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2010年11月14日 (日)

■映画に追われ、アニメに甘えて■

『ガンダムの常識』Special 赤い彗星 シャア・アズナブル編 発売中
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名セリフ集とか、けっこう真面目なパートを書いたような気がします。
十年前に出た『シャアがくる!』と、セリフのセレクトや解説が似てるかも知れないけど、同じ人間が書いたんだから、しょうがない。

キャラクターで面白いのは、コンスコンとかシャリア・ブルのように、上層部の思惑で、貧乏くじを引かされた人たち。やりたくないことをやっている大人たちをアニメに出す、ってすごい事だと思うのですよ。


一日、最低一本は映画を見つづける日々。
『十三人の刺客』は、月曜日から上映回数が増えると聞いたので、レンタルで『ハイキック・ガール』。かなり昔、押井守が「そぎ落としていくと、映画の本質はアクションになる」と言っていた。それはアクション映画って意味だったのかな…と最近の押井さんの仕事を見ていて思うけど、当時の僕は「アクション=動き」程度に解釈していた。
映画は2コマあれば成立する。映画の本質は、物語ではない。動きだ。『ハイキック・ガール』は、下世話なようでいて、妙に律儀で潔い映画だった。

もう一本、『ボックス!』。
005メガネ教師役の香椎由宇が良かったけど、どういうわけか1カットだけメガネをかけていないという、考えられないミス。1シーンなら分かるけど、1カットだけ、いきなりメガネが消えるんだよ? スクリプターもそうだが、香椎本人が気がつけよ(笑)。
でも、試合中に「ガードってどうやんの?」と聞かれた香椎が、「ガード? えーと、こうだよ」と戸惑いながらもポーズをとるのは、可愛かった。

そして、この後が『海炭市叙景』。知らない映画を見る前の、このドキドキ感。


本当に辛いことや、本当に悲しいことは、なかなか言語化できない。忘れたい、考えたくない…と思いながら、いつの間にかファミリー劇場で放映していた『アルプスの少女ハイジ』を、愛しんでいた。毎日、本当に楽しみだった。

このアニメは、人の心が読めるのか?とさえ思う。
Untitledハイジやクララが、はしゃぎすぎていると、見ているこちらはハラハラしてくる。「大丈夫なのかな」と思っていると、このアニメの大人たちは、まるで見すかしたように、2歩も3歩も先読みしたことを言い出す。それがたとえ良くない知らせであっても、ホッとするんですね。
ちゃんと大人たちは、子供たちの何倍も考え抜いてくれている。その場その場で、ベストなことを言ってくれる。ちゃんと、物事がいい方向へ向かうように。
大人というのは、立場でも役割でもなく、「その瞬間の言動」のことなんですね。

ロッテンマイヤーさん、最終回に「この調子なら、アルムの山へ行かれますよ」って言ってくれたものね。それまでは単に、立場的に大人である、というだけの人物だったと思う。


15年ほど前――いまは、すっかり偉くなってしまったアニメ業界の方と知り合った頃、僕は実写映画ばかり見ていた。なので、その方は、アニメの歴史のようなことを、丁寧に語って聞かせてくれた。
いわく、「70年代ぐらいまでは、子供たちのためにアニメ番組を放映するのは、文化的に良いことだ、という風潮があったんですよ。そんなに儲からなくても、アニメを放映するのは子供たちのためだ、と寛容だったんです」。
『ハイジ』はカルピスの一社提供、最高視聴率は25パーセントだった。
(ちなみに、その方は当時から児童文学を読み漁っていて……今年一本、映画館で公開されました)

そう言えば、おととし出た本なんだけど、『アルプスの少女ハイジの世界』(求龍社)。本屋で見かけて、なぜだか「これは買っておかなくては」と思って、いま本棚にある。
スタッフ・インタビューや企画書なども載ってはいるんだけど、カラーページはシンプルな構成で、子供が見ても楽しめると思う。――なんか、そういう本がいいですね。どうせ作るなら。

ファミ劇の『ハイジ』は終わってしまったんだけど、月曜から、また第一話から放映するんですよ。今度こそ一本たりとも見逃さずに、すべて見てやろうと思ってね。
それはようするに、これから辛いことがいっぱい待っているからなんだけど、とにかく嬉しい。アニメってやっぱり、自分の中のいちばん弱い部分を支えてくれる。「ああ、アニメが楽しみだな」と思うときは、たいてい精神的に弱ってます。

(C)2010 BOX! Production Committee
(C)ZUIYO
 

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コメント

「海炭市叙景」大阪では来年1月のシネ・ヌーヴォでの公開が決まりました。プッシュされてる方のお話を色々聞いて、楽しみにしております。
「十三人の刺客」は今月ようやく。残虐シーンがただの見せ物的な羅列に繋がらず、主人公達の行動に理屈抜きのエネルギーを与える演出の意図の的確さ、人を切る刀という武器の「重さ」を存分に意識して感じさせる見事な殺陣。
そして勧善懲悪の安っぽい構図におさまらず、結局どちら側も拠る根っこが同じという武士の哀しさ。戦闘シーン(と言ってしまいますが(笑))の苛烈さにも見応えがたっぷりで、とても面白かったです。
今の日本映画にはホントに多様な表現の幅があってつくづく面白いなあと実感します。
一日一本とはなかなか行きませんが日本映画専門チャンネルなども駆使してとにかくたくさん映画を見たいと思う最近です。最近割と邦画に偏ってる感じはしますが。

>ハイジ
今回リマスター版になってたんですね。惚れ惚れする程の発色の良さが新鮮です。序盤4話録り逃しちゃったので今から録りつつコンプリートしたい所です。
やっぱり思慮深い大人がいるアニメ作品は安心します。ウザイと言って世界観から大人を切ってしまう作品というのは、描くべき大人像というものを作り手が理解出来てない場合がほとんどなんじゃないかと最近気がついてきましたよ

投稿: Miya-P | 2010年11月17日 (水) 21時43分

■Miya-P様
『海炭市叙景』、すごく良いですよ。市井の人々のつつましい生活を描いているんですが、どっしりとした風格があります。サンプルDVDで見たのですが、身じろぎもせずに見入りました。
撮影も、しっとりとした色彩で、すごく綺麗です。

逆に、『十三人の刺客』は、まだ見に行けてません。せっかく昼間に上映してくれてるのに、何だか忙しくなってしまって。

>最近割と邦画に偏ってる感じはしますが。

それはだって、洋画がつまんなくなったからですよ(笑)。洋画でも、落ち着いた人間ドラマは楽しめるんですけど……単に、自分が歳くったせいかな。

>描くべき大人像というものを作り手が理解出来てない

いや、よくぞ言ってくださいました。まったくその通りだと思います。
今も『ハイジ』の3~4話を見ていたのですが、やっぱりおじいさんが素晴らしいですね。優しいだけではなく、孤高の精神を高く持って生きている。どうして一人で山小屋で暮らしているのか、ちゃんと考えてある。
優れた作品というのは、必ず何かを教えてくれますね。

その一方で、若者向けの「アホだよなあ」という娯楽アニメもありつづけるべきだと、ずっと思ってはいるんですけどね。

投稿: 廣田恵介 | 2010年11月18日 (木) 01時41分

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