (金) 19時38分
■ごんちゃん様
テント村は、なくなってないはず。次の期限が13日ごろだとは聞いているけど……。
>「あたり前の生活」の中で周期的にやってくる恐怖と罪悪感
それがあるから、昔から神様に祈りを捧げたり、死者を丁重に弔ったり……を、人間は欠かさなかったんだろうね。
変な例えだけど、失恋したとき、若いころは大声で人目もはばからずに泣いたり怒鳴ったりしていた。
あの生の感情こそが、いま必要な気がしている。
投稿: 廣田恵介 | 2012年2月10日 (金) 20時13分
>失恋したとき、若いころは大声で人目もはばからずに泣いたり怒鳴ったり
私もやったやった(笑)ミスドで、小さなテーブルに額をこすりつけて「別れないで〜」って大泣きしたもん。その頃の自分はかっこわるいけど、友達は多かった。友人を裏切った彼氏を雄叫び上げながら蹴り飛ばしたこともあったっけ....
生きてたなあ(ノ_-。)
投稿: ごんちゃん | 2012年2月10日 (金) 20時47分
■ごんちゃん様
今の若い人は、恥をかきたくないから、そこまで泣いたりしないんじゃないかな。
直接、会いに行ったりしたら、即座にストーカーになってしまう社会。だから、みんな、「ほどほどに」距離をとる。
「ほどほど」は、他者への無関心の始まりだね。
投稿: 廣田恵介 | 2012年2月10日 (金) 21時05分