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2011年6月30日 (木)

■0630 ギャング■

昨夜、友人から電話があった。僕が、いぜんとしてキャバクラへ行っていることを知って、喜んでいた。「すっかり、別人になっちゃったかと思ったけど、大丈夫だね~」と。
仕事は、あいかわらずアニメ関係ばかりだし。趣味としても、アニメは一日に一本は見て30ca0zn5kbいるし。ガンプラも、毎日、作っているし。映画は、女優中心に選ぶし……。
(←ガンプラは、頭を整理したいときに組む)

そもそも、何かが激変するとしたら、正月にあんな事件があったんだから、あの時に、別人になっていたはずであって。
ツイッターやブログでの発言は、変わったと思うよ。発言する、というのは、意志そのものだから。「発言しない=意志の放棄」だとさえ、僕は思っている。


北海道から、マスクの寄付をいただきました。ありがとうございます。
防府から届いた分を、先に、いわき市へ送りました。

いわき市で取材させていただいたNさんから、手紙が来ました。
いわき市では、福島産の野菜をつかった給食が、出されています。市長をリコールしたくても、市役所そのものが被災して、本来の機能を取りもどしていないので、それも難しいようです。

学校行事はあいかわらず、屋外(運動場)でのスポーツ大会などが「普通に」行われる予定だそうです。
Nさん自身は、何の測定も除染もしていない運動場で、子ども達を走らせたくはない。しかし、「子ども達が、不憫だ」とも言います。
――本当は、僕も、子ども用マスクを送ることには、多少の抵抗を感じました。本来、マスクなんて必要ない状態が、望ましいはずだから。

子ども達が生きのびねばならないのは、今のオッサンや老人より、よりよい人間になれる可能性があるからです。
僕の中では、「理屈」に近い。自分が黙っていても許される理由を探している若者より、本能にちかい部分で駆け回っている子どもたちの方に、生き物としての多様性が残されている。

人間は、20歳をピークに、ルートが減っていくと考えたほうがいい。
いつまでも、可能性があるなどとは思うなよ、と。歳くっても、まだルートがあるとしたら、それは、勇気と努力で切り拓いたもの。


九州電力の玄海原発が、再稼働する見込みとなりました。
それに伴い、各電力会社の株価は、のきなみ上昇しました。もちろん、福島第一がぶっ壊れたままの東京電力株も。

――日本を動かしているのは、日本政府ではありません。電力会社です。
電力会社の“政策”を、「帝国主義」と呼んだ人がいましたが、原発立地に取材したルポなんかを見ていると、まさにそう思えてきます。この国は、各電力会社の植民地じゃないか、と……。
交付金で潤い、「おばちゃんたちは何も知らないわよ」と、笑顔でごまかそうとする地元民を見ていると、いやでも「シャブ漬け」という言葉が、脳裏に浮かびます。

海江田経産相と、佐賀県知事が談笑している動画を見ましたが、数秒で消しました。
あれは、ヤクザの顔だもの。
これでは、原発を停めるどころか、もっと増えつづける。ヤクザが、法律なんて守るわけがないもの。

いつも引用している『GALACTICA/ギャラクティカ』に、いいセリフがあります。
「僕らは、過ちにたいして寛大です。なぜなら、もう文明国家じゃないからだ。その場かぎりの都合に合わせて、法を勝手に解釈し、ただ逃げ回るだけのギャングにすぎない」。

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2011年6月28日 (火)

■0628 修正■

北野武監督、『アウトレイジ』。時間が短いので、借りてみた。
315x210_2ヤクザ同士が、互いに自滅するだけの無意味な抗争を、くりひろげる。
無意味は無意味でいいんだけど、昔の武の映画には、キレとか美学が感じられた。カットワークが、鋭利だった。今はもう、だらしがないというか、カットとカットの間が「ぬるっ」と滑っている感じ。

そうなると、あとはもう、単にだらしないだけのオッサン連中が、「オトシマエだ」「カネだ」と怒鳴りあっているだけ。いま、見るべき映画ではなかったね。
もうひとつ、弾着や血糊なんかの技術が、昔より稚拙な感じがする。

やっぱり、年寄りがいきがるのは、カッコ悪いよ。風流なお年寄りは、好きだけどね。


今日、東京電力、中部電力、北陸電力、九州電力の株主総会でした。
どちらも紛糾したらしいんだけど、脱原発を求める議決(これは毎年、提出されているらしい)は、反対多数で否決。
……もうダメだ、こいつら。ホントにね、殺意がわいてきますよ。こいつらのだらしなさ、考えの足りなさときたら。

原発が危険だから……というよりも、このだらしなさがイヤなんです。
建物自体が、もうボコボコのベコベコで、耐用年数をこえてるから、停まってても、放射性物質が漏れたりするでしょ。
だけど、原発立地は、ボロだろうがなんだろうが、金のことしか考えてない。だって、交付金でつくった施設が、何十年もたって壊れてきたから、「また原発立てて、その金で修理する」っていうんだもん。
だらしがない。甘えている。知恵も工夫もない。そこに、猛然と腹が立つんです。

金がなかったら、僕の場合、営業するか、アルバイトでも何でも探すしかない。あらゆる可能性をさぐって、努力するんですよ!
なのに、国も自治体も電力会社も、大手メディアも何も、すべて原発にべったり。原発が素晴らしい完璧な技術なら、まだ分かるけれど、どんだけ壊れたままなんだよ。まだ壊れて、煙だしてるじゃん。

もうね、「歯ぁ、食いしばれ! そんな大人、修正してやる!」レベルです。
ここまでナメられて、何もいわずに知らん顔している大人は、これからの世界に必要ない。臆病者に、用はない。


それでも黙っている人は、やっぱり解離をおこしている。詳しくはこちら
ザッと見積もったところ、日本人の八割は、解離している。満員電車に押し込められて、家畜以下の扱いをうけても、我慢してるんだもん。

僕は、父親の公判が終わるまでは、思い切った行動がとれません。
正月に、父親の起こした事件が、僕の怒りの中枢にある。自分は「まだ若い」「正しい」「強い」と思っている老人は、せいぜい人殺ししか出来ない、ということです。
それは『アウトレイジ』を見ても、同じように思ったよ。

建設的なこと、創造的なことは、やはり若者がリードしてほしい。だけど、その若者がおとなしいんだから、僕らオッサンが捨て石になって、がんばるしかない。

(C)2010「アウトレイジ」製作委員会

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2011年6月27日 (月)

■0627 新潟から■

日曜日、新潟シネ・ウインドの支配人さんが、お仕事で上京してらしたので、一年ぶりぐらいに、お会いした。
この方は、僕があちこちの映画館に『マイマイ新子と千年の魔法』を上映できないか……と相談しているとき、「決して、無視したりはしませんから」と言ってくださった。
26call53ns_2『ぼくのエリ 200歳の少女』のボカシ問題、映倫のウソについても、映画館の機関紙で、取り上げてくださった。
(←「月刊ウインド」3月号に掲載)

ちょっと話がそれるが、『マイマイ新子』が配給会社から見殺し同然になったこと、『ぼくのエリ』で、配給会社が映倫から脅迫を受けて、やむなくボカシを入れさせられたこと、そのどちらについても、僕は主体性をもって、追求する人が現れるのを、待った。
しかし、アニメファンも映画ファンも、せいぜい嘆き節や恨みごとをネットに書きつける程度で、「いっちょ、配給サイドや制作サイドに、ケンカを売ってやろう」という人間は、あらわれなかった。
みんな、受動的すぎる。

僕が、読売新聞や松屋フーズに、直接メールしたのも、すべて同じこと。彼ら、ユーザーをなめきった企業に、金を払う気はないのです。
映倫が、正々堂々とウソをつらぬいたのも、僕らが黙っていたせいです。


とはいえ、本日の東京地裁610号法廷(「東電への原発差し止め訴訟・第一回公判」)に駆けつけられない、わが身の脆弱さも、呪うのです。
直接か間接か、酒が作用して、この体たらくなのが、情けない。自分なりに、落とし前をつけられるまで、この話題については触れません。

支配人さんとの会話は、映画から原発の話題におよびました。
この件については、なるべくいろいろな方と話したほうが、いいです。特に、文化を発信する立場の方。「原発は停められたけど、文化も貧しくなった」では、何の勝利でもない気がします。

ここまで、原発や放射能のことを書いていても、僕のところには、アニメ関連の仕事しか来ません(笑)。
別に「うざったいやつ」と思われて、仕事が来なくなったなんてことは、ありません。だから、どんどん発言すべきと思います。
あいかわらず、日本のアニメは面白い。ほかの国には、決してマネのできないものです。日本のアイデンティティとすら、僕は思っています。
「昔のアニメのほうが、面白かった」なんていうのは、オッサンの幻想であって、今が一番、面白い。
……そして、その幻想ですら、楽しいわけであって。


防府から、またマスクの寄付をいただきました。ありがとうございます。いわき市に転送します。
26cahc9750そもそも、防府とつながりが出来たのも、『マイマイ新子と千年の魔法』がきっかけです。何も、ムダにはなっていないのだ、と実感できます。
いわき市との縁も、もとをたどれば、『GALACTICA/ギャラクティカ』だしね。
オタク趣味と、放射能は、僕の中では矛盾なく存在している。

「アニメなんて見ている場合じゃないんだよ!」と、僕が言い出したら、たぶん、僕が狂ったときでしょうね。

しじみ汁と風邪薬が効いてきたようなので、この辺で。

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2011年6月25日 (土)

■0625 放射能測定会■

今朝は、三鷹市の野村羊子市議会議員が主催する、市内の測定会でした。
僕は、『マイマイ新子と千年の魔法』の、吉祥寺バウスシアターでの上映前後からの付き合いになる、ドカン隊長に誘われての参加。
参加者には、市内のママさん中心で、ミュージシャンの楯直己さんも。楯さんは、毎日コツコツと、三鷹市の線量をツイートしてくださっていて、いつかお会いしたいと思っていたので、思わず握手。
計10名ぐらいですかね。

僕は、線量計を持っていないので、ストップウォッチ係(スマホが役立った)。
数人の持ち寄った線量計で平均値を出すため、まずは一分間、場所ごとに機械を置いて“慣らし”て、15秒ずつ、三回計測。
子どもさんをつれてきているお母さんもいて、なごやかな雰囲気でした。別に、僕らは深刻ぶりたいから、測定会やってるわけじゃないのでね。


測定場所は、児童公園や小学校の近くの側溝など、計10箇所。これを二時間でまわる。僕25cah4ypojは自転車もってないので、レンタサイクルで借りた。離婚したときに、自転車を捨てたので、6年ぶりだ。

←これこれ。こういう雨水が流れ込むところには、放射性物質が溜まりやすい。水溜りなんて、絶対に足をつっこんではいけません。
ジップロックに包んだ線量計で、それぞれの数値を読み上げて、メモ。

土曜日なので、「何してるんですか?」と興味を示すかたが寄ってくるので、すかさず、同行していた西園寺みきこ議員が、勉強会のチラシを渡していました。


細かな数値は、いずれ、野村羊子議員のホームページ(こちら)にUPされますが、高くても、0.12μSv。これは、一ヶ月前より、かなり低いんだそうです。

三鷹の森ジブリ美術館の裏には、大小の公園があるのですが、いずれも、数値は警戒す25cagbx143るほどではありません。
気になる方は、楯さんが数値を加えたマップを。→こちら
(←高さ一メートルで測ったり、砂場の砂を掘り返して測ったり、いろいろトライ)

だけど、ひとりのママさんの連れてきたお子さんの行動を見ていると、気がつけば、地面から何か拾っているし、水場があると、手を触れたがるし……、それが子どもだもんね。

僕らと関係なく、普通に遊んでいる親子連れを見ていると、「世界は二つある」という、得体の知れない言葉が、浮かんできた。
原発事故“以前”を生きている人たちも、確かにいるのだ。


予定の場所をすべて回ってから、野村議員の拠点でもある絵本専門店「プーの森」で、軽く、情報交換など。
震災直後に「これはヤバイ」と避難された方など、お立場はいろいろ。線量もそうだけど、僕も悩まされている、食料(給食)の話題が多かった印象。うーん、ぜんぜん話したりない。

僕は子供はいないし、親はああなっちゃったし(公判はまだ先です)、どうして参加してるんだ?と自問した。
「この問題から、距離を置きたくないのです」と、僕は答えたと思う。僕は、アニメのことを本に書くのが仕事だから、アニメのことだけ、考えていればいいのか? 黙っているほうが賢いのだろうか? ドカン隊長にも、帰り道、そんな話をした。

帰宅すると、思わぬ答えが待っていた。→こちら
なるほど、「原発や放射能のことはツイートするな」と怒っていた、愛知県のオタクくんは「解離」していたのか! 放射能について黙っている人は、怖いから黙っているにすぎない。
この問題について、あまりに黙りすぎているのは異常だと思っていたけど、防衛本能だったのか! すごく納得したよ。

「どいてくれ。俺は、戦わねばならん」――ソウル・タイ大佐(『GALACTICA』)

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2011年6月24日 (金)

■0624 コア・ファイター■

モデルグラフィックス 8月号 明日発売
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●巻頭グラビアポエム
まさか、コア・ファイターのイラストに、ポエムを書くことになるとは……。絵は、天神英貴さんです。

空母とか航空機の知識がないもので、ファーストの小説から、単語を持ってきたりしました。なので、いろいろ矛盾しているとは思います。
だから、『ガンダム』はいじりやすいようであり、読者の反発も覚悟せねばならないという、なんとも面白い題材です。

それは、川口克己さんにインタビューしていても、感じたことです(来月の「EX大衆」に掲載予定)。


欠陥だらけの金食い虫・高速増殖炉「もんじゅ」の事故処理が、ようやく終わった。
その前夜、ひさびさに鮮明な悪夢を見た。

僕は、20代のころに付き合っていた子と、仲直りしている。場所はたしか、東京。夜だった。
もう放射能で東京は終わりだから、せめて、最後に誰かと一緒にいたい。お互いに、そう思ったので、夜の東京のあちこちを、散歩している。
だが、散歩のおわりに言われる。「それで、誰と浮気していたの?」 正確には、もっと巧妙な言い回しだ。「あなたが、ウソをついていたのは、分かっているんだけど……」とか、なんとか。

本当の終末は、こんな甘美なものではない。分かっている。
いっそ、『ノウイング』のラストのように、太陽フレアが地球に到達して、すべて一瞬に、焼き尽くしてくれれば、どんなに楽か……とも思う。
ともあれ、一昨日の夜、僕は初めて「あきらめ」に、さいなまれた。あきらめるのは、ものすごく楽だ。何も言わず、書かず、だんまりを決め込んでいる人たちの気持ちが、かなり分かった。楽ちんなんだよ。

多分この先、僕は、何度も「あきらめ」と戦っていくのだろう。ぼんやりと、妄想に耽りながら、とろけるように孤独に老け込んでいく夢は、どうやら消えてしまったらしいので。


明日は、三鷹市議会議員の野村羊子さん主催の「放射能測定会」に参加します。
ちゃんと、三鷹の森ジブリ美術館周囲も、回ってくるぜ。俺だって、安心して、またあの美術館に行きたいからね。

日曜は、『マイマイ新子と千年の魔法』で知り合った、映画館主の方と会う。今を嘆くよりは、建設的なお話ができればいいな……と思う。
そして、月曜は東京地裁へ。北海道の老人が、原発の存在そのものについて、訴訟を起こしたという。610号法廷で、その初公判の傍聴。

いろいろ忙しいので、まだ、あきらめているヒマはないらしい。

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2011年6月22日 (水)

■0622 いわき市その後■

最近は、あまり聞かなくなったけど、児童ポルノ法規制強化が叫ばれたころ、「三次元なんて興味ねーよ」というキャッチフレーズを、ネットのあちこちで見かけた。いま、「三次元なんて」で検索したら、こんなにある

ヘンリー・ダーガーがそうであったように、淡々とした労働で日銭をかせぎ、夜は部屋にこ05072108もって、空想の世界に浸る暮らしを、僕は否定しない。むしろ、そんな老後をすごしたいとすら願っていた。ダーガーに対する憧れは、いまだに揺るがない。
引きこもりの人を、屋外へ連れだそうという気にもなれない。

『花咲くいろは』というアニメについて、書こうと思った。しかしもう、アニメの世界が、やすやすと逃避を許してくれなくなったような気がして、指が止まる。
緒花という16歳の少女が、旅館で働くストーリーなのだが、自分を見捨てたも同然の母と再会するため、東京に出てくる。彼女は、母への抗議のために、雨の中、路上で座り込みをする。
実写だったら、スタッフが徹底的に地面を掃除して、NK特機あたりが、水道水を降らせて撮影するシーンだろう。

『花咲くいろは』に出てくる東京は、311以前の東京なのだ……とそう解釈しないと、緒花が路上で雨に濡れるシーンを、僕は直視できない。
それは、『花咲くいろは』と僕との「関係」なので、他人に強要はしない。ただ、アニメの世界は、水族館や動物園ではありません。「三次元なんて関係ねーよ」とは思わない。

では、いつものように、いまいましい現実の話をはじめましょう。……このブログも、変わっちゃったね。


いわき市で取材させていただいた、二児の母のNさん。
福島産の給食(牛乳)を、小学校が強要することに対してアクションを起こしたいとは、以前から聞いていました。現状は、全校の一割弱の生徒が、牛乳を拒み、麦茶などを持参している。
ただ、一校だけが、牛乳をやめるのは難しいそうです。「児童たち全員が、牛乳を飲まないかぎり、ずっとこのままでしょう」とは、学校側の弁。出ました、「他にどうしょうもない」。

ちなみに、給食で出る牛乳の産地は、福島県本宮市だそうです。市のHPに、放射線量が出てますよ。

Nさんからの情報は、もうひとつ。
川辺に行って、生物を観察する授業があり、さすがに不安に感じた父兄から、相談があったそうです(Nさんは、学校側と交渉する役員に選ばれてしまったので)。
われわれ、「危険厨」の常識では、水辺には放射性物質が溜まりやすいわけですよ。土には、放射性物質が染みこむわけですよ。葉っぱは、表面積が多いので、よけいに放射性物質がくっつく。川辺に行くなんて、とんでもない。

小学校側は、「親が反対している児童さんは、水の中には入れず、周りの生物を探させます」。ということは、危機意識はもっている?
いずれにせよ、抜本的解決ではない。ここ武蔵野近辺でさえ、「何も知らずに、娘を井の頭公園に遠足に行かせてしまった」と嘆いているお母さんが、いるぐらいだ。

結局、Nさんは「不安に思っている親御さんが、こんなにいらっしゃいます」と何度も言って、その屋外授業をやめてもらったそうです。
――何もなければ、川で生物に触れるのは、いいことのはずなんだよ。マスクなんかせずに校庭を走るのも、毎日、牛乳を飲むのも。

何が悪いのか? 原発が間違っていた。では、これ以上、あれらオンボロな機械が爆発する前に、すべて停めてしまおう。それだけの判断ができないロボットのような大人が、こんなに増えてしまった。


僕が愛用していた「松屋」の続報。
「せめて、野菜の生産地を明示してほしい」と要望しましたが、返事はコピペで「お客様より頂戴致しましたご意見ご要望は、今後の参考に活用させて頂きます。貴重なご意見等ありがとうございました」って、そんだけ。

コピペではなく、「難しい事情があって、なかなか明記できないのです」と言い訳してくれたら、俺は松屋で食事したかも知れない。コピペで聞き流す態度が、クソなわけであって。
読売新聞も同じだよ。「解約なさるのは、お客様の自由です」とでも言ってくれたら、まだ購読していたかも知れない。それを偉そうに「解約なんかできません」とのたまうから……。

会社って、ただ儲かればいいんじゃないんだよ。社会貢献しなければ、存在する意味がない。三鷹商工会で勉強したとき、いやってほど聞かされたよ。
松屋フーズも、読売新聞も、長年のユーザーをコケにした。そういう企業とは、縁を切るべし。

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2011年6月21日 (火)

■0621 誰かがやってくれる■

私は、キャバクラで放蕩することがあるので、近所でメシを食うときは「松屋」などをつかいます。
実は、「松屋フーズ」本社って、歩いて行けるぐらい近いんですよ。単純に、店舗が多いって話もあるんですが。

それで、HPを見たら「安全な食材」とか言っておいて、野菜は「国産」としか表示されてなPro02い。
だから、汚染対策をどうしているのか、メールで問い合わせたんですよ。返事が、これ。「国の方針に従い、政府が定める出荷制限のない物を使用しております。」……あの、国が信用できないから、あなた方、民間企業が一枚上をいって、信頼性を高めるべきなんじゃないの?

こうやってまた、客を減らしていく。


コメント欄で言われて、気がついたのですが、意外に「三鷹 線量」で検索してくる方が、多いようです。これもまだ、三鷹市が何もしてないからなんですけど。
たった一台の線量計を仕入れるのに、どんだけかかってるんだか……。

都が測った最新データも入ったマップを、リンクしておきます。→こちら
「都が測った」っていっても、三鷹市立南浦小学校の校庭、一箇所だけなんですけど……0.05μSvなら、まったく安心していいですね。ちなみに、僕のマンションの前は、その倍の数値です。

もうひとつ、東日本全体の広域マップも。→こちら
E9382bf3_2これを見て、「東京、助かってるじゃん」という人もいるんでしょうねー。今の僕らは、木も森も、両方見なくてはなりません。
「マスクなんかしません、外食も産地関係なくどんどんします」という方を止めようとは思いません。どうぞ、ご自由に。

ただ、十年後の三鷹を見て、泣くかも知れませんが。
今だって、夜中に、くやしくて泣くことがある。


たった一日でも、ブログの更新を休むと、どんどん情報が過ぎていってしまう。
福島第一は4号機が危機だなんて、ニュースで言ってます?  「もう、原発なんて関係ないだろ」って顔している人たちが、どの程度の情報をつかんでいるのか、ちょっと知りたい。

国内外からの情報が飛び交う中、こちらのブログには、ハッとさせられました。
「福島のルーツに思いをよせて」の、「声を上げない東京」。怖いですね。黒板に向かって、ずらりと整列した机。「起立、礼、着席」――あのころから、何も変わっていない。あの頃から、変だとは思っていた。

会社は、どこも9時から始業する。お昼休みは、12時から。一時間ずつズラせば、殺人的な満員電車も、昼食難民も避けられるはずなのに、まだやってる。
「また、原発再開しましょう」と、根は同根なんだよ。「終わりなき日常」にシャブ漬けされている。

今日、買い物の帰り、塀の上にジュースの空き瓶が置いてありました。
僕は憮然として、それを持ち帰り、自分のマンションのゴミ入れに放り込みました。「誰かが捨ててくれる」。みんな、そう思っている。そうやって、今まで来てしまった。

今夜の俺は、4号機が倒壊しないよう、もんじゅが事故らないよう、祈るだけだ。そしてゆっくり、原稿を書く。

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2011年6月19日 (日)

■0619 『その街のこども』、二回目■

『その街のこども』、結局、二回目を見てしまった。
最初は、薄い文庫本をサラッと読んだような印象。今回は、オーケストラみたいだった。ディテールのひとつひとつが、何層にも重なってくる。

佐藤江梨子が、震災で死んだ親友の、父親に会いにいく。
6096その間、森山未來はコンビニで時間をつぶし、公園で野球のフォームをとっている(それらの描写にも、ちゃんと意味がある)。
泣きながら戻ってきた、佐藤江梨子。窓から、親友の父親が手を振っている。「ほら、おじさんが手を振ってるよ」と、(佐藤ではなく)森山が、手を振りかえすのである。ここで2人は、親友の死を共有した。

俺は思った。「理不尽な死を受け入れたら、人間は強いよ」。
すると、「歩くの疲れた、タクシー乗りたい」とダラけていた佐藤江梨子が、「走れるようになった~!」と、駆け出すのである。
分かってはるわ、この映画。

でもね……、今のわれわれは過去を悼むのではなく、未来を憂えねばならないのよ。


輸出された静岡茶が、フランスに拒否されました。基準値の二倍のセシウムが検出されたからです。
静岡茶に限らず、日本産の食品は、つぎつぎと輸入を止められている、と聞きます。世界が冷たいんじゃない。汚染された食品を、あれこれ言いつくろって、市場に流通させるから、こういうことになる。

お母さんたちが、給食や家での料理に神経質になっているのも、ぜんぶ、経済を優先させた結果。
僕が、よく利用する外食産業のホームページを見ると、野菜は「国産」としか書いてない。サラダなんて、絶対に注文したくないよね。

福島第一が泥沼化しているのに、経済産業相が、「産業が停滞する」と原発の再稼働を言いだしました。いま、日本にある原発のうち、半分以上が休止しています。
……さて、どこかの街で、大停電でも起きましたか?

何より怖ろしいのは、原発なんてなくても産業が停滞しつつあり、そこら中に放射性物質が落ちたまま(風の日は舞い飛ぶ)なのに、何も気にせず、「普通に」生きている人たちが、ほとんどである点。
いや、西日本はいいんですよ? 関東で、何の危機意識もない人たちは……「さようなら」ですね。ごめんなさい。


「前回は、間に合わなかったので」と、マスクの寄付をいただきました。ありがとうございます。
0619_001_2ちゃんと子供用を多めに入れてくれて、嬉しいです。明日、いわき市に転送します。
まだ集めています。期限はありません、歓迎します。ひょっとしたら、何十年も必要だから。

「何も行動してない人が、廣田さんを責めるのは、おかしい」と言ってもらえたけど……ネガティブな発言しかできない人は、愛情に見はなされてるんだよ。親に愛されなかったとか、いろいろ。
それと戦えない人はしゃあないな、と思う。

『その街のこども』を、もう一度、見たくなってしまった。
少なくとも僕のごときオッサンは、今の事態を振りかえられない。現在進行形のまま、死んでいくしかない。その前に、やることがいっぱいある。

 (C)2010NHK

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2011年6月17日 (金)

■0617 その街のこども■

『その街のこども 劇場版』がレンタルされていたので、借りてきた。
この映画は、本当は3月11日以前に、見に行くつもりだった。『新人アニメーター育成プロジェクト』と、どちらに行くか迷って、結局は『新人~』にして、映画館に予約したその日が、11日だった。

昔の僕だったら、サトエリの魅力について語りたおして、終了……だったかも知れない。
T0009385a阪神淡路大震災も経験していないし、別れた妻は関西出身だったけど、1月17日は、東京に遊びに来ていたそうで、何の被害も受けていない。

だから、「感情移入した」といえば、それはウソになる。
一方で、『その街のこども』東日本大震災バージョンが、15年後につくられるのか?と言うと、「そんな余力はない」気がして、ゾッとした。

劇中で語られていた、「絶対に倒壊しないビルなんてない。そのビルが崩れるような地震が起きるのは、百年に一回だろう。その頃、俺たちは生きていない」というセリフは、現在進行形だから。


ツイッターをやっていると、本当に、この国は分断してしまったのかな、と思うことがあります。

首都圏で、鼻血を出す子どもが激増しているという噂が、流れています。その「噂」をきっかけに、親たちが危機感をもって動いてくれれば、それは無駄ではない。
ところが、北海道に住んでいる「理学博士」だという女性が、かたくなに否定している。
「東京の様なレベルの放射線量では……」という言い方が気に食わないので、「軽く言うぜ」と横入りしました。すると、過去も現在も、裏づけるデータがないから、安全だとおっしゃる。

もうひとつ。今度は、愛知県です。「もうツイッターで原発とか放射能の話出すのやめてほしいんだが。俺らがどうこう言ったところで政府が無能なら意味がない。」「言っても無駄なものを、正義感ぶん回してドヤ顔で書いてるのが許せないんだよ。そんなに原発だの放射能だの言いたいなら、福島原発のガレキ撤去とか手伝いにいけばいいじゃない。」
……どうするよ、コレ。

いわき市に行くにあたり、西日本から、大量にマスクの寄付をいただきました。
だから、東日本(関東も含む)以外のすべてが、被曝地域を見捨てているとは、思いません。

私個人は、西日本は、落ち着いて文化を育んでいってほしいと思っている。
ただ、安全地帯から「どうせ安全なんでしょ」などとは、口が裂けても言わないでほしい。


『その街のこども』は、ほとんどが、屋外のシーンです。ケバい女の子と夜道を歩きながら、泣いたり笑ったり、買い食いしたりする、私の好きなシチューション満載です。
ただ、「これを東京で撮ろうとしたら、15年後でも、マスクと線量計が必要だな」と、私はうなだれてしまう。
……一晩ぐらいなら、大丈夫かな。でも、若い俳優には、演じてほしくないな。

本格的な除染技術が確立されたら、僕は、十年かけても、玉川上水と井の頭公園を除染すると思う。たとえ、三鷹と吉祥寺から、人々が移住してしまっても。
そんな老後を、夢想してしまう。

(現在、三鷹市は、避難が必要な線量ではありません。→こちら

(C)2010NHK

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2011年6月16日 (木)

■0616 小名浜■

ささやかながら、来月、川崎市で「対放射能生活」プチお勉強会を、開催することになりました。
別に専門家を呼ぶわけではありませんが、いわき行きをすべて段取ってくれたS氏が、線量計で、あちこち測りまくります。
謝礼はマスクだそうなので、いわき市で知り合った方たちに、送りたいと思います。


「再生可能エネルギー法案成立に向けて」という講演が、15日に開かれました。
講演は、ソフトバンクの孫正義社長。ほかに駆けつけたのは、松田美由紀、小林武史、加藤登紀子……と聞くと、いかにも民間のイベントだけど、菅直人総理も来たんです。
原発推進の政府の代表が、エネルギーシフトの講演に来たんですよ? テレビと新聞だけ見てたら、こういう情報は、分かりません。

もうひとつ。大江健三郎、沢地久枝、鎌田慧、坂本龍一らが、9月に大規模な脱原発デモと署名をやるんです。
誰かひとりぐらいは、知っている名前があるでしょう? やっぱり、声の大きな人、文化人は、どんどん発言すべきだよ。

ただ、僕自身は、もうデモには参加しないと思う。自分の中では、地元の除染ができないか、それを考えている。
反原発は、もう多くの人がやってくれている。いま、稼働している19基の原発は、そのほとんど(13基)が、西日本にあります。西日本でも、放射性物質は見つかったし、当地の人たちががんばってくれるだろうと、信じている。

原発、放射能と聞いただけで、耳をふさぐ人たちは、関係ないかも知れないが。


いわき駅前の、夜の写真。
Iwakai_047これは確か、一軒目に入ったバーの場所を、忘れないために撮っておいたんだ。マスクを持っていくと約束したから。

ところで、マスクの寄付は、まだ受け付けています。特に、子供用。
マスクに放射性物質が付着すると、今度は、マスクそのものが、放射線を出すことになってしまうんで、ずっと必要なんです。
――皮肉なことに、いわき市より、東京のほうが、グッと線量の高いところがあるんですけどね。
マスクだけで、すべてを救えるなどと、僕はうぬぼれていない。マスクは、本当に感謝されるから、送るんですよ。

福島第一を覆う、特殊なカバーのパーツを、いわき市の小名浜港で作ってるんです。
小名浜は、この目で見てきたからね。津波で、あんなにボロボロになっても、ちゃんと機能してるんだよ。成功してほしいと願っている。

ストリート・ビューで、震災前の小名浜を見た。アクアマリンふくしまが復活したら、絶対に行くよ。


昨日、検事から電話がかかってきた。
父のことを、はっきりと「被告」と呼んでくれた。それだけで、どんなに胸のつかえが取れたか。

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2011年6月13日 (月)

■0613 七瀬かすみ■

先日のキャバクラでは、しんみりしたムードになりたくないから、母のことは黙っているつもりだった。でも、うっかり喋っちゃったみたい。メールで「その話なら、聞いたよ」と。
「今度、お好み焼き、食べにいこうね!」って、もうそれ、一年以上前から言われてるんだよね。
今、やること多くて、それどころじゃないよ。忙しくなくて、金だけあれば(離婚から3年ぐらいは、そんな夢のような日々があったのです)、だらしなく通うんだろうけどさ。

そんな俗な世界で、だらしのない、夜遊び中年のままでいられたらなあ……。
世界は、変わってしまったね。


声優の川上とも子さんが、41歳という若さで、亡くなった。
アニメの制作工程の中で、声優がアフレコするのは、(比較的)ラスト近くに来るわけで、だから、声優さんを重視してなかったのね。
だけど、川上さんが亡くなったことは、三日ぐらい経ったのに、まだ、胸に引っかかっている。

02_kasumi_p_2 ……いや、センスもへったくれもない絵でしょ?
分かってますよ。恋愛シミュレーションゲーム『トゥルーラブストーリー2』です。
僕が、ライターになるかならないか、30歳こえてからプレイしていたゲームだ。

この「かすみ」というキャラが、おさななじみとして、最初に出てくる。だから、たいていの人は、まず、かすみを好きになる。
彼女の声が、川上とも子さんだった。『少女革命ウテナ』と同じだ声と知ったときは、ショックだったよ。

あのころは、彼女もいなくてね。いなくても、いいと思っていた。一人で生きていくんだって。そういう時期も、人生には必要だ。


七瀬かすみは、球技が苦手で、高校生になっても、子どもじみたモノが好き。
「そんなの、ただの設定じゃん。実在するわけじゃないじゃん」。……分かるよ。でも、その大きなウソ、ドンくさい絵に「体温」を加えるのが、声優なんです。

この頃は、いろんな恋愛シミュレーションを買っていたから、声優の名前だけは、どんどん覚えたよ。声優さんは、みんな優秀だと思った。昔は、若い声優なんて、ヘタクソに決まっていたから。

川上さんが亡くなったのは、まるで、七瀬かすみが死んじゃったみたいでね。だから、引っかかるんだと思う。
もちろん、僕の初恋の人は、高校時代に、ちゃんといた。その頃の思い出の密度って、ゲームには入りきらないほど、ヘビーですよ。一日が、50時間ぐらいに感じられた。
でも、どっちが上とかホンモノとかじゃなくて、僕らは、複数のリアリティを生きているんだと思う。

何十回もループする『トゥルーラブストーリー2』の中をさまようことは、空しいようでいて、柔らかくて、暖かくて、例えていうなら、夢の中に似ていた。
そういえば、あの頃は、よく恋愛の夢を見ていた。やはり、多重的なリアリティを生きていたのだと思う。
僕は、夢の中で、よく泣いていた。


人の死というのは、決して一種類ではない。「ご冥福をお祈りします」は、おそらく、生者が死者を遠ざけるために考えた、呪文のようなもの。
6月11日に、ツイッターで、みんなが「黙祷」とツイートしていたのも、同じことだと思う。死を遠ざけて、生に影響を与えない知恵もあるのだ。

死は、断絶でも消滅でもない。死を、生の中で、どう機能させるのか。それは、必要だと感じた人が、おのおの考えればいいこと。
死を受容すれば、人間は強くなれる。僕は、よく知っている。

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2011年6月12日 (日)

■0612 Take My Hand■

いわき市から帰ってきてから、何となく心が軽くなり、ひさびさに『アクビガール』や、ティンカーベルのグッズを買いました。

昨日は、全国各地で、反原発デモや集会が行われました。4月10日の高円寺デモが、小規模に思えるぐらいです。
もう、この流れは止められないでしょう。デモで主張したい方は、どんどん主張すればいい。ただし、首都圏の方は、「福島を救え」などと言う前に、地元の汚染量を、心配したほうがいいですよ。福島は、遠い外国ではありません。

私は、自分の故郷を綺麗にしたいので、除染のためにNPOを立ち上げようと思いました……が、東京には、すでに専門家たちによる、NPOがあるそうです。
ともあれ、昨夜は吉祥寺で、小学校の同級生たちに会い、そんな話もしたんですが、やっぱりピンとこないみたい。
線量計を見せれば、一発なのになあ。いわき駅前のガールズバーで、実証ずみだから。


で、何だか除染活動の話は不発だったかなあ……と苦笑しながら、同級生たちと帰途につきました。もう0時を回っていたかな。吉祥寺パルコの前で、「あっ、廣田さん」と呼び止められました。
一年ぐらい前、よく指名していたキャバ嬢です。これから出勤だそうです。

「もう、NPOの話は分かった。キャバクラに行ってこい。そうしたら、聞く」と、同級生たちは言います。なんという、適当なヤツラだ。俺がこの前、吉祥寺で何万つかったと思ってるんだよ。地元は、魔窟なんだよなあ……。
しかも、嬢は「いま一緒に行ったら、同伴になっちゃうけど、いい?」って、よくないよ。同伴って、どっかでご飯たべたり、そういうお楽しみに払うお金だろう。すれ違っただけで、同伴料なんて払えるかよ!

……で、ご覧のありさまですよ。
12capos0i2朝までいましたよ。
で、せっかく指名したのに、嬢は人気あるらしくて、あちこちに呼ばれてた。何だろうな、スタイルよくて、美人すぎないからかな。

一年前に通っていたころは、とにかく泥酔して指名していたし、タクシーで一緒に帰るのが目的みたいなもんだったんだけど、今回は、なにか違った。
ずっと、手をにぎってもらっていた。にぎってくれている細い指を、じっと見つめた。その子である必要はないけど、「誰かを好きになりたいなあ」と思った。
それは多分、母の死や原発事故が、意識下で作用しているのだと思う。

その嬢は、俺が酔いにまかせて、一年前に喋っていたことを、よく覚えていた。人の話は、よく聞くべきだな。
キャバクラでも学べることは、いっぱいあるぞ。高いけどね。


いわき市で取材させていただいたNさんから、九州原産の芋焼酎が届いた。
12cahcexfyなんで俺が酒好きなのを知ってるのかな?と思ったら、たぶん、「いわき駅前を飲み歩いた」という話を、記憶してらしたのだろう。やはり、人の話は、ちゃんと聞くにこしたことないね。
Nさん、ありがとうございます。

そして、手紙には「これからも、いわき市の様子をお伝えしたい」と。これは嬉しかった。それが、目的のひとつだったから。
それと、娘さんの小学校で配布されている、線量データが同封されていました。プール周辺の草地が、とんでもなく高いですね。水+土+草は、危険だということ。
東京でも、まったく同じだよ。みんな、マスクすらしてないけどさ。

Nさんは、学校給食について、新たな試みをするそうです。
だから、福島でがんばっている人たちは、お手本なの。対放射能生活に関しては、世界で最先端をいっている。見習うべき。
「フクシマをくり返すな」とか言っている人たちは、自分だけ安全地帯にいると、信じ込んでいる。原発推進派と、程度は変わんないね。

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2011年6月10日 (金)

■0610 いわき市その5■

本日で、福島県いわき市のレポートは、いちおう終了です。
昨日から、私はツイッターで、以前のようにアニメの話題を、書くようになりました。昨日のNさんの話は、書くのが辛かったので、その反動なのかも知れません。


Nさん宅を辞した、私と水先案内人のS氏は、中部大学の武田邦彦教授の講演に行くため、「グランパルティいわき」という中世ヨーロッパ風のホテルへ、向かいました。
10cajuki8mどうですか、異様なほど大仰な建物でしょう? そして、整理券をもらうために私たちが並んだ頃には、もう300人以上が集まっていたのです。

そして、300人のうち、250人は、マスクを着用していたと思います。それだけ、危機意識の高い人たちが、市の内外から集まってきていた、ということでしょう。

同じ時刻、武田教授は、郷ヶ丘幼稚園主催の、もう少し小規模な講演に、出ておられたはずです。


さて、肝心の講演内容は、原発施設の構造がどうかとかいうより、「いわき市で、今、そしてこれから、放射能とどう戦っていくのか」に絞られていました。

私なりに、印象に残ったキーワードをもとに、要約してみます。
福島第一から噴出した放射性物質は、ほぼ出尽くしている。今、高空を舞っているような放射性物質は、ほとんどない。従って、マンションの4階以上の人は、心配しなくていい(一階の人は要注意)。
放射性物質が宙を飛んでいる時期は終わったので、雨には、それほど注意を払わなくてよい。逆に、水溜りには、地面に落ちた放射性物質が集まっているので、近づかぬこと(雨どいの放射線量が高いのも、同様の理由による)。

放射性物質とは、「粉」である。ウィルスより大きな粉なので、マスクで防げる。風の強い日は、「粉」が舞うので、必ずマスクをすること。
また、「粉」であるからには、道路の側溝など、ほこりの溜まりやすいところに集まる。子ども達を近づけぬこと。

もうひとつ。土壌に落ちた「粉」はどうなるか。時間をかけて、地面に染みていく。
まだ表土に近いところにあるうちに、除去してしまえば、線量は大幅に下がる。つまり、汚くなったところは、どんどん綺麗にすべき。


講演中、何度も地震が起きました。しかし、会場からは「おやっ」とか「あらっ」とか声が上がる程度。
武田教授も、「地震のようですが……つづけましょうか」とニッコリ。後から聞いた話ですが、この方は、講演と講演の間の数十分の間に、郷ヶ丘幼稚園へ行って、実地調査してきたそうです。
また、会場からの質問者があまりに多いため、「あとで、私のところへ各自で聞きに来てもいいですよ」と提案していました。
この年齢をかえりみぬタフさにも、おおいに元気づけられました。

福島県内の方たちからの質問は、さすがに切実なものでした。農家の方も、大勢いらっしゃいます。娘さんを関東に避難させているが、「もはや精神的な限界に来ている」との相談も……。
武田教授のスタンスは、こうです。「子供は、教師や学校の所有物ではない」「まずは自衛する努力を。お金が必要なら、国や自治体を遠慮なく利用する」

私の解釈も入っているとは思いますが、以上のように受け取りました。


雨が降る中、私はS氏にホテルまで送ってもらい、その日は飲まずに、部屋で「NHKスペシャル」と「ETV特集」を見ました。
ちょうど、いわき市のホットスポットのことを、放映していました。そのホテルから、10キロほど先のことです。

翌朝は、さわやかに晴れわたりました。
電話で約束したとおり、郷ヶ丘幼稚園に、マスクを届けに行きました。たまたま、S氏が、実家から持ってきたミネラル・ウォーターも、受け取っていただけました。
対応に出てくれた先生は、武田教授から、ほぼ同様の話を聞いてらしたので、園庭の除染計画の話を、生き生きとしてくださいました。
園内は、すでに線量計で各所を計ってあり、毎朝拭いて、「粉」を取り除いているそうです。

遅れて、登園してきた親子が、廊下を走り抜けます。親子とも、マスクをしていました。
園内は除染してあるので、子ども達も先生も、裸足です。
私たちは、何箱も運んできたマスクを、すっかり空にして、東京へ向かいました。

「汚れたものは、綺麗にできるのだ」。私は、高い線量が検出されたら、そこには住めないと思っていました。住めないところも、もちろん、あります。
しかし、ほとんどの場所は、まだ何とかなるのです。東京でも、ホットスポットが見つかりつつありますね。さて、どうしますか? 福島県では、市民がボランティアで除染をはじめています。


明日11日は、震災および原発事故(私は原発「事件」と呼びたいが)から、3ケ月です。
日本全国で、デモが開催されます。
私の興味は、「脱原発」という理念から、「地元を綺麗にする」という行動へと移りました。ですから、(かなり迷いましたが)デモには参加しません。

私には、妻も子どもも、ありません。両親は、正月にああなってしまいましたので、守るべき家族もいません。
私の母は、風であり、空気であり、花であり、花の中を流れる水です。それらを綺麗にしてから、私は死にたい。
そのために、私は、ありとあらゆる手段を行使することになりましょう。私の人生に降りかかったアレコレが、ようやく一本の矢となったのです。

全国からマスクを寄付してくださった方、ここには載せきれませんでしたが、取材に答えてくださった多くの皆さん、ありがとうございました。
福島へは、もう一度、行くと思います。あそこに流れる水は、私の家の前を流れる水と、つながっている。ほかの方は分かりませんが、私の生きている世界は、たったひとつなのです。分けられない。

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2011年6月 9日 (木)

■0609 いわき市その4■

いわき市内を、車で流してもらって、何十回も目にしたのが、このステッカーです。
タクシーの窓ガラスにも貼ってあったし、たいていの飲食店に、貼ってありました。
Iwakai_045二日目に取材した、二児の母親のNさんは、「がんばっぺ、と言われても、これ以上はがんばれない」と笑っていました。

Nさんは、市内に仕事場があるそうなのですが、たまたま、その場所が、原発から31~2キロ地点だったそうです。だから、ちょっと手前で、封鎖されてしまった。

会社としては「必ず出社しろ」とは言えず、「来たくなければ、よその営業所に通ってもいいよ」と通達したそうです。
しかし、地震で休業したぶん(会社の機器が壊れたとか)は補償されても、原発で休んだ分は、補償されません。
「これだけの思いしているのに、どうして原発だけ特別なの?」と、Nさんは困ったように笑いました。


僕は、こんな歳をして、気ままな一人暮らし(しかも自由業)なので、「普通」という感覚が狂います。
Nさんの自宅は、住宅街の中にあり、日曜日なので、近所の子ども達が一輪車などで、遊んでいました。「マスクなしで大丈夫なのかな」と、ちょっと思ってしまいます。
その感覚が、あるべき「普通」なのか、情報過多によって偏向された「普通」なのか、判断に迷います。

この日は、Nさんの長女(中学2年生)が、家で宿題をしていました。インタビューというか、雑談だったのですが、宿題の手を止めて、テーブルに座ってくれました。
学校での様子を聞くと、「誰も原発や放射能の話をしない」と。部活は文系だそうですが、暑かったら、部室の窓をあけてしまう。

ただ、娘さんはボーッとしているわけではなく(笑)、給食のデザートに「福島産」と書かれていたのを見逃さなかったそうです。「えー?とか思いながら食べたけど、他の人は、産地なんて見てなかった」。
いったい、何が普通なのか、僕には分からない。ただ、東京では、均質にならされている(隠されている)ものが、福島では、むき出しにされているような感じはありました。


せっかくなので、学校生活の話をつづけます。
Nさんの下のお子さんは小学生なのですが、学校では線量測定をしているそうです。校舎の中は、0.05ぐらいなので、安全。プールまわりは、一時期、近づけないほど高かった(0.4~0.5)が、今はもう少し低め。
問題の校庭は、0.21ぐらい。――僕だったら、マスクしますね。その前の夜に泊まったホテル前が、0.22で「うわ、高いなあ」とビビったほどですから。

ところが、学校は体育の時間は「半そで、半ズボンになりなさい、マスクを外しなさい」と指示(命令?)するそうです。
Nさんは「小学校は45分授業、中学校は50分授業」、つまり無防備状態になるのは、一時間以内だから、無理やり割り切っているそうです。苦しそうでしたね。

牛乳についても、福島産だそうです。「この子たちが20~30年後、奇形児を生んでしまった場合、あなた方は補償してくれるの?と言いたい」と、Nさん。
ここで、読んでいる方たちに言いたいが、「福島の話でしょ」と切り捨てないでほしい。関東の学校でも、福島産の牛乳は出てますよ。では、スーパーで売っている牛乳は? ヨーグルトは? 福島の問題は、東日本全体の問題。


食生活の話を、もう少し。
Nさんも、もちろん、買い物のときは産地を気にされるそうです。「福島県産」だけでなく、「○○町の□□さんが作りました」と細かく、表示が入っている。
そうすると、同じ痛みを分かち合った人間として、「三回に一回は買ってあげようか」と、情がわいてしまうんだそうです。
「だけど、私が東京に住んでいたら、同じように思ったかどうかは、分からない」。

東京の人は、心当たりがあるでしょう。僕だって、そうだ。外食しても、野菜は残します。
東京は特別だ、安全であるべきだ、という40年間の「信念」を、いまだ打ち消せないでいる。

同行していたS氏が、Nさんのご自宅の周りを、計測しました。東京よりも、線量が低い。
だけど、Nさんは「洗濯物は、外に干せない」と不安な顔です。本当は、東京の人間こそ、不安がるべきなのに。


昨日の、Gさんの塾へのお礼と同じように、Nさんにもマスクを渡しました。
「マスクは毎日使うものなので、助かります」と聞いたので、東京に帰ってから、追加で送っておきました(寄付いただいた方、あらためてありがとうございました)。

福島県内では、他の市へ避難された方が、大勢います。Nさんのお知り合いも、他市へ行かれたそうですが、そのころは検査しないと、移れなかった。
全身を検査します。すると、マスクのところだけ、すごく反応したそうです。鼻や口の周りに、放射性物質が集まっていたということ。――皆さん、風の強い日だけでも、マスクをしましょう。

Nさんは、終始、にこやかに対応してくださいました。昨夜の「東京どもムカツク!」についても、「つい、ひがんじゃうところがあるんですよ」とフォローしてくださいました。

その帰り道、ジャージを着た部活帰りの中学生たちを、見かけました。草むらに近いところを歩いていたのに、マスクをしていませんでした。あの光景が、頭を離れない。
危険だ、無神経だと言いたいんじゃない。何が普通なのか、混乱するんです。

その夜は、武田邦彦教授の講演に行きました(たまたま、いわき市で開催)。
明日は、その話と、いわき行きの雑感を記したいと思います。

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2011年6月 8日 (水)

■0608 いわき市その3■

月曜日に、マスクを寄付したばかりの郷ヶ丘幼稚園の園長さんから、丁寧なお礼状が届きました。
ちょっと嬉しくなってしまい、持っていききれなかったマスクの中から、子ども用のものを選び、すべて送付しました。

そういえば、昨日から取り上げている、Gさんの学習塾にも、マスクの詰まったダンボールが、山のように詰まれていました。
僕らが運んだ分は、意外にも、ちょっと少なかったみたいです。


さて、Gさんが教室のほうへ行くと、高校生女子2人の元気な声が、聞こえてきました。「あんたが言い出したんだから、インタビュー行きなさいよ」「やっぱり、いざとなると恥ずかしいから、いいよ」と、そんなようなことを言い合っています。

結局、塾生たちの話は聞けなかったのですが、Gさんは、さすが先生。手書きのアンケート用紙をつくって、金曜日のうちに、2人の生徒に書いてもらっていました。
08cad2tnhsスキャンしようと思ったのですが、文字起こしします。写真は掲載しますので、雰囲気をつかんでください。ノートに、手書きです。

2人は双子で、中学3年生の14歳(女子)です。まず、一人目の答えから、書いていきましょう。
(自由回答)と記したところ以外は、複数の答えから選ぶ設問になっています。

一人目の回答
Q1…3月11日の地震でこまったこと…断水、原発

Q2…4月11、12日の地震で困ったこと…断水、トイレ(何重にも丸してある)

Q3…今後、心配なこと…大きな地震がくる、原発、放射能

Q4…原発と放射能について(質問A~Eまで)

A…家の外でマスクは?…ときどきする
B…洗濯物は?…室内で干す
C…県内産や近くの県の野菜や魚…わからない
D…福島原発について…わからない
E…原発事故で特に困ったこと(自由回答)…放射能だよねー!

Q5…いわき市に住んでいる人として、これだけは言いたいと思うこと(自由回答)…福島へCome on!

2人目の回答
Q1…3月11日の地震でこまったこと…断水、電話、メール、食べ物、津波、車(ガソリン)、ふろ、トイレ、原発

特にこまったこと(自由回答)…断水したから、水くみに行くのが大変だったよ!

Q2…4月11、12日の地震で困ったこと…断水、ふろ、トイレ

Q3…今後、心配なこと…大きな地震がくる、津波、原発、放射能、自分の将来、水産業、経済

特に心配なこと(自由回答)…放射能の風評被害が超こまるよね!(かなり大きな字で)

Q4…原発と放射能について(質問A~Eまで)

A…家の外でマスクは?…必ずする
B…洗濯物は?…室内で干す
C…県内産や近くの県の野菜や魚…多分買わない
D…福島原発について…すべて廃止してほしい
E…原発事故で特に困ったこと(自由回答)…部活ができなくなったり、いわきの農業の人たちがダメになったり、いろいろ気をつけていかなきゃだめなこと。

Q5…いわき市に住んでいる人として、これだけは言いたいと思うこと(自由回答)…いわきは安全! 東京どもムカツク!


「東京どもムカツク!」 僕は、これだけでも大収穫だと思った。やはり、我々は「フクシマ」と片仮名で記して、まるで「チェルノブイリ」のように、福島県を遠ざけてきたのだ。
我々、というからには、僕もね。

水先案内人のS氏が、最初に会ったとき、「わざわざ、危険な場所へ行く必要もありませんよ?」と言った。彼は、引き返せる道を、用意してくれたのだ。
もし、あの時、「それもそうですね。福島には、縁もありませんし」と引き返していたら……


僕は、いわき駅前のホテルにチェックインし、ひとりになった。
S氏が、三つある線量計のうち、最も信頼できるやつを、ひとつ貸してくれた。このホテルは、原発から42キロ地点にあるという。線量は0.22μSvで、ちょっと高めだ。

駅前の居酒屋で、地元の名産を頼み、僕は「東京どもムカツク!」と書かれたアンケートに、見つめいった。そうだ。僕は「ムカツク!」と言われに来たのだろう。

S氏おすすめ(?)の、大人の飲み屋街をふらつく。
スナックに入っても、バーに入っても、女の子たちは、放射線量の意味が、いまひとつ分からないらしい。簡単に説明すると、「マスクが欲しいなあ」という。マスクは、ホテルになら、何箱かは置いてあるのに、どうして持ってこなかったんだ?
「東京どもムカツク!」

翌朝、二日酔いで、ホテルのロビーでS氏を待った。「福島県に、首都機能を移転せよ」とツイートした。
俺も、枝野も、菅も、誰も彼も変わらない。また、腹が立ってきた。罪悪感だ。

明日は、もうひとつの取材のことを書きます。

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2011年6月 7日 (火)

■0607 いわき市その2■

すみません、いわき市とは関係ない話題から……。
母が殺されてから、半年が経過しました。ようやく、検察と警察の動きが本格化し、私は遺族代表として、公判に出席できることとなりました。

母の死を悼むのは、実は簡単です。泣いていればいいのですから。しかし、犯人である父を憎むことが、今は必要なのです。
同じように、被災地を「かわいそう」と憐れむだけでなく、今は「原発ふざけるな!」と怒ることが必要なのです――黙っている人、多いけどね。理由は存じませんが。


4日土曜日、いわき市沿岸部を見てまわった後、市南部にある学習塾へ、お邪魔しました。

経営してらっしゃるのは、市内の塾で働いた後に、独立した30代の方です。
別に「オレが教えてやろう!」みたいな、熱血な印象はありません。非常に、おっとりした方。仮に、Gさんとしましょうか。

通っている生徒さんは、小学3年生から高校生まで、20名ぐらい。時間割でキッチリやるのではなく、勝手に来て、勝手に勉強はじめて、分からないところがあったら、Gさんに聞く。
だけど(だから?)学年トップの成績の子も、いるそうです。

この日は、生徒さんは中学生の女の子が一人、座っていました。「こんにちは!」と、明るいです。しばらくすると、高校生の女子が2人。もう少しすると、高校生の男子が一人。
勉強の邪魔になってはいけないので、教室の外で、Gさんに話を聞きました。


まずは、震災の話題から。
「3月11日より、4月11日と12日の地震が大変だった(いわき市内でも、損害の大きさがまったく異なる)」。「断水したので、水を運ぶのが日課になった。子どもたちも一時間並んで、40リットルぐらい運ぶ。それだけで、一日が終わってしまう」。「この地域では、17日まで断水」。

そして、原発。事故直後に、避難した方たちが多いそうです(これも、いわき全体とか福島全体ではなく、Gさんの見聞した範囲であることに注意)。
そうすると、避難のときにお金を使ってしまったから、もう貯金なんかない。家がなくなった人もいれば、職をなくした人もいる。
だから、身動きがとれない。


「とても皮肉なことなんですけど」と、Gさんは前置きしました。
Gさんのお父さんが、ショッピングセンターで、小・中学生向きのファンシー雑貨店を、経営されているそうです。そこの売り上げが、130%ぐらい伸びたんです。
つまり、子どもたちは余震が怖いから、遠出はできない。親から離れたくない。あるいは、「外で遊ぶと、放射性物質の影響がある」と言われる。かといって、家にいても、息抜きができない。

だから、屋内にあるファンシー雑貨店にでも、行くしかない。
ただ、いま現在は、子どもたちはマスクをしていなかったり、していたり、いろいろ。郡山市や福島市ほど、ナーバスではないとのことです。
「子どもたちは元気。僕が、一番、驚いているかも知れない」と、Gさんは苦笑します。
一時期ほど、ピリピリした雰囲気ではなくなったとのこと。

塾生の子たち2人に、アンケートをとっていただいたので、それは明日、掲載します。
本日は、とにかくGさんの声を伝えます。


「起きちゃったことは、もうしょうがない」と、Gさん。
「しかし、もう西日本の人たちは、観光になんて来てくれないだろう」。「いわき市には、工業があるけど、水産業は、もうダメだろう」。「これから5年先、10年後、どうなってしまうのか」。
いわき市には、ゴルフ場もあるし、温泉もあります。「だから、子どもたちはさておいて、リッチな老夫婦は、観光に来てほしいです。いま、安いですから」と、Gさんは笑います。

「東京の近くに、原発がひとつあって、10とか20μSvになったら、みんな原発反対と言い出しますよ」と、Gさんは穏やかに言います。
それは、静かな怒りと受けとりました。でもね、いわき市より線量の高いところが、都内には、いっぱいあるんです。
誰か、対策をとっていますか? 都知事は? 放置してますよね。マスクしている人も、たいへん少ない。

マスクの効果については、また後日。
明日は、塾生の子たちのアンケートを掲載します。「福島の子どもたち」という、紋切り的な、アグネス・チャン的な生ぬるい目線を吹き飛ばすエネルギーが、そこにはあります。

あ、アグネス・チャンって、いま何やってんでしょうね? 福島に来ればいいのに。

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2011年6月 6日 (月)

■0606 いわき市その1■

福島県いわき市から、帰ってきました。
Iwakai_001
最初に、県内で見たのが、この光景(津波で全壊・半壊した家々から出た廃棄物の山)ですから、悲壮なイメージを持ちました。
しかし、たまたま、中部大学の武田邦彦教授が、昼間と夜の2度、いわき市内で講演をしました。その内容が大変に前向きだったので、なんとなく明るい気分で、帰ってくることができたのです。

その「明るい気持ち」は、武田教授にコンタクトをとり、講演を実現させてしまった郷ヶ丘幼稚園の方と話したとき、確信に変わりました。
(皆さんから寄付していただいたマスクは、郷ヶ丘幼稚園ほか、取材させていただいた方たちに渡してきました)

郷ヶ丘幼稚園は、原発から35キロ(と私は聞いたのですが、45キロみたいです)の地点にあります。したがって、園内には、線量の高いところもあります。しかし、決して絶望することなく、「まずはコレ、次にコレを実行します」と目を輝かせてらっしゃいました。
県がどうであろうが、市がどうであろが、一切関係ない。「自衛する生き方」のお手本を、旅の最後に、目にすることができたのです。


ツイッターに次いで、しばらく、このブログでも、アニメやオタクな話は途切れると思いますので、遠慮なく、購読解除してください。
俺自身は、いわき市内の模型屋で、ガンプラを買うかどうか迷ったり、なにも眉間にしわを寄せて、旅してきたわけではないんだけどね。

最初に、ネットで話題になったゴジラ像のある、セブンイレブンの話でもしましょうか。
Iwakai_025……これ、セブンイレブンなんです。コンビニです。

津波で、柱を残して、壁を打ち抜かれた民家は、いくつも見ました。この店舗も、同じ状態だと思うんです。
でも、「店内」では、地元の野菜を売っている。「野菜大安売り」の文字のあとに、ちゃんとセブンイレブンのマークがある。
レジは、写真左がわに見える机の上にありまして、ちゃんとPOSシステムも生きているらしく、バーコードを読みとって、精算してくれます。

だけど、その横に「正」の字を手書きした、ノートが置いてある(笑)。
野菜なんかは、POSシステムを使わず、そっちで手書きして、売り上げを記録してるのかも。


僕と、水先案内人のS氏は、飲み物とお菓子なんかを買ったんだけど……。
Iwakai_023_2このトラックが「移動販売車」だそうで、内部は冷蔵庫になっています。
入ってみると、ジュースやスナック、菓子パンなどが並んでおり、けっこう充実しています。

震災から3ケ月、紆余曲折あって、このような業態になったらしいんだけど、ネットに詳しいことが書いてあるんじゃないかな。
僕は、自分の眼で見た範囲のことだけを、なるべく書きたい。


何よりも、この店舗が有名になったのは、ゴジラの頭部をはじめとする、ファンシーな彫像たちのお陰でしょう。
Iwakai_029なんかね、やたらと、ゴジラにこだわっているんです。
レジのそばで、ゴジラのお茶だったかな、そんなハリガミもしてあったし、普通の製品に「ゴジラ○○」と、オリジナルな手書きの商品シール(シールというか紙)を、ペッと貼ってあったり。

あと、VTRで何か上映していたんだけど、あれは何だったのかなあ。
ちなみに、こうして見ると、モスゴジでしょうかね、このゴジラは。


ゴジラの以外の彫像たちの写真も、載せておきましょうか。
Iwakai_031_2われわれが立ち去るとき、店の裏手にいた工員服の人たちが、ゴジラの頭にチェーンを巻いて、修理だか移設だかしてました。
いやいや、ゴジラより先に、店を直しては?と思うのですが。

でも、ちょっと内陸部へ行くと、普通のセブンイレブンも、他のコンビニも営業してるんです。
いわき市が大きいせいもあるだろうけど、いわき駅前では、夜のお店も、満杯になるほど繁盛していたし、まるで地震も津波も原発事故も、何もなかったかのよう。
そのギャップね。

だから、僕の旅も、本当にくだらない話をして、ゲラゲラ笑ったりしたこともあれば、いわき市で、地に足をつけて生活している人たちの深刻な話も聞いたり、振れ幅が、かなり大きいんです。

精神的に、ちょっと押しつぶされそうになったこともあったし、怒りのあまり、歯ぎしりしたこともありました。
でも、トータルとしては、前向きな、明るい気持ちで帰ってこられた。東京で、この三鷹で何をすべきかも、見えてきたし。

この二泊三日の旅で見聞したことを、ちょっとずつ書いていきたいと思います。
もちろん、本業があるので、遅れたりはするかも知れないけど、よろしくお願いします。

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2011年6月 3日 (金)

■0603 いわき前夜■

ここ数日、やけにスッキリした気分だと思ったら、読売新聞がポストに届かなくなっているからだ!
先日書いたように、読売本社読者センターは「解約」という言葉に過剰反応し、「解約など無理」と嘲笑してきました。この件を、ツイッターで広めてくださった方たちもいます。
もともと、原発業界のスポークスマンとして印象の悪かった読売は、さらにイメージダウンですねえ。

つまり、やろうと思えば、権威からは逃れられる、手を切ることができるんです。
だって僕、国民生活センターにさえ、「読売新聞の解約は無理かも知れない」と言われたんだよ? でも、解約できたじゃないか!

原発を止められない、それどころか、まだつくろうと自治体があがくのは、「他に方法がない」という、負け犬の論理にとらわれているからに過ぎない。

「仕方がない」「他にどうするんだ」――負け犬の口癖です。


明日朝から、二泊三日で福島県いわき市へ行ってきます。月曜夜には、帰っているはずです。

もともとは、水先案内人になってくれる方が「地元にマスクを送りたい」と言っているのを知ってから、始まった話でした。
マスクの寄付は、関東圏はもちろん、福岡、広島、山口、大阪と、西日本の方たちも多く、総勢20名の方たちから、いただきました。ありがとうございます。
『宇宙戦艦ヤマト』の石黒昇監督ほか、アニメ業界の方からも、寄付いただきました。

とりあえず、ダンボール何箱かを持っていくので、地元に交渉してみました。
S60_mapなかなか甘くありません。「どこの団体の協力もうけない」と、断られもしました。こちらが「施してやる」という姿勢では、まったくダメなんだということが、最初の一打で分かりました。

放射能汚染は東京にも広がっていますが、僕は「福島」を線引きして、対岸の火事を見るような態度から、抜け出したかった。
ところが、相手が、こちらの甘っちょろさを見越して、塀を築いてしまう可能性も、大きいわけです。

おそらく、僕はボクサーのように、ぼこられた気分で、帰ってくるのでしょう。
その「痛さ」を、東京に持ち帰ってきます。
ブログの更新は、最速で月曜夜でしょうが、ツイッター(@HIROTA0315)では、なるべく頻繁に状況を報告したいと思います。


「本物の」ジャーナリストは、もう福島第一に、どんどん乗り込んでいますよね。
僕は、原発や放射能のことをブログに書いているのに、くやしいぐらい、アニメの仕事しか来ない(笑)。
だから、みんなどんどん発言すればいい。なんでみんな、そんなにお行儀がいいのか、分からない。国に殺されかけているのに。

結婚しても離婚しても、あるいは母親を殺されても、やっぱりアニメの仕事は、つづいてくれた。つづかなくなったら、極端な話、餓死する(笑)。
フリーランスは、分かりやすくて、いいや。では、行ってきます。

誰か、ベランダの花たちに、水をやってくれると助かるんだけど、大丈夫かな。

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2011年6月 2日 (木)

■0602 永作博美■

毀誉褒貶のはげしい武田邦彦教授が、いわき市で講演を行います。
たまたま、私が行く日に重なっているので、その会場で、マスクを配布できないか、メールを送ってみました。


一回目は寝落ちしてしまった『蛇のひと』、最初から見直したら、けっこう良かった。
1261472567『人間失格』みたいな感じ……原作のね。ということは、文学性が高い=脚本力が強い。それもそのはず、WOWOWシナリオ大賞受賞作の映画化なのだ。

僕は一時期、「月刊シナリオ」を購読していた。小さなコンテストにも、応募したことがある。そっちの才能はないのかな……とあきらめていたら、ずっと後に、『創聖のアクエリオン』のCDドラマを書かせてもらえることになったけど。
シナリオ誌の投稿などを読んでみると、シナリオライター志望者って、「潜在的作家志望者」なんだよな。プロの脚本家でも、ボツになったシナリオを、小説にしちゃったりするでしょ。

ということは、脚本賞に応募されてくる作品は、それ自体が文学として完結した、「レーゼ・シナリオ」であることが多い。
この『蛇のひと』も、活字的に完結してしまっているので、映画ならではのアンビギュイティが足りてない。「整合性がとれていれば、それは優れた映画である」って人のほうが、世の中、多いんだろうけどさ……。


『蛇のひと』での永作博美は、西島秀俊演じる、謎めいた男の過去を追ううち、彼に恋してしまう。
T0009170a永作の、天然のコメディエンヌぶりを堪能できる。特に、田中圭をからかうあたりは、最高だ。ナヨナヨした年下男と組ませると、最高に面白い女優なんだよな。

でも、本当は、他の女優と競りあっているのが、一番、永作には似合っている。
だから、ふせえりと会話するシーンが、見どころかな。
女優に着目して見ていると、すべての映画が「怪獣映画」に見えてくるよ。


昨夜は、某誌編集者と打ち合わせ。
分からないことは「分からない」と、はっきり言い、それでも本だけは一生懸命に読んでいる。こういう若者と仕事ができて、本当に幸せだ。

(C) 2010 WOWOW

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