■0322 打ち合わせ■
短い時間をぬってのことなので、ブログも短いものになります。
出版社へ、打ち合わせに行ってきました。この企画は、11日以前に通っていたものなので、なかなかにお気楽な内容であることに、私も編集長も気がついていました。
なので、企画書には「震災以後の世界」という言葉を入れざるをえず、企画の方向も大きく変わりました。
新しい何かを加えるためには、古い何かを捨てねばならない。
(昨日の日記に書いた「穢れ」も、われわれの駆逐すべき“内なる敵”です)
それにしても……テーブルにつくなり、2人で「はーっ」と大きくため息をつきました。
「毎日、気が休まらない。疲れるよね」と、私よりは、はるかに楽観論者の編集長が苦笑します。
東京は何ら物理的被害がないのに、何を大げさな……と受けとられることは、分かっています。「東京こそが日本の中心」という傲慢があったことは、否めません。
東京は、神経過敏なのです。震災前から、ずっとそうでした。
ただでさえピリピリしているところへ、断片的な情報が入ってくる。だから、買い占めが起こりました。買い占めを叱責する声が上がりました。その間に、また新たな情報が入ってくる。
小さなイライラの集積が、この街の空気をつくっていたのかも知れません。そして、それは震災で崩れることなく、今もあちこちでピリピリと振動している気がするのです。
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出版社は、駅から少し離れており、ゆるい坂道がつづきます。
集団下校する小学生たちは元気に笑っていましたが、いまここで大きな余震が起きたら、この子たちは、僕が守らなければなりません。建物の中に避難させるのがいいのか、それとも屋外の広い場所か。
私はもう、十分に生きたので、あとは求められる仕事を丁寧にこなしていくだけです。
しかし、それ以外の義務があるのだと、町に出ると思い知らされます。
……すみません、時間切れです。
傘の忘れ物がたいへん多くなっていますが、笑顔は忘れず。酒がさめたら、仕事です。
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コメント
>しかし、それ以外の義務があるのだと、町に出ると思い知らされます。
義務より「義勇」と考えましょう。
いくらか楽になれると思います、本質は同じでも。
投稿: 早房一平 | 2011年3月22日 (火) 19時50分
関西でも買い占めは起こってます
東京は終息に向かっているのに相変わらずです。
水、コメ、乾物、トイレットペーパー
地元民の阪神大震災のトラウマもわからないでも無いですが、あれから学んだのはそこなのかい?と少々悲しい。
「奪い合えば足りぬ、分け合えば余る(相田みつを)」の精神で行きたいものですが。
投稿: Miya-P | 2011年3月23日 (水) 10時15分
買い占めはみっともないですね。
投稿: ごんちゃん | 2011年3月23日 (水) 10時27分
■早房一平さま
ありがとうございます。しかし、「義勇」というほど、僕は立派ではありません。勇ましくはないよなあ……と、下を向いてしまいます。
■Miya-Pさま
昨日、西日本のことを友だちから色々と聞きました。
「普通に暮らして欲しいな」と思うのみです。
■ごんちゃん様
確かにみっともないけど、過剰に何かをしないと落ち着けないという心理は分かる。
平然としていられるほうが、どうかしているもの。
買い占めによって正気が保てるのであれば、してもいいんだよ。まだ、物資は入ってくるんだから。
投稿: 廣田恵介 | 2011年3月23日 (水) 12時22分
買い占めといっても限界あるからね...でもさあ、
先日、初めて朝一からスーパーに並んで(野菜と牛乳買う為に)思ったんだよね。三番目に並んでたおばあさん、毎日5件の店を渡り歩いても米が変えなくて今日こそは買いたいって。でも1袋しか買わないで帰っていきました。別れ際「あなたは買わなくていいの?」と気を使ってました。私は、何だか切なくて、「手打ちうどんでも作ってください」強力粉をプレゼントしました。買い占めがダメだとは言わないけど、単純にこういう優しいおばあさんが、買い占め族のために何日も空腹に耐えていたのかと思ってね〜不安なのは皆同じ。
投稿: ごんちゃん | 2011年3月23日 (水) 13時44分
■ごんちゃん様
なるほどなぁ……。
しかし、それは現場で解決するしかないよ。君がしたように、その場で食品を分け合うとか。
その話は、子供にもしたほうがいいよ。これから先は、そうやって生きていくんだよ。
買い占めの好きな人たちは、未来に備えているのではなく、単に滅びを恐れているだけ。
だからと言って、彼らを誉めたって何にもならないよ。逆のことを考えよう。
投稿: 廣田恵介 | 2011年3月23日 (水) 14時36分
スーパーマーケットなどの、流通の現場にある在庫なんて、ほんの微々たるものです。最近は、ちょっと日付が古くなったという理由で、破棄しなければなりませんから。通常の売れ行きを見ながら、残らない、足りなくならない、という程度を仕入れます。そんなところに、ひとりひとりのお客さんが、買いだめとか買占めなんて意識はなく、それぞれが、ほんの少しずつ、何時もより多く買って行くだけで、補充が追いつかずに、店頭から無くなりますよ。
投稿: 鷲 | 2011年3月23日 (水) 17時00分
■鷲さま
ああ、なるほど。勉強になります。
さっきもスーパーを視察に行ったら、水は売ってませんでした。
東京の水から放射性ヨウ素131が検出されたので、また大量に買い込まれたんでしょう。僕らオッサン・オバサンは、水道水で平気なはずなんですけど。
それ以外は、カップラーメンが少なくなっている程度です。トイレットペーパーを20ロール、持てるだけ持っているオバサンを見たときは、さすがにどうしてくれようかと思いましたね。
お店の人も、戸惑っていました。
投稿: 廣田恵介 | 2011年3月23日 (水) 18時10分
>トイレットペーパーを20ロール
家の買い方は、そんなもんじゃないです。
紙問屋から、巨大なダンボール箱入りで買ってます。
ボックスティッシュもそう。
悪くなる物じゃないですし。
今は、そんなまねできないか。
懐中電灯や、単一電池も、一気に店先から無くなりましたが。
普段は、そうそう飛ぶように売れる物じゃないですから、各店が大量に在庫してたはずありません。
そこに、停電になるなんてニュースで、何人か買いに行けば、すぐに売切れます。
売切れて当然でしょう。
買った本人、買占めたなんて意識はないでしょう。
投稿: 鷲 | 2011年3月23日 (水) 20時41分
■鷲さま
ようするに、小売店で買うから品切れになるという単純な話ですね。スーパーで山ほど買うより、業者に大量注文すればすむ、と。
>懐中電灯や、単一電池も、一気に店先から無くなりましたが。
僕は、母の祭壇用にローソクを買ってあったので、停電になったら、それで間に合います……が、つい先日まで、ローソクさえ品切れになっていて、ビックリしました。
そして、今ごろになって、お店の棚にぎっしりとローソクが並んでいます。
>買った本人、買占めたなんて意識はないでしょう。
本人はそうでしょう。しかし、不足しているというニュースが流れているのだから、もう少し、全体のことも考えて欲しいです。
投稿: 廣田恵介 | 2011年3月23日 (水) 21時05分