■0606 いわき市その1■
福島県いわき市から、帰ってきました。
最初に、県内で見たのが、この光景(津波で全壊・半壊した家々から出た廃棄物の山)ですから、悲壮なイメージを持ちました。
しかし、たまたま、中部大学の武田邦彦教授が、昼間と夜の2度、いわき市内で講演をしました。その内容が大変に前向きだったので、なんとなく明るい気分で、帰ってくることができたのです。
その「明るい気持ち」は、武田教授にコンタクトをとり、講演を実現させてしまった郷ヶ丘幼稚園の方と話したとき、確信に変わりました。
(皆さんから寄付していただいたマスクは、郷ヶ丘幼稚園ほか、取材させていただいた方たちに渡してきました)
郷ヶ丘幼稚園は、原発から35キロ(と私は聞いたのですが、45キロみたいです)の地点にあります。したがって、園内には、線量の高いところもあります。しかし、決して絶望することなく、「まずはコレ、次にコレを実行します」と目を輝かせてらっしゃいました。
県がどうであろうが、市がどうであろが、一切関係ない。「自衛する生き方」のお手本を、旅の最後に、目にすることができたのです。
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ツイッターに次いで、しばらく、このブログでも、アニメやオタクな話は途切れると思いますので、遠慮なく、購読解除してください。
俺自身は、いわき市内の模型屋で、ガンプラを買うかどうか迷ったり、なにも眉間にしわを寄せて、旅してきたわけではないんだけどね。
最初に、ネットで話題になったゴジラ像のある、セブンイレブンの話でもしましょうか。
……これ、セブンイレブンなんです。コンビニです。
津波で、柱を残して、壁を打ち抜かれた民家は、いくつも見ました。この店舗も、同じ状態だと思うんです。
でも、「店内」では、地元の野菜を売っている。「野菜大安売り」の文字のあとに、ちゃんとセブンイレブンのマークがある。
レジは、写真左がわに見える机の上にありまして、ちゃんとPOSシステムも生きているらしく、バーコードを読みとって、精算してくれます。
だけど、その横に「正」の字を手書きした、ノートが置いてある(笑)。
野菜なんかは、POSシステムを使わず、そっちで手書きして、売り上げを記録してるのかも。
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僕と、水先案内人のS氏は、飲み物とお菓子なんかを買ったんだけど……。
このトラックが「移動販売車」だそうで、内部は冷蔵庫になっています。
入ってみると、ジュースやスナック、菓子パンなどが並んでおり、けっこう充実しています。
震災から3ケ月、紆余曲折あって、このような業態になったらしいんだけど、ネットに詳しいことが書いてあるんじゃないかな。
僕は、自分の眼で見た範囲のことだけを、なるべく書きたい。
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何よりも、この店舗が有名になったのは、ゴジラの頭部をはじめとする、ファンシーな彫像たちのお陰でしょう。
なんかね、やたらと、ゴジラにこだわっているんです。
レジのそばで、ゴジラのお茶だったかな、そんなハリガミもしてあったし、普通の製品に「ゴジラ○○」と、オリジナルな手書きの商品シール(シールというか紙)を、ペッと貼ってあったり。
あと、VTRで何か上映していたんだけど、あれは何だったのかなあ。
ちなみに、こうして見ると、モスゴジでしょうかね、このゴジラは。
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ゴジラの以外の彫像たちの写真も、載せておきましょうか。
われわれが立ち去るとき、店の裏手にいた工員服の人たちが、ゴジラの頭にチェーンを巻いて、修理だか移設だかしてました。
いやいや、ゴジラより先に、店を直しては?と思うのですが。
でも、ちょっと内陸部へ行くと、普通のセブンイレブンも、他のコンビニも営業してるんです。
いわき市が大きいせいもあるだろうけど、いわき駅前では、夜のお店も、満杯になるほど繁盛していたし、まるで地震も津波も原発事故も、何もなかったかのよう。
そのギャップね。
だから、僕の旅も、本当にくだらない話をして、ゲラゲラ笑ったりしたこともあれば、いわき市で、地に足をつけて生活している人たちの深刻な話も聞いたり、振れ幅が、かなり大きいんです。
精神的に、ちょっと押しつぶされそうになったこともあったし、怒りのあまり、歯ぎしりしたこともありました。
でも、トータルとしては、前向きな、明るい気持ちで帰ってこられた。東京で、この三鷹で何をすべきかも、見えてきたし。
この二泊三日の旅で見聞したことを、ちょっとずつ書いていきたいと思います。
もちろん、本業があるので、遅れたりはするかも知れないけど、よろしくお願いします。
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コメント
お帰りなさい!
うちの母方の実家はスパリゾートハワイアンズと湯本駅の中間くらい場所なのですが、TLやブログを見る限り、普通さを取り戻しているみたいで何よりです。
自分もいわきに様子を見に行こうかという気になりました。
引き続き、レポート期待してます。
投稿: イシイマコト | 2011年6月 6日 (月) 22時25分
■イシイマコト様
余震がつづいた時もありましたが、無事に帰ってきました。ありがとうございます。
いわき市が広域なせいか、まったく無傷なところもあれば、丸ごとなくなってしまったところもあります。
だから、なかなか、もどかしいのですよ、一言で「こういう状況でした」と言えなくて。
>自分もいわきに様子を見に行こうかという気になりました。
ぜひとも! 使い捨てマスクを持っていけば、放射線対策は十分です。
「がんばっぺ、いわき!」という商店会のステッカーが、ちょっと気になる程度です(笑)。
投稿: 廣田恵介 | 2011年6月 6日 (月) 22時45分
>「自衛する生き方」のお手本を、旅の最後に、目にすることができたのです。
やはり、間接的に知る情報も大事だけど体使って見聞きしたことのほうが、自分の立ち位置がはっきりするかもしれないよね。でも、よかったねえ〜
>東京で、この三鷹で何をすべきかも、見えてきたし。
それって、大きいね!
皮肉なことに一日一日が自分が生かされてる感覚、ここにいる感覚、人と人が繋がってる感覚....感じない?私は、そう感じつつも、正直もう被災地のことを考える余裕がなくて...目の前にいる子供を守ることで頭が一杯になってる。
投稿: ごんちゃん | 2011年6月 6日 (月) 23時24分
■ごんちゃん様
まだ、この期におよんで、政治家ごときに甘えている大人が多くて、あきれてしまう。
もう、そんな時期は過ぎたよ。
自分の手の届く範囲で、やれることをやっていく。
今日、最後に寄った幼稚園なんて、毎朝、園児の触るところは徹底的に、拭き掃除。それだけで、放射線量は大幅に落ちた、と。
>正直もう被災地のことを考える余裕がなくて...目の前にいる子供を守ることで頭が一杯になってる。
それが、当たり前よ。
昨夜の講演会で、いろいろ切実な質問が出たけど、まずは、自分たちが生きのびないと。
俺は家族がいないので、いわき市への物資輸送は、つづけるけどね。
投稿: 廣田恵介 | 2011年6月 6日 (月) 23時47分
お帰りなさいませ。
全身をセンサーかスキャナーのようにして
現地を見てこられたのだと思います。
お疲れが出ませんように。
僕も今週、宮古に行くことになりました。
支援とうたうからには、まずは黙って働いてくるつもりです。
投稿: 綱本武雄 | 2011年6月 7日 (火) 01時01分
■綱本武雄さま
ありがとうございます。大事もなく、帰宅できました。
ずっと、車で案内してもらったので、まったく疲れていないのです。
むしろ、ひとりになって、いろいろ考えているときに、息苦しいような気持ちに襲われましたね。
>僕も今週、宮古に行くことになりました。
宮古市、大変みたいですね……。
頑張ってきてください。関西からだと、大変な距離ですが、どうぞお気をつけて。
投稿: 廣田恵介 | 2011年6月 7日 (火) 01時11分
お帰りなさい。
廃棄物の山、ちゃんと分別されているのですね。
明るい気持ちで書かれたレポは読んでるこちらも力がわいてきますね。
読ませて下さい。よろしくお願いします。
(勝手に読みますけど)
投稿: kyasリン | 2011年6月 7日 (火) 18時51分
■kyasリン様
玉子の燻製、うまかったです。
3月末から、ずいぶん風景が変わったみたいですね。地元ラジオでは、ごみの受け入れについても、放送していました。まだ、片付いていない所もある、と。
日常と非日常が、混在している感じでした。
レポートは、今夜書く予定のものが、それなりに重たい内容だと思います。
もしかしたら、明日の夜になってしまうかも知れません。 仕事も、それなりに溜まっていますので……。
投稿: 廣田恵介 | 2011年6月 7日 (火) 19時40分
お帰りなさい。
「明るい気持ちで帰ってこれた」とのことですが、それでも、心はしっかり疲れてると思います。
ご自愛ください。
ちょっといい話。
キティちゃんとミッフィーが和解したそうです。
投稿: DH98 | 2011年6月 7日 (火) 19時41分
■DH98様
ありがとうございます。
さっき、一本、原稿を終わらせて「ちょっと仮眠」と横になったら、丸3時間、泥のように眠ってしまいました。
>キティちゃんとミッフィーが和解したそうです。
えっ、彼らケンカしてたんですか!
……でもいいなあ、そういう話。
投稿: 廣田恵介 | 2011年6月 7日 (火) 19時46分