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2010年12月 2日 (木)

■12月某日■

吉祥寺バウスシアター用に、原健一郎さんに制作してもらった『REDLINE』の特製パネル。
O0408030610798574158東北新社さんのご厚意で、広島の福山ピカデリーに置いてもらえることになった。→こちら

仕掛け人は、地元のアニメ・ファンである。
昨日、業界歴30年の方と話したのだが、「アニメ・ファン」の定義が変わってしまった。今の「アニメ・ファン」とは、ようするに深夜アニメのファンではないのか。

ボランティアで、損得ぬきに作品を盛り上げようと頑張るのが、かつての「アニメ・ファン」であった。『ガンダム』公開時、長蛇の列の観客を仕切ってくれたお兄さんたちが、いまや50代。「何か事故があったら、『ガンダム』のせいにされてしまう」――彼らは、このメディアが社会からどんな目で見られているのか、よくわきまえていたのだ。


『新子』本の取材は、つづいている。
「楽しい、良い仕事だった」だけではなく、多角的に作品の成り立ちを感じさせたい。
そのかすかな狙いは、どうやら達成できそうだ。

負担を少しでも減らそうと思い、他作品のブックレットを一気呵成に書き上げた。誰も「ご苦労さま」とは言ってくれない。
妻が「がんばってね」と一言でもいってくれたら、私は彼女と離婚しなかったのに……と、ふと思う。


推測だけで断ずるのはよろしくないな、と思って、朝から駅前の国策金融公庫に行ってきた。

人様の預金通帳を見せろという要求が、本気なのかどうか、知りたかったのだ。
「書類として、上に提出せねばなりませんので……」
「それはつまり、私の通帳のコピーをとるという意味ですか?」
やはり、呑めない話だ。
「そんなのはお断りですが、それでも審査は受けられますか?」
「受けられますが、不利にはなると思います」
そりゃ、そうだろう。だが、面白い。提出書類不備のまま、審査を受けることにした。

それでも、彼らが職務に忠実に、お客様である私の味方になってくれるか、最初から敵として接してくるか。お手並み、拝見だ。


ウィリアム・アダマ提督は、最終作戦の前、砲兵部隊を集めてブリーフィングを行った。
Imagescaa9hh7e「二隻の老朽艦が、にらみ合っての撃ち合いになる。砲撃部隊は到着後すぐ、弾がなくなるまで撃ちつづけろ……弾薬が尽きたら、石でも投げつけてやれ」。

そういう生き方をしたい、と思う。
幸い、僕の仕事は、紙とえんぴつと人間がいれば、成り立つ。

Film (C) 2006/2007 Universal Studios. All Rights Reserved.

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コメント

預金通帳のコピーは振込先の確認のためではなくて?残高を、ですか??
思うに、前回書かれた家賃の領収証はそこに住んでいる事の証明のためでは?
住民票=居住地ではないことがあるので…
興味津々(私だけかしら?)

新子の本、楽しみにしてます。
発表記事のみなさんの反応は早かったですね、
私は出遅れてしまいました(笑)

投稿: kyasリン | 2010年12月 2日 (木) 18時23分

■kyasリン様
残高を、です。その中には、ヤフオクで個人の口座に振り込んだり、いろいろ記してあるわけですよ。それをコピーさせろと。
キャッシュ・フローを確認するため、サラ金などでも預金通帳は見ると聞きました。

経営コンサルタントによると、家賃の領収証は、「定期的な債務額」の程度を知るためだそうです。

どちらにしても、「イヤに決まっている」と思うんですが、経営者の方は大変だと思いますよ。

>新子の本、楽しみにしてます。

ありがとうございます。たった今も書いていますし、明日も取材です。
もうじき、署名開始から一年が経過します。まさか、こんな仕事が舞い込むとは……一年前は絶望的な気分で、いっぱいでしたから。

投稿: 廣田恵介 | 2010年12月 2日 (木) 18時34分

ムムム…お金を借りるのと引き換えに我慢しなくてはならないことが
いろいろあるということなんですね。

>一年前は絶望的な気分

私の想像をはるかに超えた絶望感だったことでしょうね。
私が最初に新子を観たのは年末の防府なので、昨年の今頃はまだ余所事、まさかその数ヶ月後に200個のカンバッチを作っている自分がいようとは(笑)
それがきっかけで、無に近かった映画鑑賞が趣味になったり、新しいことがたくさん飛び込んできた一年(経ってない)でした。

新子は続くよ どこまでも 野をこえ 山こえ 谷こえて はるかな町まで…
ああ、なんか、ぴったり。

投稿: kyasリン | 2010年12月 3日 (金) 00時52分

■kyasリン様
公的金融もサラ金も、本質的には変わらないわけですね。
昼から取材なので、市役所には行けなくなりました……。

>昨年の今頃はまだ余所事

日本のどこにいたかによって、感じ方が違う(笑)
東京は、興行不振の直撃をくらった気がします。ダイレクトに悲鳴が聞こえてくるというか。

明日4日、文学フリマで、公開後の初イベントが開催されまして、男性ファンが70~80名も集まってきたんですね。
「配給会社は、ちゃんと客の顔を見に来い!」と心の中で怒鳴っていました。
僕もこの映画で、興行とか配給とかに興味が向いたんです。正月明けには、映画館に電話しまくってました。

>新子は続くよ どこまでも 野をこえ 山こえ 谷こえて はるかな町まで…

7月のDVD発売で、『新子』熱も冷めるだろうと思っていたら、とんでもなかったですね。「今日こそ、最後の打ち上げ」みたいなことを、2~3回やったような気がするんですけど(笑)

投稿: 廣田恵介 | 2010年12月 3日 (金) 10時19分

冷めないし、
醒めないし、
褪めないし、
覚めない。

我ながら不思議です(^^

投稿: silver_copper | 2010年12月 4日 (土) 00時12分

廣田さま

>『新子』本の取材は、つづいている。

お疲れ様です!
親戚の子のよると、予約は出来たそうです。もちろん2冊です。
我々はネット環境上でのお付き合いに過ぎないかもしれませんが、僕は廣田さんのお仕事に全幅の信頼をおいています。陰ながら応援しています。

>人様の預金通帳を見せろという要求が、本気なのかどうか

僕もサラリーマン稼業のかたわら、小さな会社を経営しているので、資金を工面されるのに苦労されているお気持ちはよく分かります。
僕も近日中に銀行と融資の相談をするのですが、預金通帳はもちろん、国税、区都民税、固定資産税等々の膨大な納税証明書を要求されててんてこ舞いです。
(公的機関と銀行とではスタンスが違うとは思いますが)

僕も『何を偉そうに』と思ったのですが、僕の会社のコンサルを依頼している方に『見知らぬ相手に金を貸す相手の立場も考えなさい』と諭され、多少は溜飲を下げたことがあります。
更に、金融機関にも『儲けさせる』ことも大事だとか・・・彼らに媚びへつらう気持ちは全くありませんが、友好な関係を築く努力はしています。

自分もアダマ提督のように『もう、うんざりだ!!』と立ち上がりたい時もあるのですが、希望の地に到達するためには多少の犠牲はやむなしと妥協しています。
だから、彼の言動、生き様に憧れるのだと思います。

廣田さんも希望の地にたどり着けることを願うばかりです。

投稿: かまタロウ | 2010年12月 4日 (土) 00時21分

■silver_copper様
奇しくも、署名を申し込んだ一年後の今日、片渕監督にインタビューすることになりました。

あの時も、同士がいるようでいて、実は孤独でした。面積が一人分しかないんです。
今日も同じです。「どうして、よりにもよって僕なんだ?」という孤立感は、一年前と何ら変わりません。

この感覚だけは、絶対に誰にも共有できない。でも、誰かがやるしかない。その「誰か」は一人で構わない。何だか、同じ場所に引き戻されてしまった感じですね(笑)

■かまタロウ様
ご親戚の書店で予約してくださり、とても嬉しく思います……が、この本は私の著書などではなく、やはり出版社さんのものです。

>僕もサラリーマン稼業のかたわら、小さな会社を経営しているので、資金を工面されるのに苦労されているお気持ちはよく分かります。

ありがとうございます。
しかし、国民を信用できないなら、税金で金融機関などつくるべきではありません。
私は、国からすれば「見知らぬ人間」などではなく、国を支える納税者のはずです。
彼らが私を疑うのと同様、私も税金でメシ食っている彼らの私生活をのぞいてやりたい……これはおかしな願望でしょうか?

>廣田さんも希望の地にたどり着けることを願うばかりです。

本当に、ありがとうございます。
しかし、人をつるし上げることしか知らないヘイドリアン軍曹を、アダマ艦長は解雇しました。
「これから先、どんな試練が待っていようと、こんな魔女狩りよりはマシだ」と。

投稿: 廣田恵介 | 2010年12月 4日 (土) 01時02分

廣田さま

>この本は私の著書などではなく、やはり出版社さんのものです。

いずれにせよ、楽しみにしていますよ^^

>しかし、国民を信用できないなら、税金で金融機関などつくるべきではありません。

仰るとおりだと思います。
公的な機関であれば、納税されていることさえ明確であるなら、それ以上は求める必要はないとは思いますが・・・これ以上は個人の思想も絡む話になりそうなのでこのあたりで。

廣田さんの事業計画の性質にもよると思いますが、個人事業に割と積極的に取り組んでくれる民間金融機関として、静岡県に拠点を置く、S銀行も検討されてみては??(ANA支店とかある銀行です)
地銀ですが、東京に住民票があるなら、相談できると思います。

>「これから先、どんな試練が待っていようと、こんな魔女狩りよりはマシだ」と。

あの場でブーマーをもっと締め上げてサイロンだと白状させていたら、どんな展開になったでしょうね??
その後、船団には想像を絶する試練がありましたが、彼らは地球にたどり着きました。
時には敢えて無責任且つ楽観的に行きたいです。

投稿: かまタロウ | 2010年12月 4日 (土) 02時01分

■かまタロウ様
昨夜は私も悪態をつきましたが、もちろん事業が理想的に運んでくれれば、ほかは二の次なんです。
ただ、税金で食べてらっしゃる方たちは、僕とはソリが合わないみたいです(笑)

>静岡県に拠点を置く、S銀行も検討されてみては??(ANA支店とかある銀行です)

そうですね、民間のほうがまだマシかな…という気がしてきましたよ。「儲けるために融資する」という意志が明確ですし。

>時には敢えて無責任且つ楽観的に行きたいです。

どうも私は、結局はうまく行くと確信していても、悲観的な言い方をするクセがあります。「最善を望み、最悪に備えよ」のうち、後者に比重を置きすぎなんですねー。

投稿: 廣田恵介 | 2010年12月 4日 (土) 11時08分

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