■『新子』本、制作日誌19■
師走ですね。
ラフ作業中に電話があり、納品済みの某原稿、本文に使ったネタを別のものと差し替えたいという。ということは、キャプションも同時に直さねばならない(『新子』本の話ではありませんよ、念のため)。
こういう場合は、文字数はまったく変わってないのに、ちゃんと別のネタになっている……というのがクライアントさんも嬉しいし、こっちも直しがいがあるというものだ。
40分で書き直して、『新子』の作業に戻ったが、返事がない。さらに直しが出たら、どうしましょ。
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4ページ、ラフ完了。カラーは、残り2ページ。
今日は、エイベックスさんから送られてきていた場面カットを、ひとつのフォルダにまとめる作業から始めた。どうして、こういう基本的なことを最初のうちにやっておかないかな、と自分でも思う。
思えば、『新子』本を書きませんか、と最初に言ってくださったのは、エイベックスの岩瀬プロデューサーであった。「ようやく、恩返しできるときが来ましたよ」と電話してくれたのだった。
岩瀬さんに最初にお会いしたのは、署名が始まる直前あたりで、もしかして「勝手なことしないでください!」と怒られるのではないかと、ヒヤヒヤしていた。にこやかな方だと思ったけど、あの日は一日、署名の「しょ」の字も出なかったよな~。しみじみ。
よく分からんが、佐波川の写真を探していたら、涙が出てきた。この本を作っていると、こういうことが、よくある。
テキスト書き終わって、体力が残っていたら、残り2ページもやっておくか。明日は、ほとんど作業できないのだから。
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昨夜は、『海月姫』第6巻を読んで、まやや様のトリコになってしまった。
最初に見たときは「だから、オタクが自分を肯定しようとして、こういうキャラを親しげに描くなよな」とイライラしていたのだが、この漫画、「そのままでいい」とも「そこから変われ」とも言ってないんだ。
「オタク/オシャレ」の間を、服装一枚で、軽やかに往還するだけなんだよな。
権力……もっと言うと、社会的な「親」を共通の敵にすることによって、「オタク/オシャレ」の対立を、どんどん無効化してしまう。
でも、だからこそ主人公たちの闘争は、学園祭っぽいんだよな。「親」に対する反抗だから。
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コメント
眠い頭で読みながら「佐波川」って、なんか聞いた事あるー…
って、佐波川ですよね、佐波川(笑)
佐波川のおかげで防府の水はおいしいんです。
廣田さんの記事を読んで、「『海月姫』って知ってる?」と
娘に聞いたところから始まったんですよ、我が家の海月姫人気。
娘は同じく6巻の変身後のまやや様がお気に入りです。
動画を見たら、月海ちゃんの容姿や動きが娘にそっくり(笑)
娘もそう思ったようで、このあたりですでに好印象。
その後ガハガハ笑いながら、お洒落に無頓着な娘、大喜び(ファンその1)。
我が家では単なるギャグアニメとなりました…
(私たちは強い女なのです、きっと)
面白かったので、原作のコミックを手配(ファンその2)。
アニメが原作に全てと言って良いほど忠実に描かれていたのでちょっとびっくり。
背景に手書きで小さく書かれている文字もちゃんとセリフに。
本は誰かに譲る予定で購入したのに、
娘がどうしても自分のそばに置いておきたいとうので娘のものに。
ここで終わり、のはずが…
夜勤明けで寝ているはずの夫が、娘の部屋で「海月姫」の虜に(笑)(ファンその3)
何気なく開いたらやめられなくなって一気に読んでしまったとか。
その後、娘と夫の寸劇「海月姫」が時々見られる我が家です。
(内容をよく覚えている父娘…)
ちなみにアニメを録画したら、ここは1週間遅れでした(泣)
ところで、第1巻の天水館にみんなが座っているシーンで、謎の人物が(後ろ姿)…どなた?
投稿: kyasリン | 2010年12月23日 (木) 00時06分
違う話題で申し訳ありませんが。
シネ・ウインドさんで、「僕のエリ」みて来ました。
今回は、フイルムではなく、デジタル素材による上映とのことで、メディアはブルーレイ・ディスクらしいです。
廣田さんご指摘の箇所は、変更されているらしいとのこと。
見てましたが、よく判りませんでした。
ぼかしが入っていたようなのは、一箇所で、オスカーの母親の服を着た直後の一瞬に入っていたようですが。
廣田さんご指摘の箇所はそんなじゃ無かったような?
もしかしたら、そっくりカットされたのかもしれませんね。
投稿: 鷲 | 2010年12月23日 (木) 00時43分
■kyasリン様
僕は原作本を買ってから、アニメは「確認用」に見ている感じです。大きく書いてあるセリフと、コマの片隅に書いてあるセリフが同じボリュームで聞こえる、というのは、実は「マンガに正確じゃない」と思うんです。
……と、オタ語りから入ってしまいました。
>娘がどうしても自分のそばに置いておきたいとうので娘のものに。
その気持ち、分かる気がします。なんか、あのマンガは安心しますもん。
最初の頃は、胸にキリを突きたてられるような感じがしたんですけど、それは容姿や服装にコンプレックスがある人だけかな。
まあ、旦那さんがどこに惹かれたのか、ちょっと分かりませんが……(笑)
>ところで、第1巻の天水館にみんなが座っているシーンで、謎の人物が(後ろ姿)…どなた?
ああ、髪の長い人が座ってますよね。何だか、ちょっと怖いですね。
■鷲さま
違う話題ではないですよ、本日、キネカ大森へ見に行ってきますよ! そのために昨日、ちょっと頑張りましたからね。
>廣田さんご指摘の箇所はそんなじゃ無かったような?
シーンとしてはそこなんですけど、フィルムに無数の傷を入れて、消してあったんです。BDということは、デジタル処理で薄くなじませたんでしょうね……性器ではなく「傷跡」なんですけどね。
配給会社に聞いたところ、音楽がつづいているので、そのカットだけ切ることは無理なんだそうです。さて、果たしてどうなっているのか。
この目で、見届けてきます。
投稿: 廣田恵介 | 2010年12月23日 (木) 01時08分
廣田様
年末進行お疲れ様です。
廣田さんご本人とっては相当大変でしょうが、僕は仕事の進み具合を読むのが好きです。現場感というか、切迫感がたまらないなぁ・・・と。
ちょっとギャラクティカのCICでのやり取りに近いような。(あの現場感、好きなんです)
とにかく風邪など召しませんよう。
>「だから、オタクが自分を肯定しようとして、こういうキャラを親しげに描くなよな」
廣田さんとはベクトルが違うかもしれませんが、自分もまやや様にはイライラしてました。
あの、オタク特有の自分がさも奇人・変人のようにワザとらしく振舞うような感じがどうも・・・
反面、あそこまでのめり込む様が羨ましくもあり、ああはなれない自分の中途半端な社会性が情けなくもあり・・・
海月姫って、結構考えさせられます。
投稿: かまタロウ | 2010年12月25日 (土) 14時22分
■かまタロウ様
今回は年末進行というか、ライフ・ワークというか、休んでいられないというか。
でも、本当の本当に「やばい」「どうしよう」「イヤな予感がする」という部分は、ブログに書けません(笑)
>ちょっとギャラクティカのCICでのやり取りに近いような。(あの現場感、好きなんです)
序章のころは、レベル1(戦闘準備体制)に入るまで、けっこう長く描写してるんですよね。
クーデター話の冒頭、アダマ提督が、自室で書類仕事しているシーンも好きです。
第一話の「次は燃料報告です」「これはもう、サインした」なんてやりとりも、リアルですね。
>まやや様
原作第六巻で、ちょっと過去が語られます。
オタクって、「暗い」と言われるのが怖くて、ついオーバーな演技をしてしまうんです。自分の「キャラ」を演出しないと、他人と関われないような恐怖感があります。
そのうち、「あるがままの自分」というのが、よく分からなくなってしまうんですよ。
『海月姫』は「あるがままの自分」なんて、そんなもん本当にあるのか?と問いかけているように思います。
>とにかく風邪など召しませんよう。
ありがとうございます。今日と明日は、絶対に風邪ひけないですよ~!
投稿: 廣田恵介 | 2010年12月25日 (土) 15時39分