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2011年11月 2日 (水)

■1102■

蒼井優主演の『洋菓子店コアンドル』をレンタルしてきた。震災の一ヶ月前に封切られた映画。
これを選んだ理由は、もちろん蒼井優ならハズレはないだろう、ということ。もうひとつは、120分を切る映画がなかったこと。日常を舞台にした映画でも、平気で138分とか、長すぎるよね。

若いころは、3時間をこえる映画には、3時間なりの理由を発見できた。今は違う。ただ、だらしがないから、観客の生理を無視して、上映時間を長くしているかに見える。
今年は、映画産業が落ち込んでいるけど、けっして震災のせいばかりではないだろう。どっかで、観客を置きざりにしてきた。そのツケが回ってきたんだ。


そして、115分の『洋菓子店コアンドル』は面白かったんです。まんまと。
Co003この映画で、はじめて蒼井優を見た人は、べた惚れしてしまうだろうな。
だいたいね、映画は一秒間に24コマもあるわけで、優れた女優は、一秒に最大24種類の表現をしている。

何よりよかったのは、ラストシーン。カメラは据えっぱなしで、江口洋介が別れた奥さんに、お菓子を届けている(そのシチュエーションは、実は蒼井が仕組んだものである)。手前には、蒼井が助手席に乗ったクルマ。だが、助手席はフレームの外なので、蒼井の表情は見えない。
クルマのドアを開ける音がして、蒼井はトランクから、大きな荷物を取り出す。江口洋介は、気がつかずに奥さんと話している。蒼井は意図的に、彼らの存在を無視するかのように、カメラの前をかすめて、フレームの外へ出ていく。

実はラストに、もうワンカットあるのだが、そこでも観客の期待を裏切り、蒼井の表情は映らない。
このラストシーンでは、江口洋介の葛藤は氷解し、そのおかげで、蒼井優の感情も解放されたはずである。にも関わらず、シーン全体を支配しているのは「無関心」だ。
江口は、引きの絵で後ろを向いたまま、奥さんと話しているが、たいしたことは言っていない。蒼井にいたっては、彼らを振り返ることさえなく、別れの言葉すらなく、映画から退場してしまう。

蒼井が故郷へ帰ったのか、あるいは江口と約束したように、海外へ修行へ行ったのか、それは明示されない。ただ、蒼井のたたずまいは、とても寂しそうだ。
その「寂しそう」という部分を表現するのが、女優の役割なのである――。


江口江口と書いたが、蒼井優の天敵となる江口のりこも、素晴らしかった。
T0010521あと、今週末公開の『ハラがコレなんで』の予告が入っていた。仲里依紗の主演作としては、『純喫茶磯辺』なみに、質のともなったコメディになりそう。

「震災以来、フィクションが楽しめない」という人がいる。そういう人は感受性が強くもあるが、柔軟性に欠けてもいる。


さて、トラブルで停止していた玄海原発が、再稼働された。
僕は、停止請願に署名をしたが、当地に抗議電話をかけようとまでは思わない。それは、九州の人たちがやればいい。

僕は西日本の人たちに、「東京は被曝してない」「汚染野菜を食え」「デモなんか意味ない」と言われつづけてきた。電力会社も、いいツラの皮だが、国民もいい勝負してるよなって話です。

本日夜が取材で、仕事が奇跡的に早く進めば、参加します。
地元初のデモ、「パパ ママ ぼくの脱原発ウォーク 」 in 武蔵野・三鷹→
空気も水も食べ物も、もはや綺麗とはいえない。元には、もどるまい。でも、だからやるんだよ。

(C) 2010『洋菓子店コアンドル』製作委員会
(C) 2011『ハラがコレなんで』製作委員会

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コメント

今週の雑誌のカラーグラビアが、週刊文春が仲里依紗だし、少年マガジンは吉高由里子ですよ。
おまけにTVBrosでは『ハラがコレなんで』がらみで仲里依紗インタビュー。
映画はまず『ミッション:8ミニッツ』を見に行きたいと思ってますね。


投稿: DH98 | 2011年11月 3日 (木) 22時08分

■DH98様
情報、ありがとうございます。

「TVBros」誌は、仲さんを「こうやってイジれば面白い」的な扱いをしますよね。
というか、映画の中身に興味があるので、好きな女優でも、インタビューはほとんど読まないし、見ません。
なので、文句をいう立場にもないのですが……。

投稿: 廣田恵介 | 2011年11月 3日 (木) 23時38分

江口のりこさんの大活躍、痛快でした。
でもそれに劣らず蒼井優さんの自分勝手でわがままな演技、二人のぶつかり合いが心地よかったです。
蒼井優さんが加賀まりこさんの病床を訪れるシーンも好きです。
ドアの隙間から垣間見える室内の雰囲気が素敵でした。

麻生久美子さん目当てで行った『モテキ』。
ちょっとしか出てないけど仲里依紗さん良かったです。赤ん坊を抱いている姿を見たら『ハラがコレなんで』も見たくなった。
凄く良さそう。今晩、何処かで見ているだろうな。

投稿: イルカのおかげ | 2011年11月 5日 (土) 09時20分

■イルカのおかげ様
江口のりこは、『チェリーパイ』というお菓子映画にも出てるんですよ。
ただ、どういう役だったのかは、忘れてしまいましたが……。

>でもそれに劣らず蒼井優さんの自分勝手でわがままな演技、二人のぶつかり合いが心地よかったです。

よかったですよね。鹿児島弁というのも新鮮だったし、欠点のある人間を演じさせたほうが、蒼井優は面白くなりますね。

>麻生久美子さん目当てで行った『モテキ』。
>ちょっとしか出てないけど仲里依紗さん良かったです。

えっ、仲里依紗も出てるんですか!
じゃあ、行かないと……。『ハラがコレなんで』は、新宿武蔵野館に見にいく予定です。

投稿: 廣田恵介 | 2011年11月 5日 (土) 15時06分

『チェリーパイ』での江口のりこは、主人公の友人で、学校の先生(元担任?)に片思い、というかまとわりつく女の子の役だったと思います。
北川景子が、見た目正統派美少女ヒロインなのに自分に自信をもてないパティシエを自然に演じてましたが、個人的には肘井美佳が心に残ってしまった映画でした。

投稿: DH98 | 2011年11月 5日 (土) 18時19分

■DH98様
江口のりこは、直接、お菓子づくりに関係する役ではないんですね。
北川景子ばかり見てたので、すっかり忘れてました、ありがとうございます。

>個人的には肘井美佳が心に残ってしまった映画でした。

いやー、覚えてないです。『ハッピーフライト』にも出てたみたいですね。『ハッピーフライト』は田畑智子が、非常によかった。

やっぱり、ハリウッド大作より、女優中心の低予算邦画のほうが楽しいですね。

投稿: 廣田恵介 | 2011年11月 5日 (土) 18時30分

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