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2011年1月16日 (日)

■0116■

日本映画専門チャンネルで、『ユリイカ〈EUREKA〉』。へんな時間に起きてしまったので、3時間半、一気に見る。
Eureka1_2まず、映像がいいよね。モノクロで、カメラワークが理知的で。
「理知的」というのは、たとえば、ひとりの女性の死を説明するのに、まず、流れる川を捉えます。カメラは、どうやら川に流れる「何か」を追っているらしい(PANとズームで)。
で、その「何か」がカメラの最も近くに来たとき、ようやくカメラは止まります。「何か」は、女性のサンダルだったのだと、やっと分かります。
ようするに、このカメラワークには、人間が川岸に立って、目を凝らすような生理感覚がある。観客は、カメラが何を追っているのか、気になってそわそわしてしまう。その興味がピークにたっする中、「実は、女性のサンダルだった」と分かってもらえるまで、「観客の理解を待つ」。
決して、効率的ではない。でも、生理と理性、両方に訴えるカメラワークだ。そんな演出が、随所にちりばめられている。飽きないですよ、これは。

役所広司が居候してきて、カメラ同ポジで、つぎつぎと芝居だけが変わるのは、ジム・ジャームッシュだな。


『ユリイカ〈EUREKA〉』のテーマについて、いまの僕には、語りづらい。
「自分が殺されかけたのだから、自分も他人を殺しても構わないのでないか」。それを、皮膚感覚で受け止めてしまった人たちの話なんですね。それに対して「殺すな」だけでは、甘すぎる。

お節介な親戚役の、斉藤陽一郎が、ずけずけと正論を口にして、非常に気持ちよかった。ああいう風に、生きてみたい。メソメソ、グズグズとしているのは好きではありません。


深夜アニメ、いろいろ……。
裸が出てきて、男の子がドギマギするのは、もう何も言わん。定番すぎて、文句も出ないというか。裸にボカシ入れるのは、実写映画が映倫にやられていることを、作り手自ら行っているわけであって、僕には笑えない。

一方、肉体損壊描写が多いように思った。体がぶっちぎれても、修復可能なので、どんな残虐描写も可能。でも、その一線を越えたのは、視聴者サイドではない。作り手の皆さんが、十分に議論して、「これでよし」という結論にいたったのでしょう。
「あれはゾンビという設定だから、いいんですよ」とか言うのは、それは理屈なの。あなた自身が見ていて、どう感じたかが大事。

『放浪息子』。絵がキレイ。新海誠というか、「アニメージュ・オリジナル」で書いた「オルタナ系アニメ」の匂いがする。個人作品といった趣が心地いい。
『フラクタル』。とにかく山本寛という人の作品は、忍耐強く見ていこうと、『私の優しくない先輩』のときに、決めたので。


ここのところ、40~50代のアニメ・ファンまでもが、消費者意識にもとづく「クレクレ」状態へと退化しているのを目の当たりにして、もう『ガンダム』も『エヴァ』も出てこないし、そんな必要もないと確信した。今さらだけど。
『ガンダム』や『エヴァ』は、閉ざされた商業的ニーズの側から、実社会へと回路を開いてくれた。でも、いまや誰ひとり、そんなことは望んでいない。

一方で、『カラフル』のような作品を待望している自分がいて、原恵一監督は「自分と同世代の観客が見てくれればいい」と言い切っている。しかし、そうした作品と観客が理想的な関係を築けるサイクルが、まだ完成していない。その未来を考えたほうが、ぜんぜん建設的だよ。

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コメント

こんばんは。

3人の人物がいて、手前に写る役所広司から順に奥の人物へ目がいくようになっている。奇数(3,5,7)なので、活動的かつ不安定にみえるものの、その三人が同じ方向を見ていて、女性を中心にしてシンメトリー(?)な立ち位置なので、安定しているようにも見える。でも、なんとなく距離があって…… 

私はユリイカ〈EUREKA〉を見ていないのですが、ブログにある写真、これいいですね。

投稿: 浜長和正 | 2011年1月17日 (月) 21時51分

■浜長和正さま
浜長さんのコメントを読んでいて、面白いことに気がつきました。

この映画の登場人物は、最初は1人の男と2人の兄妹が、別々のところに住んでいる。
そこへ、男が居候して3人になる。ところが、従兄弟がやってきて、男3人+女1人で偶数になります。

そして、物語の最後に向けて、ひとりずつ減っていき、最後は2人なんです。
どこか調和的な感じのラストなのは、人物の数によるのかも知れません。

投稿: 廣田恵介 | 2011年1月17日 (月) 22時26分

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