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2011年11月27日 (日)

■1127■

今日が返却予定日だったので、『僕らのミライへ逆回転』といっしょに借りてあった『パレード』を、深夜に見る。
1127original「どうしてこんなの借りたんだっけ?」と不審に思っていたら、香里奈だ。『深呼吸の必要』とは正反対に、大酒飲みで少し屈折していて、メガネのよく似合うお姉さん。
「イラストレーター兼雑貨屋店長」という、ムリを感じる設定はさておき、その佇まいには存在感がある。頼りになるお姉さん、といった感じ。

ただ、この映画の監督さんは、平気でそういうことをやるんだが、前シーンで「もう一軒、行くぞーっ」と泥酔していた香里奈が、次のシーンではシラフに戻って、流暢に過去を語りだしてしまう。単に、そのシーンを印象づけたいがために。
「泥酔している」という縛りの中で、いかにシーンを綺麗に見せるか? そこが面白さだと思うんだが。

たとえば、『好きだ、』の永作博美は、居酒屋で、さんざん日本酒を飲んだ挙句、部屋に帰ってウィスキーを飲み、なおかつそのシーンが、西島秀俊とのラブシーンになっている。


『好きだ、』といえば、野波真帆は、どの役だったんだ?
濡れ場を展開したのは、中村ゆりという女優らしい。野波真帆は、東宝シンデレラの割に、これといった役に恵まれていない気がする。
というより、『好きだ、』の泥酔した美女役しか知らない。泥酔した美女。劇映画において、これ以上に魅力的な役柄はないだろう。
現実では、滅多にお目にかかったことはないが。

『僕らのミライへ逆回転』は、『ニューシネマパラダイス』風の「映画への愛」(ゾワッ…)を謳った映画かと思いきや、『スモーク』のような感じ。
いつまでも文化祭気分でいたいんだ、というミシェル・ゴンドリーの軟弱な気分が、ナヨナヨッと伝わってきて、気持ちよかった。
この世で、ミシェル・ゴンドリーの悪口を言うことは、虐待に匹敵する。


今日は、早起きして、「アニメレビュー勉強会」のゲストで、浅草へ。

だいたい、言おうと思っていたことは、ほとんど言えた。レビューであれ何であれ、お金をとって売る文章は、「ああ、楽しみができた」「なんとなく、勉強になった」と思わせなければいけない。
つまり、ちょっとは世界を明るくして、世の中を少しでもマシにするために、書かれるべき。

「どうですか、私の文章はすごいでしょう!」「俺も、とうとうここまで来ましたよ!」という自己実現の過程は、他人に見えないところで、こっそりやっておく。
今年は、人前で話す機会が何度かあったし、デモにも参加した。中には、「自己実現を終えてから、それから出ておいで」と言いたくなるような若者もいた。
うーん、まあ、学生には酷だろうけれどね。

ふと気がつくと、「あっ、俺って別に人から誉められなくても平気になってたわ」とか「別に女に好かれなくても、ひとりで生きていけるなー」とか、そういう気持ちになっていることがある。
その気持ちに、まだ与えられる名前は、ないんだけれど。

(C)2010映画「パレード」製作委員会

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コメント

はじめまして最後の4行に泣けました。

投稿: ちん | 2011年11月28日 (月) 10時55分

■ちん様
はじめまして。よく読みなおしたら、悲しいことを書いてしまいましたね。

投稿: 廣田恵介 | 2011年11月28日 (月) 11時16分

廣田さん、どんどん人間としての感度とか愛情とか...そういった部分の純度が高まって来てるようにみえる
ある学者が言っていた。自分自身(性格)を変えたければ、「頭=思考」で変えようとせずに「肉体=行動」から変えていく方法がある。って...これって私のような人間には効き目があると思う。
でも、今の廣田さんにはさほど値(必要ない)しないように思う。

投稿: ごんちゃん | 2011年11月28日 (月) 19時50分

■ごんちゃん様
いろんなことに失敗して、あれもこれも諦めがつくと、結局は「やれることだけ、やっとくか」となるよ。

>自分自身(性格)を変えたければ、「頭=思考」で変えようとせずに「肉体=行動」から変えていく

やっぱり、吹きっさらしの駅のホームで、異性を待ったことのない人間には、恋愛を語る資格はないわけだよ(笑)
そんな体験をしたって、誰も誉めてくれないし、せいぜい自分の肥やしにするしかないって話だよね。

投稿: 廣田恵介 | 2011年11月28日 (月) 20時12分

はじめまして。
アニメレビュー勉強会後半に参加したねこちゃりと申します。

こちらのブログ(特に勉強会の項、ごんちゃんさんへのコメント)と昨日のTwitter(特に@fum505さんとの文通)を拝見し、共感し、勇気を分けていただいたことにお礼を申し上げたく、不躾ながらメールしました。

私も自分を支えていた大きなものを失い、長らく呆然としていましたが、少しずつ行動しようと勉強会に参加しました。ネット上ながら廣田さんの言葉に出会えてよかったです。心が少し晴れました。

廣田さんはアニメはもとより映画にもお詳しいのですね。私は映画が好きでアニメに興味を持ったので、Twitterもブログも面白く拝見しました。

今後も廣田さんの文章に出会えることを楽しみにしています。


投稿: ねこちゃり | 2011年11月29日 (火) 21時08分

■ねこちゃり様
はじめまして、こんばんは。

あの勉強会が、良い出会いになったのであれば(後半とのことで直接にお会いしてないにしても)、ますます、藤津氏に感謝しなくてはなりませんね。
ツイッターでのやりとりも、今、確認しました。よく読んでくださり、ありがとうございます。

>私も自分を支えていた大きなものを失い、長らく呆然としていましたが、少しずつ行動しようと勉強会に参加しました。

そうでしたか。
不思議なもので、私のような身になると、多くを失った人に出会う機会が、増えます。

失った空きスペースには、けっこう色々、入るものです。
何かを得たいと思ったら、僕はまず、何を手放すか探すぐらいです(笑)。

生きているかぎりは、どこかで何かを書いていると思うので、何卒よろしくお願いします。


投稿: 廣田恵介 | 2011年11月29日 (火) 22時53分

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