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2011年8月 4日 (木)

■0804 夜の顔■

もう発表してしまっていいと思いますが、福島県いわき市で『マイマイ新子と千年の魔法』の上映会を行えることになりました。
04images日にち・会場も、ほぼ決定しているのですが、念のため、後日。今月下旬にやります。あまり告知期間がないのですが、会場は「大人も子どもも見られる、いい映画みたいですね」と、おおいに乗り気です。

この件には、6月に取材させていただいた、学習塾経営のGさん()が、大きく関与しています。この方が、まさか『マイマイ新子』にハマってくれるとは、思ってもみませんでした。この場を借りて、Gさんにお礼申し上げます。
そして、「外で遊ぶな」と言われた子供たちが、地元のショッピングモールで時間をつぶしていた……という取材時に聞いた話が、ストンとつながります。

「福島県なんて、危ないんじゃないの?」と言われそうですが、いわき市だけでも、とんでもなく広大です。そこを、丸二日間、線量計を3台も積んだ車で、走破したわけです。いわき市が危険だったら、そもそも上映しません。
基本は「マークワン・アイボール(自分の眼で確認せよ)」です。

近く現地へ行って、詳細をつめてきます。
本当にね……この映画は、2月に僕を助けてくれましたから。これからも、多くの人たちを助けてくれるだろうと思い、被災地で上映することにしたのです。

さあ、忙しくなるよ!


話はガラリと変わって、昨夜も放蕩した。五軒ぐらいハシゴしたと思う。
ガールズバーで知り合った、仮にM氏としよう、彼が「今から吉祥寺で飲みますよ」とメールをくれた。
まあ、もともと飲みに行く予定だったから、付き合うか……と出かける。

酔ってないときのM氏は、堂々として、話す内容もしっかりしていた。
まず、彼の友人の居酒屋で一杯。それまでは、近場のバーで飲んでいたそうだから、ひとり飲みに慣れているんだろう。
M氏の身の上話を聞く。彼は独身だが、なかなか辛い立場のようだ。

二軒目が、M氏いきつけのガールズバー……なのかな、あれは。女の子がカウンターに三人。だけど、M氏は「あの長髪のボーイ、いないの?」と、なぜかボーイを探しながら店に入っていく。
その長髪のボーイが、ガノタというか、モビルスーツやガンプラに詳しく、グフの話題で30分ぐらい盛り上がる。これだから、夜の街は面白い。

三軒目が、やはりM氏のなじみのキャバクラ。もう、かなりへべれけで、意味不明な行動をとって、女の子を呆然とさせていた。「こんなMさん、初めて見た……」。
俺は、彼の酔ったところしか見たことないので、まあ、こんなもんだろうと思いながら、「そろそろ、俺らの出会ったバーに行こうよ」と急かす。

しかし、僕があれだけ好きなガールズバーなのに、M氏は気乗りがしないらしい。女の子の顔すら覚えてない。そういう飄々とした、誰にも頼らないようなところが、この男にはある。

僕は、甘える。酒にも甘えるし、夜の街の女の子にも甘える。何かが、欠けているのだ。


さて、お気に入りのガールズバー。一ヶ月に5回も来ているので、けっこうポイントが溜まっている。サービスのオリジナル・カクテルをつくってくれた女の子が、「指名してよ」なんて、図々しいことをおっしゃる――でも、いいヤツだったな。メールで、自分の撮った写真おくってくれたりして。

M氏は、いよいよ、言動が意味不明なる。それはいいとして、女の子の手を引っぱって、「痛い痛い!」と叫ばせていたので、「痛がることだけは、ヤメロ」と注意する。それだけで「優しいね」と言ってもらえなんて、やっぱり、夜の街って最高。
とうとう酔いつぶれたM氏を、タクシーに押し込む。千円では帰れないというから、二千円わたす。それを後ろで見ていた女の子が、また「優しいねぇ」。

ひとりで店に戻ると、別の子が、「お絵かきしようよ」と、自分の手帳を破る。「アヤナミ描いてよ、アヤナミ」。……アヤナミって一般名詞なの? 彼女は、自分で描いたガンダムを見て、笑いころげている。なんと、かわいいヤツ。
やばい、楽しい。ガールズバー、楽しい。こないだ泣いてくれたあの子がいなくても、この店は楽しい。

だけど、その店の子たちがバイトしている朝キャバに移動してからは、最悪だった。
俺は、目の前で誰がタバコをすおうが気にしない。我慢されると、イヤなんだ。ところが、この店では、客に指名されるまで、吸ってはいけないのだという。
――そういうつまらないルールのせいで、店の雰囲気がギスギスする。僕は、無言で席を立ち、エレベーターに向かった。そこでオーナーと鉢合わせたので、ムッとしている理由を説明した。
これで、あの店に行く理由は、なくなった。

どうして、僕は気持ちのいいころあいを見はからって、サッと帰ってこられないのだろう?
そして、昼過ぎに目覚めると、きっちり現実が待っているのだった。

(c)2009 高樹のぶ子・マガジンハウス/「マイマイ新子」製作委員会

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コメント

いわき市での上映会...久しぶりに、いいニュースです。嬉しい....こんな、旅ができる映画って、かつてあるんだろうか?上映会の様子、写真撮って来てね。

見たい、見たい、見たい!!!!

うれしいね...廣田さん。

オマケ>
ガールズバー、ハマっとりますな(笑)

投稿: ごんちゃん | 2011年8月 5日 (金) 11時14分

■ごんちゃん様
自己満足ではなく、映画のためでもなく、現地の人たちのためにだけ、やる。

どんなに辛いことがあっても、大丈夫なようにね。大人も子どもも……


ガールズバーのことは、これを書かないと、なにか隠しているような気分になるから、あけすけに書いてます。

投稿: 廣田恵介 | 2011年8月 5日 (金) 12時41分

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