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眠れないので、録画してあった松本俊夫『薔薇の葬列』を見はじめる。
当時16歳のピーターの妖艶なこと! 仕事が終わったら、つづきを見よう。
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『フラクタル』第4話。
実にA-1っぽいというか、『鉄腕バーディー:02』みたいな作画だなと思ったら、絵コンテ・演出が、『バーディー:02』に原画で参加していた足立慎吾さん。この第4話では、第二原画も描いている。りょーちもさんの名前も見えるので、道理で『バーディー:02』っぽいわけだ。
縄ばしごに右手だけでぶら下がったまま、スンダがフリュネを左手で抱き上げる。カメラは、スンダの後頭部に付けているので、背景(煙だけど)も動いている。右手はフレームの外に出ていて、ほとんど見えないんだけど、そこに説得力があった。
もうひとつ、縄ばしごを追って、あたふた駆けるクレイン、そのクレインを突き飛ばすエンリ、最後に縄ばしごにつかまりながら銃を撃つエンリが、去り際にくるりとターンする。この一連が小気味いい。
しかし、脚本レベルでは惜しいところがありました。
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組織が、うまく描けてないというか。僧院もロスト・ミレニアムも、規模が見えにくい。
原作の『ナウシカ』で、土鬼の僧会なんてのは、神聖語だっけ、手話を交えて会話したり、歴史を感じさせたじゃないですか。対する、トルメキア本国の頽廃ぶりも凄かった。
もしかすると、ああいう描写をテレビでやると、視聴者は追いてきぼりを食うのかも知れないけど、僧院やロスト・ミレニアムは、千年も持ってきたようには見えない。宮本充さんの新キャラクターも、もっと深みのある悪人にしてほしかった。
そのへんの描写は不満なんだけど、僕は目をつむります。一度信じると決めたら、最後まで信じるから。
いろいろ不満のあったうえで、フリュネとクレインをバイクに乗せて会話させた、あの実直な演出に、心打たれます。
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フリュネもクレインも、ちゃんと体重のある生身の人間だから、激しいやりとりをさせるには、何か仕掛けが必要。そうでないと、向かい合ったまま怒鳴りあうだけになる。
バイクを盗んで逃げようとするフリュネ、それを懸命に追いかけるクレイン。それが、この2人の身体的限界なわけです。その限界の中で「キミはずるいよ!」と言わせるから、必死な感じが出るわけでしょう。
バイクの向かう方向は、下手から上手(第2話の自転車のシーンと逆)。「あなたは、私が好きなのですか?」というフリュネの聞きゼリフ(聞かせたいセリフ)が入った瞬間、バイクの向きは上手から下手へ変わります。
フリュネのセリフの前に、わざわざ、クレインに「何だって、よく聞こえないよ」と言わせて注意を促しているのも、上手い。
こういう細かい段取りを重ねているのは、つまり「気分ではつくってない」ということです。
アニメのお約束で瞬間移動してしまうような演出よりは、こうまで不器用でも、段取りを考えてくれるアニメの方が、僕は好きです。
(C)フラクタル製作委員会
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