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あちこちに扉を開きすぎると、その分だけ、いろんな人が入ってくるし、何を投げ込まれても、文句は言えない。なので、減らした方がいいんだろうな、自分の場合……と反省させられた夜。
自分も関わっている雑誌の宣伝をしようとして、amazonの宣伝文をコピペして、ツイッターにリンクをはったんです。そしたら、あるアニメ作品のタイトルが誤字っていたんですよ。その時点で「RTすべきじゃないだろ。。」と言われ、さらには「ファンとして殴りたい」とまで書かれてしまった。
いやいや、誤字を確認しないでコピペしたのは非があるかも知れないけど、誤字った本人は出版社かamazonでしょう……。なのに、どうして俺は謝っているんだろう?
ネガティブな感情にだけ、すごく敏感に反応する人って、いるんですよ。「不幸にだけは鼻がきく」みたいな。ネットだと、静電気みたいに伝わるんですよ。人の失敗を、物陰からジーッと待っているようなヤツね。
だけど、身体と身体を向き合わせた人間関係って、深夜のファミレスでめそめそしていても、2人でメシを食っているうちに「まあ、いいか」となったりする。体が温まったら、気分もまあまあ回復したり。そういうデタラメさを、ネットは許容してくれない。
ネットで縁ができた人には失礼をするかも知れないけど、顔も知らない相手から「殴りたい」などと絡まれるリスクは、回避するに越したことはない。
なので、扉をいくつか閉めようかと思います。
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この何ヶ月か、忘れていたことがあって。
そのひとつが、いわき市との縁をどう保つのか? 夏の『マイマイ新子と千年の魔法』上映会で知り合った方が、会いたがってくれているらしい。そういう期待は裏切ってはいけない。
で、ダンボールいっぱいのマスクを寄付してもらったので、手紙を添えて、いわき市に転送しました。そうすると、夏の終わりに止まっていた感情が、ちょっと動いたんです。
東北にボランティアに行った人の「自己満足に終わってはいけない」という言葉を肝に銘じて、上映会をやったわけだけど、部屋に帰ってきたとき、やっぱり誰かに「よく頑張ったね」と抱きしめてほしかった。
その時は、「いやいや、甘えちゃいけないぞ」って否定してたんだ。「感謝の言葉さえ、固辞せねばならんのだ」って。
だけど、感情って、削れば削るほど、削りカスが溜まっていくらしい。いつかどこかで、目づまりしちゃうんですよ。
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都心に出る用事があったので、経産省前の反原発テント村へ行ってみた。
ここもやっぱり、ネットで受けた印象とは大違いで。マスクとカイロを差し入れたんだけど、「あ、そうですか。どーも」みたいな素っ気なさで。
逆に、こういう反政府活動をウェットにやられるのも苦手なので、ちょうど良かったかな。
その後、友だちと約束があったので、さらに歩いて有楽町へ。
僕は、この沈みゆく国の中で「これ」という事をしていないし、残された人生で「何が何でも、これだけは為したい」という欲望もない。
原稿を書いているのも、何人かの編集者に頼まれているからであって、自己実現ではない。書くときに、読者にプラスになるように、理想は必ず持つけれど。
つまり、「必要とされているから、生きている」としか言いようがない。
そう思ったら、ありがたくて、雑踏の中で涙がでてきた。
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最近は、この映像にガツンときました。→■
「憎んではいけない、愛されぬ者が憎むのだ」。
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コメント
お久しぶりです。
憎み続けて生きるのか、それともそれを受け入れて生きるのか
憎むって体力がいりますよね。
でも受け入れて生きるのも精神力が必要とされる。
ただ、やっぱり似たような感情を持つ人が寄ってくるようで、精神力を鍛えた方が良いのかな〜。
ん〜。難しい。
自己満足にならないような行動、関わり方。
私も常に心がけているけれど、時々褒めて欲しい感情が湧き出てしまい、未熟さを感じます。
でも私は女性だから、よかったのかもな。
女性は素直に褒めてくれるから。
男性の厳しさがあるのだろうなぁ。
私は、廣田さんは廣田さんにしか出来ないことを精一杯していて素敵だな。むしろ頑張りすぎてるのではと感じますよ。
静かだけれども確実に輝きがある。
それからなかなかコメントできないでいたのですが、今時間があるのでもう少し書かせてください☆
私は、映画を観るとき感覚で観てることが多くて、見終わって分析したり細かい話、表現ができないのです。
でも時々、レンタルDVDをみた時の廣田さんのブログがありますよね。
その日は、とてもワクワクして一気に読んでしまいます。
その作品を見てみたいなて。 廣田さんに可愛がられた作品。
そんな風な視点で映画を観れたら楽しいだろうなって思うのです。
子供の手が離れたら、廣田さんのDVD鑑賞ブログを読み返して、DVD借りて同じ場面を意識しながら楽しんでみたいというのがあるのです。
久々な上に長々とスミマセン。
あっ、今日は5月から地味に企画していた「この地域の親子がつながれる。笑顔になれる」催しものの日なんです!
初めての試みで不安と楽しみなのですが、頑張ります!
この一歩の勇気を学んだのも実は廣田さんからですよ(^^)v
投稿: ナトー | 2011年12月 9日 (金) 06時05分
↑横ヤリで失礼!
ナトーさんの発言にびっくり!「特別な日」ってそういう事だったんダア...関心。コツコツ準備してただなんてねやるじゃん
まだ、手のかかるチビがいつってのに...でも、そういうのは関係ないんだろうね。私もそのへんは分かるなあ〜忙しいとか関係ないんだよね(限度が有るが)
廣田さんの薦める映画やマンガには、何て言うか...好き嫌いが越えてる部分で作り手の「愛」を感じる物が多い。情熱というかな...オススメのほんの一部しか見てないけど、そう思ってる。
投稿: ごんちゃん | 2011年12月 9日 (金) 10時04分
■ナトー様
確かに、憎むのには体力がいります。
でも、最後に書いたように「愛されないから憎む」のです。そうしないと、心を保てない人たちもいるのです。
だったら、憎まれるほどではなくとも、笑われたり、ケナされたりする役ぐらいは、僕は買ってでていいよ、と思っています。
>ただ、やっぱり似たような感情を持つ人が寄ってくるようで、精神力を鍛えた方が良いのかな〜。
母が殺されたことを公表したとき、多数のリアクションを見ましたが、中には「あの廣田ってヤツも、十分に不幸じゃん。ホッとしたよ」みたいなニュアンス、匂いも感じました。
「自分より下を見て安心する」。それは僕にも、身に覚えがあるので、構わないと思っています。むしろ、そうやって利用してくれても結構ですよ、ぐらいの気持ち(笑)。
ただ、命を奪われた母の立場をそしることは、許しませんけれど。
それ以外は、どう言ってもらっても、構いません。
>その日は、とてもワクワクして一気に読んでしまいます。
では、なるべく映画のことも多く載せようと思います。豆電球程度でも、世の中を明るくするために書きたいですからね。
>「この地域の親子がつながれる。笑顔になれる」催しものの日
おお、すごいじゃないですか。
逆に、僕は今、そういう企画はできない(気持ち的に)ので、うらやましいです。
いい一日になることを、お祈りします(もう昼ですが……)。
■ごんちゃん様
>廣田さんの薦める映画やマンガには、何て言うか...好き嫌いが越えてる部分で作り手の「愛」を感じる物が多い。
傲慢な言い方だけど、「愛するに値するもの」を探してるんだよ。女優でも、セリフでも、何でもいいんだけど。
映画をめぐって、自分に出会いなおすしか、ルートがないような気がしていて。
だったら、映画を見ることが豊かな経験になるよう、自分からも努力はすべきだと思う。ただ待つだけではなく。
投稿: 廣田恵介 | 2011年12月 9日 (金) 13時05分
やあ、お久しぶり。と言ってもオレが誰か分かんないよね(笑)。
ヒント①:キミの大学の同期だ。
ヒント②:以前キミがガンダムの同人誌を作った時に、「外したフラウ・ボウを描いて」と頼まれて、よく判らずに「外した」感じのフラウ・ボウを描いたら「グロいからNG」とボツにされた男です。同人誌でボツにされるとは思ってなかったけど(笑)。
もうこれで分かるでしょ。
もう10年以上ご無沙汰しているけど、実はキミのブログは「メガ'80s」の頃からコンスタントに読んでます。陰ながら。というか、引っ越したらちゃんと住所連絡しなさい。毎年、八王子から年賀ハガキが帰って来ますよ(笑)。
今年は、年賀状送れないのは分かっていますが・・・。
今まで何度もコメント欄に書き込もうとしましたが、タイミングがつかめなくて、でも結局こんな変なタイミングで申し訳ない。
オレも amazon で映画ソフトなどのレビューを書いてるんで良く分かるけど、アニメやマンガ系のオタクたちは、ほんとに狭量というか、他人の間違いやら好みの違いを許す・認めることができない連中が多くて(もちろん、そうじゃない人もいますが)、常日頃から人としての器の小ささに憤慨してます。そもそも、人間というのは「過ちを犯す」生き物なんですよ。それを許すことができなければ、社会は成り立たないでしょう。だから誤字くらいの事でギャーギャーわめいてる奴らの方がおかしいんです。ちっとも気にする事はないよ。井の中の蛙が井戸の端っこ突いているだけだと思って無視してよろしい。オレもたまにアマゾンのレビューでオタクどもにケンカ売るけどね(笑)。
いま、傷心の身であるキミに、伝法な調子でコメントを寄せるのは、あまり良くないのかもしれない。ただ、ハードな人生を送っているのはキミだけじゃない事だけは言っておこうと思って。それを言ったところで何の気休めにもならないのは判るけども。まあ、たまには酒でも飲みましょう。もう何年も前に似たような事言ってそのまんまだった気がするが。スマン。
ところで、いま吉祥寺バウスシアターでやってる「アゴスティの世界」、とても良いです。時間があったら(と言っても来週いっぱいですが)ぜひ観てくれ。特にオススメは『カーネションの卵』。あと、アゴスティのドキュメンタリーが、とてもいいです。彼の言葉には、不思議なセラピーのような効果がある。オレやキミのような人間にとって、大切な出逢いになるんじゃないかな。明日、っていうか今日(土)も、『ふたつめの影』を観に行く予定です。吉祥寺が近いキミがとても羨ましい。
コメントお寄せいただいたほかの方々、横から割り込んでしまって、大変失礼いたしました。
ではいずれ、近いうちに。
投稿: Bo-he-mian | 2011年12月10日 (土) 04時16分
■Bo-he-mian様
いやいや、あの同人誌で、没にしたフラウ・ボゥは無いはずだよ。うーん、リテイクは出したかも知れないけど(笑)。
むしろ、「年賀状」というところでピンときたけど……引っ越しの通知なども、特に出してないので、すんません。
>アニメやマンガ系のオタクたちは、ほんとに狭量というか、他人の間違いやら好みの違いを許す・認めることができない連中が多くて(もちろん、そうじゃない人もいますが)、
それはねえ……それはずっと前から、感じていたことです。だから、「オタクは趣味ではなくて性格」と、このブログに書いたと思う(何年も前だけど)。
相手に対しては、完璧を求めるんだよね。そして、感性の低さを知識量で凌駕しようとするから、他人に対して冷たくなる。
だから、アニメファンだけ、いまだにキモイと言われつづけている。というか、「キモヲタ」という新しいスラングまで生んでしまった。
「三次元になんて興味ない」などと言えてしまうのは、社会にも現実にも対峙してないからでしょ。
対峙してみて、辛かったら、僕はアニメに逃避しても構わないと思う。でも、初めから人間を拒絶しているような人は、どうにもならないです。
だって、初めから他人を攻撃するか、あざ笑うスタンスで生きてるんだもん。かける言葉もないですよ。
>いま吉祥寺バウスシアターでやってる「アゴスティの世界」、とても良いです。
バウスの人は、こういうのは呼んでくれないから(笑)、知らなかった。
「セラピーのような効果」と言われると、ちょっと気になるねー。だが、今はもっぱら、それこそ癒されたくて映画を見ることのほうが増えてしまったよ。
若いころは、それこそ知識欲で映画を見ていたけどね。
いろいろ気をつかってくれて、ありがとう。
メアドは変わらず、YIV00571@nifty.comです。
年末年始は帰るところもないし、仕事してるか、ボーッとしてると思います。
投稿: 廣田恵介 | 2011年12月10日 (土) 11時29分
↑ななな..懐かしい「ガンダム同人誌」楽しかったよね〜、ガンダム好きの友人(けっこうママ友にも見せた)に回し読みされたという幸せな「へんてこ同人誌」だった。
以上、それだけです。
投稿: ごんちゃん | 2011年12月10日 (土) 16時29分
■ごんちゃん様
あの同人誌は、プロになる直前ぐらい、14年前の今ごろ(年末)だからね。
30歳になるかならないかの頃だから、悩みの多い年頃だったなあ……。
投稿: 廣田恵介 | 2011年12月10日 (土) 19時01分
■ 廣田さま
平日は、毎日深夜の仕事なので、年末あたりで声かけられそうだったら、連絡します。
始めから悪意の人、アマゾンのレビューでも見かけます。他人のレビューのコメント欄に、罵詈雑言撒き散らしていて、どんなレビュー書いているヤツだろうと思ってそいつのプロフィールを見ると、全くレビューを書いていなくて、アカウントだけ作っているという・・・最初から「荒らし」を目的にしているのが明らか。
そんな事をして何が楽しいのか、全くわかりません・・・。
吉祥寺、今日も行ってきました。土曜日は人が多いね~!
「アゴスティの世界」、本日で7作品コンプリート。こんなに夢中になった映画監督は久しぶりです。
今まで日本に全く紹介されていなかった監督です。しかも、製作から上映まで完全自主方式でやっている、とても変わった人です。その思想は「表現者は何ものにも依りかかってはいけない」という考えだそうです。トークイベントの回は満席でしたよ。
ではまた。
投稿: Bo-he-mian | 2011年12月11日 (日) 03時19分
■Bo-he-mian様
>どんなレビュー書いているヤツだろうと思ってそいつのプロフィールを見ると、全くレビューを書いていなくて、アカウントだけ作っているという・・・
ああ、はいはい。ネットでの常套的な「逃げ道」のひとつだよね。自分が何者か追及されるのが、とにかく怖い人たち。
でも、他人のミスは絶対に見逃さない。「ネットはいろいろ、便利だなあ」とは思いますね。実生活に跳ね返ってくるものがない限りにおいて。
>「アゴスティの世界」、本日で7作品コンプリート。こんなに夢中になった映画監督は久しぶりです。
予告編を見たら、確かにエネルギッシュで若々しいね。
だけど、今(とくに今週)は仕事がらみの映画を優先しなくてはならないので、昨夜は『GANTZ』後編を見て、今日は『けいおん!』行ってきます……。
でも、吉祥寺に来てるんなら、お茶ぐらい飲めたのに。でも、また次回に!
投稿: 廣田恵介 | 2011年12月11日 (日) 10時24分