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2011年1月28日 (金)

■0128■

『フラクタル』、第3話。
あの村でダラダラさせず、後半で血まみれの修羅場に持っていったプロットが、まずはいい。準レギュラーだろうと思っていたキャラが、あっさりリアルに死ぬのは、頭の悪いたとえだけど『ガンダム』っぽい。飛行船のシーンは『ナディア』っぽくもあり……引き出しが少ないとも言えるんだけど、それはたいした問題ではない。。

牧歌的なユートピアが、非人間的なメカニズムで動いてたというプロット自体、前時代的と思う。が、それもたいした問題ではない。


主人公に「お前は、本当の自由を知らん」と言った老人が、「ひざが悪くて」と看護婦さんに甘えるでしょう。
次のシーン、主人公の足、ひざから始まるんですね。綺麗につながっているでしょ?
老人のひざと主人公のひざ、両者に論理的なつながりというのは、ないですよ。強いていうなら、老人はナノマシンを使っていないから、自然に足腰が弱るけど、主人公はそうではないって比較。でも、それは理屈でしかない。

足が痛いといった次のシーンを、足のアップから始める――それは生理的に、もっとも無理なく繋がる。それだけのことなんです。
でも、コンテが優れているとか、演出が上手いというのは、僕はそういうことだと思っている。


もうひとつ、ちょっとテーマに関わってくる重要な場面が、食事のところ。
作画では、味覚にうったえず(やろうと思えば、ジブリ風の彩色でできたはず)、主人公に「味がすごい」「複雑だ」っていうことを言わせてますよね。横で見ている女の子はドッペル、ようするにデータだから、味なんて分からない。
Image_2だから、主人公と女の子、2人の顔を均等の面積で見せている。ただ、表情の変化は主人公のほうが大きいし、セリフも多い。

で、このシーンは前フリです。
宿に入ってから、女の子が「私は味なんて分からないんだから、もっと細かく説明して」って言います。さらには「どんな味だったか、踊ってみせてよ。私に分かるように、何かに置きかえてよ」。
うわーって思って。2回見たけど、2度とも泣きました。知覚しえない感覚を、相手にどう伝えたらいいのか。相手のために、バカになれるか。
果たして、主人公は、いろいろ踊ってみせるわけですね。そこには、ちゃんと枚数を使っている。いい作品ですね。ハートがある。


この作品は、「身体」の方をピタッと向いている。それが新しいとか古いとかいう話ではないんです。作り手が「身体」というものを大事に考えている。それこそが、最も重要。描きたいものがあるかどうか。『フラクタル』には、はっきり「これを描く」という意志が感じられる。

ところで、梅津泰臣さんは、どのシーンを描いていたんだろう? 踊りのシーンだったら、嬉しいな。

(C)フラクタル製作委員会

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コメント

廣田さま

ご無沙汰してます。
東北地方の雪が3m近く積もるような場所に出張しておりました。東京は暖かい!

東京に帰還後、『フラクタル』をまとめて見ました。
僕もこの作品には大いに惹かれます。
廣田さんのブログでテクニカルな面を勉強させて頂いているお陰で、色々な魅力を発見しています。ありがとうございます。

いい年こいたおっさんがあれですが(笑)、ネッサの仕草がいちいち可愛らしくてお気に入りです。
相手に好意がないと彼女に触れることができないという設定は第3話の中盤あたりで知るのですが、確か第2話でクレインが触れることが出来なくなった時、セキュリティに行くとネッサが自ら申し出たのを思い出してちょっと鼻の奥がツーンとなりました。

エンリ一味はナディアのグランディス一味を彷彿させますね。
早々に一人欠けてしまうのでは、ほんと意外でした。

今後はちょっと辛い展開になりそうな予感ですが、目が離せません!

投稿: かまタロウ | 2011年1月29日 (土) 15時29分

■かまタロウ様
今年は雪がすごいそうですね。お疲れ様でした。

>いい年こいたおっさんがあれですが(笑)、ネッサの仕草がいちいち可愛らしくてお気に入りです。

……僕もそれ、書こうと思っていたんですよねー。でも、「結局は萌えかよ」みたいに思われるのがイヤで、我慢しました(笑)。
第3話で、クレインは建物を見て感激しているのに、手前でネッサは花を見ている。これだけで、どんな娘か、分かりますよね。
ホントにねえ、アニメのキャラを見て「かわいい」と思ったのは、久しぶりなんです。花澤香菜さんも『ゼーガペイン』以来、はじめていい声だと思いましたし。

>エンリ一味はナディアのグランディス一味を彷彿させますね。

あれはもう、わざとですね。そういう分かりやすいツッコミどころで目を引いといて、どんどん壊してますよね。コメディ・リリーフを殺すなんて、考えられない。

たぶん、終わる頃には「えっ、こうなっちゃうの?」という悲壮な感じになっていそうですよね。
次回が待ち遠しいアニメっていうのも、久しぶりです。

投稿: 廣田恵介 | 2011年1月29日 (土) 15時47分

廣田さま

>結局は萌えかよ」みたいに思われるのがイヤで、我慢しました(笑)

廣田さんが我慢していたのに、済みません(笑)
「ネッサがかわいい」という発言だけでフラクタルが萌えアニメのように思われたら悲しいですね。
作品をよく見もせずに、人の感想を斜め読みして短絡的に決め付ける方が多いですから、最近は。

>花澤香菜さんも『ゼーガペイン』以来、はじめていい声だと思いましたし。

同感です。
ゼーガ以来のハマリ役ですね。
第2話エンドで夕暮れの丘の向こうから「おーい!」って来るシーンとか、クレイン以上に僕が嬉しかったかもしれない(笑)

「かわいい」ってホント偉大なことだと思います。

>終わる頃には「えっ、こうなっちゃうの?」という悲壮な感じになっていそうですよね。

3話目にして、そういう予感、ありますよねぇ
己のことのように心配ですよ^^;


投稿: かまタロウ | 2011年1月29日 (土) 18時20分

■かまタロウ様
この作品は、いろいろなことを「やり直し」している感じがするんですよ。
ヒロインが可愛くなければエンターテイメントたりえないのは、当たり前のことであって、「萌え」で切って捨てている人たちは何を求めているのかな、と疑問です。

>作品をよく見もせずに、人の感想を斜め読みして短絡的に決め付ける方が多いですから、最近は。

平然と「ネットの評判が悪いから、あの作品はたいしたことない」と決めつけるんですよね。☆で映画を評価するのも、思考に影響を与えていると思います。

>「かわいい」ってホント偉大なことだと思います。

『うる星やつら』のギャグに笑えたのは、やっぱりラムちゃんが「かわいい」からなんです。「かわいい」は、軽視できない構成要素だったはずなんです。

ただ、『フラクタル』は、不細工な子は、しっかり不細工に描いてくれるんじゃないかと、期待もしてるんです。1クールでは、そんな余裕はないでしょうけど、心意気を感じます。

投稿: 廣田恵介 | 2011年1月29日 (土) 18時45分

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