■アンヴィル!■
連休の間に、犬が二匹とも、もらわれて行きました。
朝早くから、「散歩に連れて行け」と騒ぎ出したと聞いて、一安心です。それぐらい、元気ならば。
僕も今日は、ひさびさに電話にわずらわされることなく、家で仕事ができた。朝から夜まで、ゆっくり仕事できたのなんて、何日ぶりだろう。
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異色のドキュメンタリー映画『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』。50歳をすぎても、しぶとく「ロック・スター」を目指すオッサンたちの悪あがき。
ヨーロッパ・ツアーに出たのはいいけど、マネージャーの段取りが最悪で、電車に乗り遅れたり、仲間同士でケンカは始めるし、「そんなんじゃあ、売れないよ」と批判的な気持ちも起こる。
僕も20代のころは映画監督を目指していたけど、自分より明らかに才能のある友だちがデビューして、それで満足してしまった。彼の努力を認めていたから、ジェラシーも起きなかった。むしろ、企画や脚本を手伝ったり、援護射撃に回ったよね。
「俺は、こんな程度の人間じゃない」と思っていた20代のころが、最も苦しかったし、はたから見ても、醜かったと思う。夢を持つというのは、膨れ上がった自意識との戦いなんです。
『アンヴィル!』のおじさんたちも、自分たちのことしか考えてないんだけど、でも、売れている人たちを妬んだりはしない。満足点をどこに持っていくか、どうすれば自分たちの気持ちがおさまるのか。それだけを考えつづけている。
その点、だてに歳とってないんですよ。見得も嫉妬も名誉欲もそぎ落とされて、「どうすれば、幸せを感じられるか」という一番シンプルなテーマだけが残った感じ。
何も失ってない人間は、何も生み出すことが出来ないんですよ。彼らは彼らなりにスジを通していると思う。「要領が悪くても、勇気があれば何とかなるんだ」って、身をもって証明してくれたしね。
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僕の尊敬する友人たちは、みんな、少しずつ不幸だ。不幸といって失礼ならば、それぞれ、少しずつ損をしている。我慢している。皆、理不尽な怒りを飲み込んで、笑顔をつくっているんだよ。
アメリカで、民主党の下院議員が撃たれたでしょう。そうすると、大新聞の時評欄が、まるで自分が撃たれたかのように「痛がる」わけですよ。あれは醜いよ。
怒りというエネルギーこそ、最もスマートに、清潔に使わねばならない。それだけは、気をつけたいな。
(C) Ross Halfin / ANVIL! THE STORY OF ANVIL (C) Brent J. Craig / ANVIL! THE STORY OF ANVIL
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