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2011年7月28日 (木)

■0728 たのまれグッバイ■

昨夜、いわき市行きの手引きをしてくれた、S氏と酒を飲んだ。
猛烈な勢いで『GALACTICA/ギャラクティカ』の話で、盛り上がる。「現実逃避させてくれない作品だけど、なぜか何度も見てしまう!」と。

S氏は、「眼鏡を忘れた!」と、店に戻っていった。ランプキンに盗まれたのかも知れない。


その後、よせばいいのに、吉祥寺で途中下車。今月三回目のガールズバーに寄った。

以前に、この店では、男性客と仲良くなれた……と書いた。→
その彼から、ちょくちょくメールがくる。そのメアドが、なかなか面白いので、「どういう意味?」と聞いたら、亡くなった先輩の言葉なのだそうだ。

いつものように水を頼み、少しずつ、酒を多くしてもらう。

朝が近くなり、客もまばらになった頃、僕の気に入っている子が、カウンターの前に立つ。あと三日で、お店をやめてしまうのだという。
この店では指名したことなかったんだが、それならば……と、指名する。少しでも、長く話していたかった。
(指名すると、一時間ごとにオリジナル・カクテルを出してくれるのだが、それはさておく……ともあれ、客に「損した」と思わせない、いい店だと思う)

「君がいなくなるんじゃ、もうこのお店にくる理由がないよ」「どうして? 他の女の子だって、みんないい子だよ?」
そんな謙虚さが、好きなんだ。その日は、シャツは地味だったが、帽子が洒落ていた。彼女は、どんな格好をしていたって、似合う。

僕は先日、友人に酒に誘われてから、ずいぶんと心が落ち着いていた。
なので、「この子には、知っておいてほしいな」と思い、母のことを話した。

彼女は、大粒の涙を、ぽろぽろとこぼした。慰めの言葉なんて、口にしなかった。
僕が話しおえて、話題を変えようとしても、彼女はカウンターの中に立ちつくしたまま、涙をこぼしつづけた。

店内には、誰もいなかった。
「貸し切りだね」と、ついさっきまで、彼女はいつものように笑っていたのに。
「満面の笑み」というが、いつも顔全部でわらっているような、そういう子だった。

僕は、泣かなかった。とぎれることのない彼女の涙を見ながら、いつか誰かのために泣こう、と思った。


「いいよ つきあってあげるよ
あの娘がくるまでだろ 気にすんじゃないよ
いいさ ベイビー なれっこさ あたしはね」

なんだか、『ボトムズ』の「たのまれグッバイ」が、頭を離れない。
僕の、夜の街への憧憬は、この曲が原点であるような気がしている。

どうして、やめちまうんだよ……。僕の憩いの場所が、またひとつ減った。

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コメント

「たのまれグッバイ」
「歩いて行ける距離」

タイトルだけでウルッとくる...想像がめぐって泣ける。

投稿: ごんちゃん | 2011年7月28日 (木) 18時09分

■ごんちゃん様
俺が考えたタイトルではないので、複雑な心境。

投稿: 廣田恵介 | 2011年7月28日 (木) 18時33分

>俺が考えたタイトルではないので、複雑な心境。

それはいいじゃん(笑)分かってるし。

そういうことではなく、
映画でも何でもそうなんだけど、「中身」が観る側に理解しにくい表現であっても、心理的にわからなくても、「タイトル」によって理解が深まるってない?
腑に落ちるというか、感覚的でもいいんだけどね〜。

廣田さんのキャバクラネタ(ネタじゃねーよ?)なんか、最もわからないんだけど、タイトルで腑に落ちたというか、なるほど...って思って。切なさが伝わって来た。

そういう意味です。

投稿: ごんちゃん | 2011年7月28日 (木) 21時25分

■ごんちゃん様
正直いって、もうその子に会えないんだと思うと、猛烈にさみしい。

せっかく、何も言わずに涙を流してくれる人と出会えたのに、どうしていなくなってしまうのか。
その子は、俺を「かわいそうなお客さん」として同情したのではなく、きっと、母のために泣いてくれたんだよ。

それほどの人と出会えたのに、なぜもう会えないのか。
その寂しさが伝わってくれれば、いいです。

投稿: 廣田恵介 | 2011年7月29日 (金) 00時07分

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