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2010年11月25日 (木)

■徒労感■

『談話室オヤカタ』の収録に行って来た。今回のテーマは「谷村美月」と「けいおん!!」。配信2回目は『けいおん!!』の話題なのに、池田憲章さんが、とんでもない作品で話をしめくくってくれました。
両方とも、12月配信予定。ご期待ください。


夢じゃないかと思うような夜景を、船の上から2人で見た。

そのまま帰ってしまえば、今夜の思い出が宝石箱にしまわれてしまう。それはイヤだった。安キャバへ寄って、無為な時間をすごし、「なんてひどい一日だったんだろう」と、そんな徒労感に自分を塗り込めたかった。

セクパブを改造した店内には、ジェームス・ディーンのポスターが貼られている。何人かの嬢に聞いてみたが、誰も彼の名前を知らなかった。ぞくぞくするぐらい、嬉しかった。ここは地の果て。『エデンの東』も『理由なき反抗』も、誰も知らない。
「すみません、ウィスキーが切れて、バーボンしかないって言うんですけど……」。おいおい。バーボンはウィスキーだろ。なんて素敵な店に、俺は金を落としていったんだろう。

始発に近い電車で、東京駅へ向かう。皮ジャンを着て、髪を短くした女の人が、どこかのブランドの紙袋を抱いて、眠っていた。少年のような女性が好きだ。

私の人生は「We」じゃない。「I」で十分なのだ。ひとりぼっちが、好きなんだ。


東京都青少年健全育成条例改定案。
以前、ラノベや漫画、アニメの世界で働いてらっしゃる方に、(この改定案にかぎらず)意見をうかがった。
要約すると、「ティーンだった受け手が成人になり、かつてのティーン文化に性的な娯楽価値を見出した(あるいは付与した)。ところが、そこには社会的線引きがなされていなかったので、通過儀礼を経てきた一般人との間に、認識の差ができてしまった。その落差を語る言葉を、お互いが見つけられないから、一般サイドは法で規制しようとする」。

つまり、養老先生の『バカの壁』のように、お互いが共通認識の上に立っていないから、議論も成立しえないのだと、僕は解釈している。
先日の『海月姫』のように、社会と渡り合いたければ、汚いカッコしてないで、身だしなみから始めよう――実はまだ、そんなレベルなんじゃないか?
『ぼくのエリ』の件で、映倫から返事が来たのは、内容証明で質問状を送ったからですよ。匿名で、ネットで陰口たたくレベルじゃ、それは「無視してくれ」と言っているようなものであって。

当改正案を皮肉った、樋口ヒロユキさんのブログ。たいへん気の利いた文章だと思っていたけど、赤字の部分を読んで慄然とした。
マンガやアニメ以前に、本を読め――って、そんなレベルだとは思いたくないのだが。

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コメント

廣田さんがいろいろと頑張ってられた、『ぼくのエリ』。
新潟では、ようやく、シネ・ウインドさんで、(12/11~12/24)に上映です。
夜の回があるなら、見に行こうと思います。
支配人さんに伺ったところでは、残念なことに、フィルムではなく、BDをプロジェクターで投影するとの事です。フイルムが少なくて、フィルムでの上映にこだわると、来年まで回ってこないとか。

このところ、映画も急速にデジタル化が進んでいて、ちょっと残念です。

マイマイ新子も上映してくれたし、まあ、上映していただけるだけ、シネ・ウインドさんに感謝なのですが。

他に、廣田さんが紹介していた「さんかく」は、ついに新潟では上映無しでした。
DVDをレンタルして見ちゃいました。

投稿: 鷲 | 2010年11月25日 (木) 14時12分

■鷲さま
シネ・ウインドさんは、僕が配給会社や映倫と話しているのを知った上で、上映してくださるんです。
新潟まで見に行けない私が「くださる」というのも変ですが、表現規制についても、最初から興味をお持ちのようでした。

>残念なことに、フィルムではなく、BDをプロジェクターで投影するとの事です。

だとしたら、シネカリではなく、デジタル的なモザイクになっているかも知れません。
もし見られたら、感想きかせてください(モザイクではなく、映画の・笑)。私も、東京のキネカ大森で、もう一度みてきます。

>他に、廣田さんが紹介していた「さんかく」は、ついに新潟では上映無しでした。

思ったほど、東京での興収が良くなかったそうなので、それが響いたのかも知れません。
『さんかく』なんて、100席ぐらいの映画館で上映するのに、まさにピッタリなのに……。

投稿: 廣田恵介 | 2010年11月25日 (木) 18時11分

「キネカ大森」さん検索してみましたら、「氷雪の門」とか「クロッシング」など、やっぱりシネ・ウインドさんと同じような映画を上映しているんだなと思いました。
「氷雪の門」もデジタル上映だったのですが、メディアがDVとのことで、画質は..でした。

『ぼくのエリ』「キネカ大森」さんも、デジタル上映のようですね。

『さんかく』実は、新潟県内では、「十日町シネマパラダイス」さんで上映していたようなんですが、片道100km以上あるので、くじけました。

投稿: 鷲 | 2010年11月26日 (金) 12時37分

■鷲さま
十日町シネマパラダイスって、『おにいちゃんのハナビ』上映してるじゃないですか。やっぱり、これぐらいの予算規模の邦画が、いちばん面白いですよ。
グーグルMAPで見たら、確かに新潟市街からは、絶望的に遠いですね……。

>『ぼくのエリ』「キネカ大森」さんも、デジタル上映のようですね。

公式サイトを見ましたが、やけにデジタル上映が多いですね。
これは単に、映画館の設備とかオペレーションの問題という気がします。画質ばかりは、見てみないと何とも言えませんね。

『ぼくのエリ』は、最初に銀座で上映したとき、すでにフィルムが痛んでいました。数少ないプリントをバトンリレーしているので、やむを得ないと思います。

投稿: 廣田恵介 | 2010年11月26日 (金) 13時02分

>十日町シネマパラダイスって、『おにいちゃんのハナビ』上映してるじゃないですか。

そうですね、今日までみたいですね。
あと、Tジョイ長岡では、まだ上映しているみたいです。

新潟県内が舞台ですし、長岡や十日町は、片貝のすぐ隣ですから、超地元です。
マイマイ新子を防府で上映するのと、同じようなものです。

新潟県内が舞台だったので、新潟ではシネコンで舞台挨拶があったりしました。
残念ながら、予告編しか見なかったんですが。

配給元がフイルム代をケチって、あまりプリントを作らなくなったようです。
シネコンで入れている4Kプロジェクターあたりですと、かなり良い画質ですが、とてもニミシアターで買えるような額ではないみたい。
ミニシアターで導入できるような価格のプロジェクターですと、まだまだ、フィルムの方が画質が良いです。

投稿: 鷲 | 2010年11月26日 (金) 13時32分

■鷲さま
そうそう、『おにいちゃんのハナビ』は片貝町の話でしたね。
全国でフィルム・コミッションが活性化してから、ご当地映画が増えましたね。そうなると、東京での入りは、あまり関係なくなってくるんでしょうか(『おにいちゃんのハナビ』は東京・立川では空いてました)。
『新子』だって、最初の頃は3分の2が山口県の観客でしたもんね。

ご当地映画だと、北海道・常呂町を舞台にした『シムソンズ』なんて、好きですけどね。

>配給元がフイルム代をケチって、あまりプリントを作らなくなったようです。

確かに、プリント代は高いですけどね……。輸送も大変だし、技師が必要だし。

>ミニシアターで導入できるような価格のプロジェクターですと、まだまだ、フィルムの方が画質が良いです。

なるほど、そういうことですか。単純に「DLPなら、画質いいんじゃないの?」と思っておりました。プロジェクター=DLPではありませんからね。

投稿: 廣田恵介 | 2010年11月26日 (金) 16時15分

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