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2011年1月21日 (金)

■0121■

理想を実現するために、どれほど苦労が必要か、今の私には、まだ分かりません。
数多く、失敗してきました。それでも、「明日」のことを考えたい。

明治大学の講師、レナト・リベラ・ルスカ氏と、昨年7月より、新しいコンセプトのアニメ雑誌の構想を練ってきました。電子雑誌として出します。記事は欧文で併記しますので、海外でも売ります。
おそらく、従来のどのアニメ誌とも競合しません。強いていうなら、モノクロで数ページだけ載りそうな記事を、丸ごと一冊、カラーでつくるような、地味なものになるでしょう。

つくりたい根拠は、私が自分の意見を述べたいとか、私の好きな作品を並べたいということではありません。10年後、20年後のアニメ・ファン、国内外の研究者に参照してもらえるような、ガッチリした資料をつくっておきたい。
そのような性格の本ですから、本来なら、無料で配布したいぐらいなのですが、われわれも、ほとんどボランティア同然ですので……(笑)。
儲からないですね。苦労するのは、目に見えています。

業界の内外から、資金的な援助を申し出てくれる方たちも現われはじめましたが、やはり、本業に精を出しながら、コツコツと……という形にならざるを得ません。

半年間の試行錯誤のすえ、ようやく売り込みスタートしたところです。徒手空拳、熱意と誠意と意地だけが武器です。
詳細を発表できる時期になったら、応援、よろしくお願いします。


『フラクタル』第2話、面白い。これは、いい作品に出会えたぞ。

道で女の子を自転車に乗せていて、落っことしてしまうでしょ。
次のカット、引きの絵で、石Image塀が画面を横切っているから、女の子がどうなったか、すぐには分からないんですよ。しかもですよ、女の子が落ちたところが、木陰なの。
主人公の少年は、大きな木の下へ走っていきます。その木陰の中でね、彼は「もう一度」、その女の子と出会いなおすんですよ。
……その一連の流れの、きれいなこと。そういうところを見なくては、ダメです。

「神戸守さんのコンテは、上手いな」と思ってもいいんだけど、「きれいだな」って感じたでしょう。
そのカットの流れに、何の意味があるのかと聞かれたら、「だって、この方がきれいじゃないか」と、僕は答えます。その素朴な感覚をなおざりにしたら、作り手ではなく、僕らがアニメを滅ぼしてしまうことになります。

優劣や数字だけを問題にすべきではありません。ハートで見ましょう。

(C)フラクタル製作委員会

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コメント

はじめまして。

廣田さんのブログを拝見すると、さまざまな「気づき」があり、とくに映像作品では改めて見直したくなるきっかけをいただけるので、いつも興味深く拝読させていただいています。

とくに、「新子」は気持ちのいい映像だなぁ、と漠然と感じていたところにたくさんの見どころを教えていただいたので、書籍の出版もとても楽しみにしております。

電子書籍での試みも計画中とのこと。紙面や字数の都合にとらわれない形態だからこそ、の内容に早くも興味津々ですが、お体にはくれぐれもお気をつけて。

投稿: 綱本武雄 | 2011年1月22日 (土) 01時41分

■綱本武雄様
はじめまして。イラストレーターでらっしゃるんですね。HPを、ブックマークさせていただきました。

>とくに、「新子」は気持ちのいい映像だなぁ、と漠然と感じていたところにたくさんの見どころを教えていただいたので、書籍の出版もとても楽しみにしております。

ありがとうございます。
『新子』本は、「レンタルで見たけど、良かった」という方、10回ぐらい映画館でご覧になった方、両方に楽しんでいただけるよう、気を使っています。
堆積層のように素材を折り重ねて映像がつくられているので、その厚さを少しでも伝えたいですね。

電子書籍は、仰るとおり、自在にページをコントロールできます。紙媒体より、圧倒的に制約が少ないのですね。

>お体にはくれぐれもお気をつけて。

ありがとうございます。綱本様のお仕事に、期待しております。

投稿: 廣田恵介 | 2011年1月22日 (土) 09時47分

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