« ■0202■ | トップページ | ■0204■ »

2011年2月 3日 (木)

■0203■

友人が、映画に誘ってくれた。『キック・アス』である。
Spe_pg03_large_2アメコミ・ヒーローになろうとした青年や父娘が、生々しく悪人を殺戮していく。別に特殊能力のある主人公ではないので、普通に殴ったり、刺されたり――と、物理現実の枠を出ないところが、面白かった。
彼らの活躍が携帯で撮影され、興味本位からネットで有名になっていく過程も、社会風刺になっている。

ただ、最後には秘密兵器が出てきてしまうし、勧善懲悪で終わるところに、アメリカの倫理観の限界を感じた。キリスト教的正義感から逃れられておらず、そこは正直、つまんない。

■
いや、にも関わらず「面白かった」のである。
どういうことかというと、演出が上手い。カメラワークやカットつなぎが上手。危機の迫るシーンでは、短いカット・バックで緊張感を高める。何をどこまでフレームに入れるか、いちいち的確。そのシーンに必要な撮り方を、きっちりやっているので、映画監督を目指している人には、さぞかし勉強になると思うよ。

つまりは、「面白い」っていうのは、そういうことです。飽きない、最後まで見てしまうというのは、技術が丁寧に重ねられている……という以上のことではない。
僕は『ダイ・ハード』は、特に思い入れのある作品ではないけど、テレビでやっていると、最後まで見てしまう。それは、撮り方、つなぎ方が、ぜんぶ的確だから。しかし、別に、ジョン・マクレーンになりたいとは思わない。技術と印象を、混同してはいけないと思う。

■
これは映画に限った話ではない。
手塚治虫の生原稿を、克明に撮影した本があるんですよ。ホワイトで修正して、何度も描き直した跡が、くっきりと映っている。「これは見事な本だな」と思って、ずっと持ってます。
だけど、手塚治虫の単行本は、一冊ぐらいしか持ってない。『三つ目が通る』で、和登さんの服が、ビリビリになるやつ(笑)。そのシーンがなかったら、古本屋に売っていると思う。その一冊だけしか、持ってない。

それぐらい、手塚治虫には思い入れがないです。だけど、技術は認める。彼の技術を丁寧に取材した本は、好みと関係なく、持っていたい。そういう本を作りたい、と思うし。
だけど、うっかり「手塚治虫の技術と努力は、スゴイなあ」なんて言うと、部屋に何十冊も持っていると誤解されてしまう。いやいや、俺はエッチなシーンしか興味ないですから。

「interesting」と「fun」は、同じ「面白い」でも、意味が違うじゃないですか。自分の中で、何が面白かったのか峻別しておくと、映画でも何でも、より広く深く楽しめそうな気がする。

(C)KA FILMS LP. ALL RIGHTS RESERVED.

|

« ■0202■ | トップページ | ■0204■ »

コメント

「好みと関係なく持っていたいモノ」
そういう何かに出会えたとき、こころの中でガッツポーズとってしまいますね。

投稿: ごんちゃん | 2011年2月 4日 (金) 19時16分

■ごんちゃん様
何かに感心する、尊敬するという気持ちは、「好み」なんてものを越えると思うんだよね。

投稿: 廣田恵介 | 2011年2月 4日 (金) 19時25分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■0203■:

« ■0202■ | トップページ | ■0204■ »