« ■0927 Untile The End of The World■ | トップページ | ■1002 6年6ヵ月■ »

2011年9月29日 (木)

■0929 10ヶ月■

いわき市へ上映会に行ったとき、とても大きな花束をいただいたのですが、とうとうすべて枯れてしまったので、玉川上水へ、埋めにいきました。
近くに、セミの亡き骸があったので、いっしょに埋めました。
今になって、「あの上映会は楽しかったなあ」と、しみじみ思えるようになりました。

昨日は、朝から仕事の打ち合わせ、午後は完成途中のデザインを担当者と見ながら、あれこれ修正して、その間は、何箇所かに電話していたので、気がまぎれました。
やっぱり、人と話すこと、仕事することは、何よりの癒しですね。

さて、ちょっと血なまぐさいことを書きます。「お前はアニメの本に書いてるんだから、イメージを統一しろ」という声が、胸の奥から聞こえてきます。
しかし、明日が判決であり、今しか書けないことだから……


正月の事件については、テレビやネットで知った人も、多いと思います。
そこでは、「胸に包丁2本が刺さったまま」と言われていたはずです。私は、警察では司法解剖の結果しか聞かされていませんでしたが、公判では、生々しい写真を見ることになりました。

しかし、刺し傷は、背中など計6ヶ所。つまり、逃げようと背中を向けたか、防ごうとあがいていたところを、次々と刺されつづけたことになります。
このメッタ刺しについて、被告は「覚えていません」と答えました。事件直後の証言を引用しても、「その時は、そう思ったんでしょうね」と他人ごと。
「今はどう思いますか?」と聞くと、「今といっても、考えはいろいろ変わりますからねえ」と、話をはぐらかす。

万事が、こういう感じでした。都合が悪くなると、「一般的に人間というのは……」などと、持論を展開して、煙にまこうとする。
私に尋問の順番が回ってきたときは、思わず「聞かれたことだけ、答えなさい!」と怒鳴りつけてしまったほどです。

しかし、弁護側の尋問や裁判員へ意見をいう時は、「妻との思い出の地を歩きたい」「銀婚式を祝いたい」と、泣き崩れる。まるで、自分が、被害者であるかのように。
だけど、メッタ刺しにしたことは、「覚えていませんなあ」。

私は、多くの友人・知人に、「まあ、お父さんのことは許してやれよ」と言われましたが、果たして、皆さんなら、罪から逃れようと態度をコロコロ変える肉親を、許せるんでしょうか?


でも、あっさりと許してしまった人たちが、証人として法廷に立ったわけです。
証人のひとりは、こう言いました。「彼が、そんな酷い事件を起こすわけがない。彼が服用していた抗うつ剤の副作用が、原因だと考えました」。

抗うつ剤を服用している人は、日本に何百万人いるのでしょう? 私の知り合いにも、チラホラいますよ。抗うつ剤の副作用で、凶暴化して人を殺すなんて話、あるんでしょうか?
私は不信に感じたので、検事さんに「抗うつ剤のことを、ちゃんと調べたのか」聞いてもらいました。……案の定、その証人のオジサンは、な~んにも調べてなかったんです。
うつ病の人たちに対する偏見も、いいとこです。そんな程度の根拠で、あっさりと証人席に座ってしまう「善意の人たち」。

なぜ、そうまで「自分の正義」に無頓着なのか。被告を許したいのは勝手だが、なぜ、そうまで根拠が曖昧なのか。
――「考えない」からですよ。習慣だけで生きてるからです。


たとえば、まだ母の火葬が終わって間もないころ、私がひとりになるたび、メソメソと泣いていたころの話。
従姉妹たちが、私の目の前で、被告に差し入れする服を、嬉々として、選んでいるんです。ユニクロで。
こっちは、被害者遺族ですよ。なのに、彼らは「おじさんは寒がりだからなあ」と、犯人のために服を選んでいる。「おじさん、ニコニコと元気そうにしてるみたいです」「ふっくらと温和な顔になってるみたいです」と、私に笑いかける。

それは、皮肉とか嫌みじゃないんです。彼らは、何も考えてないんですよ。まるで事件などなかったかのように、被告が罪など犯していないかのように、ふつうに振舞う。
事実を正面から受けとめたら、普段のように暮らせないからです。「習慣を維持できなくなってしまう」、それがイヤなだけなんです。
そういう人たちからしたら、何かを決断した人間のほうが、異常に見えるらしいんです。

事実、私は従姉妹から、「あんたのヘンなこだわりのせいで……」と、小言をいわれましたから。「習慣」にしがみついている彼らからすると、「何かにこだわっている人間は、どっかおかしい」となる(笑)。


この10ヶ月で、多くのことを学びました。
肉親を憎んでいる、怖れている人が、世の中に多くいること。「親なんだから、許してやれよ」という甘ったるい常識は、無知と習慣にもとづく、思い込みでしかない。

なるべく多くの人と、話をすべきです。思考レベルが似たような人とばかり、つるまないこと。
話せる相手に、多様性をもたせれば、より多くの意見や価値観を聞けます。というか、まず、人の話をよく聞くことですね。自分より何十歳も若いヤツの話でも、バカにしないで聞いたほうがいい。
仕事のできない人は、たいてい、人の話を聞いてませんよね。

それから、自分が悪かったら、潔く反省すること。邪魔だと思ったら、身を引く。
だいたい、40代なんて、オッサンですから。「50代からでも60代からでも、遅くはない!」といった価値観は、高齢化社会に日和った、無責任な宣伝文句でしかない。

老いれば老いるほど、習慣にまかせず、考えつづけることです。
はっきりと当事者意識をもち、創造的な生き方をする人が増えれば、かなりの数の悲劇を避けられると、僕は思うのです。

|

« ■0927 Untile The End of The World■ | トップページ | ■1002 6年6ヵ月■ »

コメント

人の話を聞く。

これは、昔からの私のテーマですが、喋りたがりで本当に難しいです(苦笑)

まだまだ修行!


彼がそんなことをするはずがない。薬のせいだ。

ニコニコ笑いながら洋服を選ぶ。


丸々同じようなセリフや状況をどこかで見たことがある気が…


目の前で起こった事を受け入れずに、何かのせいにする。


そうやって生きていく方が、多分楽なんじゃないかな。

それか、本当に臆病か。


判決、廣田さんにとって納得いく結果になりますよう、祈っています。
お天道様、どうかお願いします。


投稿: ナトー | 2011年9月30日 (金) 00時13分

■ナトー様
頭の回転のいい、創造的な人は、よく喋るそうですから、喋ることも大事ですね。
僕が無口なのは、たんにバカなので、言葉が出てこないのです。これは本当のこと。

>目の前で起こった事を受け入れずに、何かのせいにする。

証人席からも、傍聴席からも、母の遺体の写真は見えませんでした。
あの写真を見ていたら、信念も覚悟もない親戚連中は逃げ出していたはずです。
あの人たちは、条件反射で生きてますんで(笑)

>判決、廣田さんにとって納得いく結果になりますよう、祈っています。

ありがとうございます。
もし僕の納得がいかなかったら、被告も弁護人も、これから苦労することになると思いますよ。

投稿: 廣田恵介 | 2011年9月30日 (金) 00時54分

これまで、10ヶ月前の事件に関して、どう考えればいいのか...正直わからなかった。(被告に対する廣田さんの感情)きっと私の中にも、「善意の一般人」が居たのだと思う。

それが正しいとかいうことではなく正直に今は、彼を「憎い」と思ってしまった。卑怯だと思った。

何が「あんたのヘンなこだわりのせいで……」だ?!
ほんとに悔しい。

世の中には、廣田さんのような思いをしている人がきっと大勢いるのだろうね...

『はっきりと当事者意識をもち、創造的な生き方をする人が増えれば、かなりの数の悲劇を避けられる』
これは、まさにそのとおりだと思った。
世の中の悲劇が、格段に減るね...人間は何て愚かで弱い生き物なのかと思う。

廣田さんが、仕事と地元の友達のおかげで何とか元気にやってるみたいなので良かったよ...


投稿: ごんちゃん | 2011年9月30日 (金) 13時48分

切なくてコメント控えてたんですが…
許せない、ですよね。絶対許せません。薬のせいなら、薬ごと許せません。
でも、これが両親だったらと思うと自分がどういう行動にでるか想像すらできません。。。
「こだわり」に到達するまで想像を絶する苦悩があられたことでしょう…

廣田さんの記事を追いながら反省中なんですが、
数年前に近くで、介護疲れで年老いた義母の命を奪ったと当初報道された事件があったとき、
最初の報道後にほんの少し話題になっただけで他人事としてそのまま忘れていましたが、
部外者(面識すらなし)は、奪った側にも同情したんですよ。私も。「よほど疲れてたんだね、って」。
変ですよね。他人の命を奪って許される理由などないのに。


投稿: kyasリン | 2011年9月30日 (金) 15時57分

……いま裁判所から戻り、母にお酒を供えたところです。判決結果については、明日以降に。

■ごんちゃん様
「善意の一般人」は、僕の中にもいる。どこか、自分とは関係のうすいところで、無神経な正義をふりかざし、当事者を傷つけてきたはず。
だから、「考えることをやめるな」と思うのです。何か異様な事態に直面したときは、相手のことを想像する、話を聞く、意見を交わす。

>何が「あんたのヘンなこだわりのせいで……」だ?!

そう責められたとき、俺、「すみせんでした」って謝ったよ(笑)。ケンカする価値すらない相手だから。
今日も、ぞろぞろ来てたよ。自身がないヤツらは、群れたがるものだ。

>廣田さんが、仕事と地元の友達のおかげで

僕は仕事が好きだし、友だちが自慢。それだけは、間違いない。

■kyasリン様
ずいぶん、ご無沙汰してますね。
えー、薬のせいではないです。介護疲れでもないです。裁判所は、そう判断しました。

>「こだわり」に到達するまで想像を絶する苦悩があられたことでしょう…

そうでもないです。あんまり美化しないでください。被告の手前勝手で卑怯な性格、母との最後の会話から、もう目指す方向は決まっていたのです。
「被告には、一切の情け容赦をしない。徹底的に戦う」です。

>部外者(面識すらなし)は、奪った側にも同情したんですよ。私も。「よほど疲れてたんだね、って」。

分かります。私も、今まではそうだったのです。
薄甘い「人情」を自分の心の中に確認し、「よし、私は正常だ」と安心する。でも、それは自分を正当化したいから。それ以外の理由は、何もないんですよ。

人を殺してしまったら、そこで終わりです。
被告は、ありとあらゆる言い逃れをしましたが、多すぎて、ここには書ききれません(笑)

投稿: 廣田恵介 | 2011年9月30日 (金) 18時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■0929 10ヶ月■:

« ■0927 Untile The End of The World■ | トップページ | ■1002 6年6ヵ月■ »