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2011年7月22日 (金)

■0722 東電前~経産省■

最悪な夢だった。
天変地異が起こり、外は昼間だというのに真っ暗で、ときどき、稲光のようなものが、地表に走る。「もう、都心のほうはダメだ、行かないほうがいい」との噂を聞く。
僕は、何組かの親子連れといっしょに、せめて東京の西側、被害の少ないであろう地域を目指す。だけど、それでも助からないと、僕には分かっている。しかし、とてもじゃないが、そんなことは口にはできない。

暴風雨のなか、乗りすてられた車、逃げることをあきらめて、道にうずくまっている人たち――。
僕は人々を引率してきたくせに、助けられないんだという罪悪感に、押しつぶされそうになる。そんな夢で、目覚めた。

昨夜、福島県いわき市のNさんと、電話で話した。
おそろしいのは、3月には危機感をもっていた主婦の方たちが、最近では、まるで無防備になってしまったという話だ。
原発のことばかりで、ぴりぴりするのは、確かに精神的によくない。「なるようになれ」という気分にのみこまれた方が、楽ではある……。

いつも、のほほんとしている女友達が、実は以前から食品の安全にこだわっていて、「スーパーへ行くたび、暗澹たる気持ちになる」と言っていて、ちょっと驚いたりもした。


だからというわけではないけど、2ヶ月ぶりの「東電前アクション」参加です。
今回のコースは、新橋駅前から、東京電力。そして、経済産業省へ。東電では、福島第一で働く人たちへ渡してもらうための寄せ書きを、担当者に渡す。
経産省では、さまざまな要望書を、担当者に出てきてもらって、手渡す。

ところが、東電前で、もうアクシデント発生(笑)。
22caohvx1k以前より、デモ隊が手前で止められてしまって、警官と押し問答。
デモ隊のなかから、「あなた、乱暴だわよ!」と主催者に注意する人もいて――つまり、一枚岩ではないんです。

実際、いろんな組織が「今度、こんな集まりがあります」と、ビラは配るし、マイクでアピールもする。
中には、「311前は、こういう活動はまったくしてなくて、原発のことも知らなかった」というお嬢さんも、混じっています。
しかし、それ以前から活動していた人たちもいるので、警官との小競り合いは、もう慣れている。いいとか、悪いとかじゃない。警官を挑発するのが得意な彼には、彼なりの正義がある。

同じように、東電を去る直前、「私は、あなた方を絶対に許さない。覚悟しておきなさい!」と泣いていた福島県出身の女の子も、彼女の正義を、しっかりと持っている。

これは、そういう殺伐としたデモなので、楽しくパレードする「エネパレ」とかとは違う。家族連れが来られる雰囲気ではない(笑)。


私は、ヤクザ同然の電力会社の在り方が、嫌いだ。競争にさらされぬ、その怠惰さも含めて。まっとうな企業じゃない。
経済産業省には、電子雑誌の売り込みに行ったことがある(クール・ジャパン室)が、まるで、氷のように冷たい連中だった。
そういう彼らの顔を見なければ、何もかも、話にならない気がしていた。

東電前から旗を持たされた私は、先導役のように、経産省への道をゆく。
22caei3xto保安院とエネ庁の若いのが出てきた。「どうしていつも、あなた方のような若い人しか出てこないのでしょう?」と問われて、「私が行くように、上から言われましたので……」。
ガキの使いですね。普通の企業なら、「絶対に」通用しません。そんな返事をしたら、次から仕事は来ませんよ。

彼らの、こうした甘えが、私は徹底的に気に入らない。
だけど、それは数メートルの距離から目視したから、言えるわけ。僕が参加した理由は、実は、それ以外にない。
それは、僕の正義ではないね。憎しみや逆恨みを、正義とは言わないじゃない?

あらゆること、取材なんです。取材って、相手を知ることが目的だけど、相手が僕の役割を教えてくれる。同じ空気を感じれば、おのずと分かること。
この夜、東京は寒かった。


僕には、僕に期待している人を、幻滅させたいという願望がある。
実際、僕に過剰な期待をもって近づいてきた人たちは、やがて失望し、いずれは敵に回る。そうした彼らのほうが、正しいように、僕には思える。

僕は、踏み台、跳び箱には、ちょうどいいと思う。皆、僕を跳びこえてゆく。飛距離は問題じゃない。着地点は、人それぞれだ。

――私のゆく道は、狭くて遠い。しかし、歳をとれば、そんなものなのかも知れないね。

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