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2011年6月 7日 (火)

■0607 いわき市その2■

すみません、いわき市とは関係ない話題から……。
母が殺されてから、半年が経過しました。ようやく、検察と警察の動きが本格化し、私は遺族代表として、公判に出席できることとなりました。

母の死を悼むのは、実は簡単です。泣いていればいいのですから。しかし、犯人である父を憎むことが、今は必要なのです。
同じように、被災地を「かわいそう」と憐れむだけでなく、今は「原発ふざけるな!」と怒ることが必要なのです――黙っている人、多いけどね。理由は存じませんが。


4日土曜日、いわき市沿岸部を見てまわった後、市南部にある学習塾へ、お邪魔しました。

経営してらっしゃるのは、市内の塾で働いた後に、独立した30代の方です。
別に「オレが教えてやろう!」みたいな、熱血な印象はありません。非常に、おっとりした方。仮に、Gさんとしましょうか。

通っている生徒さんは、小学3年生から高校生まで、20名ぐらい。時間割でキッチリやるのではなく、勝手に来て、勝手に勉強はじめて、分からないところがあったら、Gさんに聞く。
だけど(だから?)学年トップの成績の子も、いるそうです。

この日は、生徒さんは中学生の女の子が一人、座っていました。「こんにちは!」と、明るいです。しばらくすると、高校生の女子が2人。もう少しすると、高校生の男子が一人。
勉強の邪魔になってはいけないので、教室の外で、Gさんに話を聞きました。


まずは、震災の話題から。
「3月11日より、4月11日と12日の地震が大変だった(いわき市内でも、損害の大きさがまったく異なる)」。「断水したので、水を運ぶのが日課になった。子どもたちも一時間並んで、40リットルぐらい運ぶ。それだけで、一日が終わってしまう」。「この地域では、17日まで断水」。

そして、原発。事故直後に、避難した方たちが多いそうです(これも、いわき全体とか福島全体ではなく、Gさんの見聞した範囲であることに注意)。
そうすると、避難のときにお金を使ってしまったから、もう貯金なんかない。家がなくなった人もいれば、職をなくした人もいる。
だから、身動きがとれない。


「とても皮肉なことなんですけど」と、Gさんは前置きしました。
Gさんのお父さんが、ショッピングセンターで、小・中学生向きのファンシー雑貨店を、経営されているそうです。そこの売り上げが、130%ぐらい伸びたんです。
つまり、子どもたちは余震が怖いから、遠出はできない。親から離れたくない。あるいは、「外で遊ぶと、放射性物質の影響がある」と言われる。かといって、家にいても、息抜きができない。

だから、屋内にあるファンシー雑貨店にでも、行くしかない。
ただ、いま現在は、子どもたちはマスクをしていなかったり、していたり、いろいろ。郡山市や福島市ほど、ナーバスではないとのことです。
「子どもたちは元気。僕が、一番、驚いているかも知れない」と、Gさんは苦笑します。
一時期ほど、ピリピリした雰囲気ではなくなったとのこと。

塾生の子たち2人に、アンケートをとっていただいたので、それは明日、掲載します。
本日は、とにかくGさんの声を伝えます。


「起きちゃったことは、もうしょうがない」と、Gさん。
「しかし、もう西日本の人たちは、観光になんて来てくれないだろう」。「いわき市には、工業があるけど、水産業は、もうダメだろう」。「これから5年先、10年後、どうなってしまうのか」。
いわき市には、ゴルフ場もあるし、温泉もあります。「だから、子どもたちはさておいて、リッチな老夫婦は、観光に来てほしいです。いま、安いですから」と、Gさんは笑います。

「東京の近くに、原発がひとつあって、10とか20μSvになったら、みんな原発反対と言い出しますよ」と、Gさんは穏やかに言います。
それは、静かな怒りと受けとりました。でもね、いわき市より線量の高いところが、都内には、いっぱいあるんです。
誰か、対策をとっていますか? 都知事は? 放置してますよね。マスクしている人も、たいへん少ない。

マスクの効果については、また後日。
明日は、塾生の子たちのアンケートを掲載します。「福島の子どもたち」という、紋切り的な、アグネス・チャン的な生ぬるい目線を吹き飛ばすエネルギーが、そこにはあります。

あ、アグネス・チャンって、いま何やってんでしょうね? 福島に来ればいいのに。

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コメント

気になったらすぐ検索!
アグネス、6月4日?に女川町を訪問してますね。

取材、お疲れ様でした。
マスクがお役にたてていれば幸いです。

投稿: てぃるとろん | 2011年6月 8日 (水) 00時24分

■てぃるとろん様
すみません、実は、気になってさえいないのです(笑)。
検索してあげるほど、彼女に対して、フェアである必要も感じません。

私は、武田邦彦教授の講演会のあと、マスクを配布できないか、お願いしてみました。
「もう、たくさんの団体から、署名させてほしいなどの要望があったんです」、と断られました。
アグネスの属しているような団体が、つけこんでくるからですよ(笑)
つけこんでないかも知れないが、一度失った信頼を取りもどすのは、大変だということですね。

マスクは、車で運んでもらい、直に話して、納得いただけた方のところにだけ、置かせていただきました。
無駄にはなっていませんので、ご安心ください。

投稿: 廣田恵介 | 2011年6月 8日 (水) 00時34分

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