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コメント欄で話題になったので、『フラクタル』第2話を見直す。
最初に見たとき、「主人公(クレイン)の自転車から女の子(ネッサ)が落ちるのは、木陰」と書いた。木陰ってことは、ぜんぶカゲ色なんです。キャラの色がね。そこに注目してみる。
まず、ネッサが初登場する冒頭シーン。クレインの屋根裏部屋で、窓から朝陽が差し込んでいる。ネッサは「新しい朝に、おはよう」と言って、一度だけ、窓のほうを向く。だけど、そのあと、クレインに頭を触らせるあたり、ずーっと逆光なんです。だから、顔はカゲ色。
クレインは、ネッサを施設にあずけようとする。そのとき、ネッサの笑顔を「こわい」と思う。ここは順光なんです。カゲ色は、ほとんど使ってない。その順光のシーンで、クレインはネッサに触れなくなってしまう。
それから、ラスト近く。クレインが夕陽の中を走っていると、ネッサが駆けてくる。ここで、カメラがゆるやかにPANしているのが気持ちいいんだけど、冒頭と同じく、ネッサは逆光なんですよ。
そして、逆光のまま、ネッサはクレインに抱きつく。
ようするに、「クレインがネッサに触れるシーンは、すべて逆光か、木陰」。それには、いろんな解釈を付与できると思う。単純に、カゲ色で芝居させたほうが印象が強くなる、ということかも知れない。木陰で「触って」と頼むシーンなんて、ちょっと淫靡な雰囲気が出てますよね。
ヒロインのアップ顔でも、カゲ色にすることをいとわない。さすがに、冒頭とラストのアップ時は、少し柔らかいカゲ色になっているけど(それでも、撮影でけっこうな手間をかけてる)。
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さて、クレインが「怖い」と感じた、ネッサの笑顔。ここは、順光だったでしょ。でも、クレインが夕陽の中で回想するとき、今度は怖くないわけですよ。同じ絵を使っているのに。
瑣末なことを言っているようだけど、映像作品って、そういう部分が面白いわけですよ。そもそも、面白くなかったら、2度も見ないし、カゲ色がどうだろうと気にしないよ。
あと、塔に登るシーンで、カメラが2度だけ、塔の中に入る。両方とも、効果が違うんですよ。最初は位置関係の説明のため、次は感情表現のため。面白いよねえ、このアニメ。本当に、丁寧に組み立てられてる。
(C)フラクタル製作委員会
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