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2011年12月28日 (水)

■1228■

明後日、30日に「となけっと」というイベントに出店します。→
昼11時スタートいう、かなりルーズなイベントですが、コミケ会場の近くだそうなので、寄っていってください。

売り物は、『メガゾーン23』の秘蔵発掘写真を掲載したペーパー、あと、「廣田恵介の超時空戦Ca2kf9c2紙 パッチンダム求伝」というペーパーを作ってもらいました。
これは、友人のギムレット氏の集めたパチモノ玩具に、僕がコメントを書いたペーパーです。
これらのペーパーは、一部50円で販売。

卓番とかは決まってないそうなので、当日いきなり来て、探してもらうしかないようです。
いつものように、暇そうにダラダラやってると思います。


仕事でどうしても見なくてはならなくなり、『悪人』を借りてきた。
1228001――ネットで予告編が見られると思うけど、妻夫木聡が殺人を犯してしまい、たまたま知り合った深津絵里が、罪をせおった彼を愛してしまう。
見る前は「悪趣味な話だなあ」という印象。松たか子の『告白』など、殺人を扱うことで、かえって倫理観の貧しさが感じられてしまう。

だけど、この『悪人』は違った。見ているうちに、じわじわと罪悪感がこみ上げてくる。「悪人」というのは、別に妻夫木聡のことではなくて、自分には罪がないと思っている市井の人たちの心の中に、巣食っているんだよ。
娘を殺された柄本明が「今の世の中は、失って惜しい人を持たず、ひとりで気楽になって安心している連中ばかりだ」という意味のことを言う。最近、宮崎駿がドキュメンタリーで「自分で孤独だとか言うのが、いちばん楽な世の中」と語っていて、それとも通じる。

クリスマス前になると、ニヒリストぶって「クリスマス終了のお知らせ」とか言い出すヤツがいるけど、あれは幼稚な態度だよ。「自分が愛されないのは、世の中のせいだ」って言ってるんだから。
「失って惜しい人を持っていない」のは、欠損以外の何物でもない。人間は、弱みを持っていなければならないんだ。


まだ殺人の真相を知らない深津絵里が、初めて勤めをサボって、妻夫木聡といっしょに海ぞいの料理屋で食事する。その時の笑顔がね……愛されなくても、世の中を責めなかった人というのは、きっと、ああいう笑い方をするんだよ。
そのシーンで、ボロ泣きしてしまって。

でも、やっぱり、「この映画は信用できる」と思わせるのはカメラワークやカッティングなんだ。
例えば、殺された満島ひかり(彼女も良かった。熱演だった)の遺体が、発見されるシーン。カメラは、クレーンで崖下をのぞき込むんだけど、最初は、そんなそぶりを見せない。歩いている捜査員の背中を追うフリをする。いきなり崖下を撮ったら、観客の予感がそがれてしまうから。

あと、シーンの頭に、あまり綺麗でないものを持ってくる。水揚げされたばかりの魚とか、壊される家とか。そういうシーンのつなぎ方をすると、映画全体に不安感が出てくる。
結局、映画というのは文法にしたがって、(ある意味)だまされながら見せられているわけで。ラストシーンを語っただけで「ネタバレ」と攻撃する側と、攻撃を怖れて赤字で「ネタバレ注意」とか書かねばならないネットの世界は、どんどん映画をつまらなくしている。

何かが「バレる」とか「バレない」からセーフとか、本当に窮屈な世界だよ。そんなことより「分かる/分からない」ことが肝心であって。


本日28日、ベクレルゼロを目指す八百屋さんが、笹塚で初出店。→
僕は当初、すべての八百屋さんが放射性物質ゼロのものにしか売らないようにするんだろう、と思っていた。実情は、近所のスーパーまでもが産地偽装する始末。
原発事故で、いちばん驚いたのは、食品業者の良心のなさだった。

だから、誰の心にも「悪人」はいる。

(C)2010「悪人」製作委員会

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コメント

「愛されなくても、世の中を責めなかった人」の笑顔...それだけで価値がありるねきっと。。直感的に観たい!と思った。

投稿: ごんちゃん | 2011年12月28日 (水) 17時53分

■ごんちゃん様
それは別に、泣かせるようなシーンではないんだけどね。
でも、歳くうと「こういう笑顔に人間味を感じるなあ」って気づけて、いろいろ得だと思うよ。

投稿: 廣田恵介 | 2011年12月28日 (水) 22時18分

娘がコミケどっぷり3日間の一人旅にでかけたので「となけっと」の案内をメールしてみました。寄るかな?どうかな?(散々準備を手伝わせておいて出かけてしまえば都内入りの連絡すら寄越しません…)

「悪人」はつい最近、満島ひかりさんが出ていた番組でちらっと観て興味津々。大きなスクリーンで観たら心臓に悪そうですね。

私は悪人の自覚がない善人が一番怖いです。それってどんな人?って聞かれてもうまく説明できないですが、過去にひどい目に遭わされたのは何故か皆「いい人」でした。本人は何も知らず相手だけが大変な目に遭うので、なす術がありません。

投稿: kyasリン | 2011年12月29日 (木) 10時44分

■kyasリン様
コミケ丸3日間とは、すごいですね……。
「となけっと」は、ああまで殺人的な雑踏ではないだろうから、という判断で参加することにしました。

>私は悪人の自覚がない善人が一番怖いです。

そういう人は『悪人』を見ても、「俺とは関係ない映画だな」と思っちゃうんです。
でも、世の中の大半の人は、罪悪感なんて抱かずに生きている気がして、それが怖いです。

投稿: 廣田恵介 | 2011年12月29日 (木) 12時17分

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