■0831 上映会裏話その3■
2日間での来場者数は、のべ210名と聞きました。もうちょっと多かった、という情報もあります。
いわき市民の集まるショッピングセンターで無料上映する以上は、暇つぶしに来たり、託児所がわりに使ったり、それで構わないと思っていました。途中から入るのも歓迎、出ていくのも自由。そういう気軽な雰囲気にせねば、エブリアで上映する意味がなくなってしまう。
一見さん、大歓迎。それが基本スタンスです。
ただ、それでも熱心なお客さんは、チラホラといらっしゃいました。2日間、思いつくままに……。
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初日第一回の上映がピンチだったことは、昨日、書いたとおりです。
私が「是が非でも上映せねば!」と思ったのは、開場20分前に来て、ギャラリー横のミスタードーナツで、ジッと待っていた女性のお客さんが、いらしたからです。
まずは、この方を裏切るまい……と思いました。エンドクレジットが始まると、ちゃんと見てくれていたお客さんも席を立たれるのですが、この方は違いました。コトリンゴの主題歌まで、ばっちり最後まで。
全般的に、女性客は最後まで見ていかれます。年配の方も、小学生も(幼稚園まで下がってしまうと、ちょっと飽きちゃうみたいです)。初日だったか2日目だったか、記憶は曖昧ですが、子どもさんが「帰ろうよ」と席を立ったのに、コトリンゴの主題歌が終わるまで、前の席に乗り出すようにして、最後まで見ていったママさんも、いらっしゃいました。
あと、初日三回目だそうですが、20分前に来て、最後までジッと見ていった女の子数人組がいたそうで……気がつきませんでした。
初日二回目にも、最前列を陣取った、女の子グループがいました。同じ回に、ロマンスグレーの髪の女性もいて、出口で、スタッフに笑顔で話しかけていました。
何を話していたか、私は知りませんし、知る必要もありません。映画は、見た人それぞれのものだからです。
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両日とも、14時からの回が、8割ぐらいの入りで、盛況でした。
僕が覚えているのは、2日目だと思いましたが……会場に入ってくるなり、「(座っても)いい?」と聞いてきた女の子でした。ちょっと年下の妹と、お婆ちゃんを連れていました。
お婆ちゃんが「最後まで見ていくんでしょう?」と聞くと、その子は「うん」と大きくうなずきました。お婆ちゃんは、買い物をするから、終わる頃に一階で待ち合わせようと話しています。
私は「だいたい、12時半ごろに終わりますよ」と、お婆ちゃんに伝えました。
さて、女の子は最後まで見て行ってくれたのですが、途中、2~3分の間だけ、席を立ちました。そして、お婆ちゃんの腕を引っ張ってきて、横に座らせたのです。
そして、妹と3人、最後まで見て、笑顔で帰っていきました。
あるいは、帰るとき、お母さんに「面白かったね」と話しかけている子もいたとか……。
やっぱり、主役はお客さんです。映画をめぐって、あちこちで小さなドラマが起きた。それでいいじゃないですか。
失敗とか成功とか、そういうレベルのものではないです。途中で帰った方も、この映画というか、この上映会と「何らかの関係を結んだ」ことは、確かだと思います。
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さて、ちょっとバックヤードの話を。
初日には、片渕須直監督が、お忍びで来ていました。チラシを独力でつくった友人Bも一緒です。もう一人、早々と写真入りレポートをアップしてくれた(■)イラストレーターのひぐちりかこさん。
ひぐちさんは、いわき出身なので、監督に「連れていってあげてください」とお願いしたのです。
私は、彼ら3人を「お客さま」として出迎えたつもりでしたが、友人Bもひぐちさんも、廊下でチラシを配ってくれました。監督は、いわき側応援スタッフの方たちに、サインを書いてくださいました。すさまじかったのは、友人Bですね。持参したウエダハジメさんのイラストのほか、手元にある素材をすべて駆使して、入り口を飾ってくれました。
彼は、「これでは入場無料と分かりづらい」「迷っているお客さんがいたから」と、根拠があってポップをつくるんです。
彼らは臨時スタッフでしたが、常駐スタッフとして、最初に企画を相談したSさん、映像ディレクターの加納氏を紹介してくれたYくんも、東京から車で来てくれました。彼らのおかげで、残ったチラシは、すべて配りおえることが出来ました。
6月に取材したNさんは、親子で撤収作業を手伝ってくれました。また、会場手配をしてくれたG先生のお父さまも、2度、会場に来てくださり、いわき市の現状について、話して聞かせてくださいました。
……だから、私は「DVDプレーヤーの再生ボタンと停止ボタンを押しただけ」です。
会場を訪れた皆さん全員が、上映会という場をつくったのです。
(場内写真は、加納真さんによるものです)
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