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ムービープラスで、『コララインとボタンの魔女』。
てっきり3Dアニメかと思っていたら、いまや懐かしさすら漂う人形アニメで、すっかり嬉しくなってしまった。しかも、ヨーロッパ映画のように、くすんだ色彩で、とても子供に受けそうもないところがいい。ディズニーみたいに満艦飾にしなくても、子供はちゃんと見てくれるんじゃないかって気がする。
人形アニメは、たとえば毛羽だったような細部は、手で触れたときに元の位置からズレてしまい、フィルムにすると「カクッ」と動く。それが可愛らしくも、また不気味な味わいを醸す。
いつまでも完成されない技術、という気がしてね。そこがセンチメンタルだし、底知れない魅力。
主人公の声は、榮倉奈々。けっこう頑張っていたけど、英語版ではダコタ・ファニングだからね。
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とても評価の高い『輪廻のラグランジェ』だけど、僕は仕事として関わっているので、なかなか誉めづらい。「どうせ、アイツは金もらってんだろ」と、丁寧に指摘してくれる人がいるから。
だけど、このブログには一本背負いを食らった。→さよならストレンジャー・ザン・パラダイス 「輪廻のラグランジェ」を見て、バックドロップについて学んでみよう!→■
ずーっと、こういう記事を読みたかった。それは『ラグランジェ』がどうとかじゃなくて、アニメと別ジャンルを、シームレスにつなげた記事って意味で。アニメの知識だけでは語りきれない、アニメの記事。窓が開いて、スコーンと空気が通った感じがする。
「アニメ」という媒体が、どれだけ閉じていたかも、よく分かるし。
一方、演出だのカット割りだの、ゴニョゴニョ言っていた俺は何だろう……と、しばし呆然とした。
僕は、このブログ主ほど、自分の趣味や視点に自信がもてない。これほど大らかに、自分と和解してないんだよな。
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本日は、東京高等検察庁で、検事さんと打ち合わせ。
公判前なので、具体的なことは書きづらいけど、これは法律で決まっているから、いいでしょう。廣田年亮被告の量刑・懲役6年6ヵ月は、これ以上、重くなりません。
つまり、被告は「6年6ヵ月、重いよ。軽くしてよ」という動機で、控訴したわけです(弁護人が控訴したのではなく、被告自身が控訴したそうです)。
この男は、包丁二本で、私の母をメッタ刺しにしたんですよ? でも、自由の身になりたいと。減刑されるのは当然であると。人間のクズですね。
最高裁で、被害者遺族が意見陳述することは珍しいそうですが、僕はやります。
もう、悲劇の主人公という気分ですらない。醜く命乞いする被告を、叩きのめす。公判期日は、来月2日。
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せっかく霞ヶ関まで来たのだから、経産省前のテント村へ。
寒空の下で、ギターを手に歌っている人がいる。テントの奥では、何人かの人たちが、車座で話し合っていた。
電力会社に雇われた、意志のない警官たちの顔を思い出した。――とても、同じ人間とは思えない。
小額だけど、カンパをして、テント村をあとにした。
いま出来るのは、たったこれだけ――。
(C) Focus features and other respective production studios and distributors.
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コメント
>人形アニメは、たとえば毛羽だったような細部は、手で触れたときに元の位置からズレてしまい、フィルムにすると「カクッ」と動く。それが可愛らしくも、また不気味な味わいを醸す。
いつまでも完成されない技術、という気がしてね。そこがセンチメンタルだし、底知れない魅力。
そうそう、それそれ!完成度とは別の話なんだよね。
いつまでも完成されない技術....素敵な響き。
「萌え」ポイントかも〜!
『コララインとボタンの魔女』観たかったの。
観ようっと(o^-^o)
>経産省前のテント村
ここって、いつまで設置されてるのかな?
投稿: ごんちゃん | 2012年1月17日 (火) 12時59分
■ごんちゃん様
>そうそう、それそれ!完成度とは別の話なんだよね。
「完成度とは別」。まさに、それ。
世の中の人は「トータルバランス」にこだわりすぎ。『コララインとボタンの魔女』だって、部分的にストーリーの進行が止まってしまうようなところがあるけど、それがまた味わいなんだよね……。
ちなみに、アートデザインは日本人だそうです。
>>経産省前のテント村
>ここって、いつまで設置されてるのかな?
ずーっと。気軽に差し入れでも持っていくといいよ。
http://tentohiroba.tumblr.com/
東電前の昼休みプチデモも、毎日誰かしらやっている。この流れは、もう誰にも止められないよ。
投稿: 廣田恵介 | 2012年1月17日 (火) 13時44分
>アートデザインは日本人
ほお...ますます観なきゃね。
>ずーっと。気軽に差し入れでも持っていくといいよ。
よかった。
何か、したくて....春先に行くことにしよ。
投稿: ごんちゃん | 2012年1月17日 (火) 13時51分
■■ごんちゃん様
上杉忠弘さんというイラストレーター。
>何か、したくて....春先に行くことにしよ。
俺は最初、マスクとカイロを持っていった。
テントの中には入りづらいけど、周囲でブラブラしている人もいるし、あそこに立ち寄ることが、つまり「認める」「応援している」ことになると思うよ。
投稿: 廣田恵介 | 2012年1月17日 (火) 14時38分
>上杉忠弘
キャラクターと建物のデザインを担当したんだね。パッと見ただけだけど、いいセンスしてるよね〜。
>さよならストレンジャー・ザン・パラダイス 「輪廻のラグランジェ」
何だかわからないけど、笑った。
完全にオリジナルの楽しみ方知ってるって感じだもんね。そういえばスポーツ好きな人って「みるもの」をそれに例えることが多い気がする。旦那も「サッカー好き」だから、私を駒にして(笑)よく試合運びやプレーに例えてるわ...その場合楽しいのは本人だけ(?)
>あそこに立ち寄ること
テレビやネットで見てるだけで分かった気になってるというか麻痺してる感じがして怖い...被災地に行きたいけどそれが叶わないのでせめてね。「被災地の復興や支援」って一体何だろう...など、漠然とした幾つかの『?』が胸をつかえたままだから。行けば少し解消されるかもしれないかなって。出来ればテントの人と話してみたい。
投稿: ごんちゃん | 2012年1月17日 (火) 17時02分
■ごんちゃん様
>そういえばスポーツ好きな人って「みるもの」をそれに例えることが多い
そう。サッカーや野球に例えられる人が、うらやましくてね。
模型が仕事で、競馬が趣味な人の話も、読んでいるだけで面白い。僕はアニメと映画のことを、ちょっと知っている程度なので、たいへんな無力感を味わっている。
>テレビやネットで見てるだけで分かった気になってるというか麻痺してる感じがして怖い...
インターネットは、飽くまでも二次的な情報・行為でしかない。
「東電を許さない」とネットに書いても、許さないことにはならない。ネットをやってない人から見れば、その行為はゼロなので。
自分の身体を使わないかぎり、何も為したことにはならない。
明日夜は、保安院前へ行くつもり。
投稿: 廣田恵介 | 2012年1月17日 (火) 17時21分