■0522 放蕩■
二日酔いで伏せっていると、『マイマイ新子と千年の魔法』の花瓶と茶碗が、防府から送られてきた。花瓶は、「一輪挿し」というものらしく、新子が大小二種類。貴伊子が、一種類(ちゃんと髪どめも再現)。お茶碗は、ひづるだけでなく、波紋もきれいに描かれてます。
このお茶碗に、炊きたてのご飯を盛ってみたいな……と、手で触りながら、考えてしまう。それだけ、暖かみを感じる。
「庶務課の藤原」さん、いつも、ありがとうございます。
手紙には、貴伊子と藤原さんの似顔絵が描かれていて、それがまた、愛らしくて良かった。
この映画は、どれだけ人の心をざわめかせるのだろう。あらためて、すごい作品に出会ってしまった、と思い直す。
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金曜夜は、若い友人と会って、酒。吉祥寺駅まで、歩いてみた。三鷹~吉祥寺の間には、小学校時代の同級生たちが、今でも住んでいる。
クラス会を開いたスペイン料理屋は、同級生のひとりがプロデュースした店だ。今夜も、お客さんがいっぱいで、何だかホッとする。
その町を歩くことは、すなわち、愛しむということ。
いつの間にか、この町は、放射能という目に見えない幽霊との戦争に、巻き込まれてしまった。
何がどう変わったわけでもないところが、怖ろしい。
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だから、というわけではないのだが、よせばいいのに、帰りに吉祥寺で下車して、キャバ嬢に「今から行く」とメールしてしまった。一時期、タクシーで朝の玉川上水を走り、三鷹駅前で別れることをくり返していた、そんな子だ。
しかし、店が混んでいたせいか、一人で待ちつづけるはめになった。
なので、もう一軒、ふらふらと黒服に誘われるままに。
一人目の嬢は、根が真面目なのか、きびきびしていて、息苦しい。2人目は、とにかく間が抜けていたので、指名して、ドリンクもおごる。リラックスしたい。バカになるために、来ているわけだから。
しばらくすると、嬢はポケットからカラオケのチケットを出して、「こんなのがあった。歌っていいよ」と、間の抜けたテンポでいう。
ムーンライダーズの『ダイナマイトとクールガイ』を歌った。なげやりな気分のときは、いつも、この曲をうたう。
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普通のお店が閉まろうかという時間、さらに駅前をふらついていると、必ず違法なお店につかまってしまう。
その店は、店名こそ「スナック」だが、中にはベッドと脱衣籠がある。つまり、そういうお店。確か、一年ぐらい前にも入ったことがある。そのときの嬢が、また付いてくれた。相手も、僕のことを覚えていてくれた。帰りぎわ、「一緒に、シャワー浴びようよ」と、誘ってくれる。ただ、それだけのことが、嬉しかった。
「状況が悪化したら、すぐに、この町から逃げるんだ」と、彼女たちに言いたかった。
僕は、ふるさとを捨てていくには、歳をとりすぎてしまったようだ。
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