« ■報告いろいろ■ | トップページ | ■眉山山頂秋フェスタ■ »

2010年10月 8日 (金)

■映倫は、登場人物の自由をさえ、もぎとる■

いよいよ、徳島でのイベント「眉山山頂秋フェスタ×マチ★アソビ」の開催が、明日に迫りま0801した。
「アニメ評論家徹底トーク! アニメ業界ここだけの話 アニメ語り ここまで話すと気持ちイイ」は、10日(日)の14:15~開催です。

友人が自分用に作成した、スマートフォン対応の非公式タイムテーブルが、細かくカテゴリ別けされていて、便利かも→こちら

では、眉山山頂でお会いしましょう!


映画『ぼくのエリ』表現規制について。
全興連から、3度目の回答が来ましたが、あまりに実務的なので、載せる必要はないでしょう。向こうも面倒になったのか、事務局長の名前を外してきました。全興連は映倫の下部組織ですから、まあこんなとこでしょう。

その映倫への質問状ですが、回答期限まで、あと一週間となりました。このままバッくれた場合、プランBが発動しますので、映倫の先生方、よろしくお願いします。


私が問題にしているのは、『ぼくのエリ』のスクラッチ(引っかき傷)に代表される、過剰な自主規制の押しつけです。全国で公開される映画が、たった5人の審査委員の独断のみで平然と傷つけられ、観客の「見る権利」が侵されている。

「北米版のDVDを買えば、ノーカットで見られる」ことは解決策ではない。「日本で戦争が起Bokueli_sub1_large_2 きたら、海外へ逃げればいい」と言っているのと、同じこと。
これは、個人の自由であると同時に、国家の品位の問題なんです。

繰り返しになるが、『ぼくのエリ』で、エリの股間(手術跡があるだけで、性器は映っていない)を隠したのは、世界中で日本のみである。
この体たらくでは、「日本は表現の自由もない、頑迷固陋な規制国家」と指さされても、言い訳できない。『ぼくのエリ』を後援しているはずのスウェーデン大使館、全国の映画館の加入している全興連が役立たずである以上、映倫に抗議できるのは、窓口で入場料金を払った観客のみだ。


これから書くことは、いわば傍系的動機、私的な憤りです。

『ぼくのエリ』の「ヒロイン」であるエリは、吸血鬼であるがために、昼間は外へ出られません。また、人間の生き血を飲まないと生きていかれないので、罪のない人を殺さざるを得ない。つまり、エリは、「自然」と「社会」から拒絶されたマイノリティです。

その一方、エリは200年以上も生きており、老いや死から解放されています。
また、原作を読めば分かりますが、「彼女」はかつて少年でした。しかし、男性器を切り落とされたため、少年ではなくなりました。かといって少女でもない。しかし、少女として振舞う自由を「彼」は手に入れたわけです。

エリは、自然や社会からは忌避された存在ですが、心の中は女でも男でもない。性差にとらわれない自由さが、エリの旺盛な生命力のみなもとです。
男でも女でもないからこそ、主人公のオスカーと、恋愛や友情をも越えた、深い命の絆を結ぶことが出来たのです。
そんなエリの自由の証が、映画では「股間に残った手術跡」が映るワンカットだったはずです。
その自由のシンボルを、わが国の検閲機関は、醜く塗りつぶして、「性の自由などない」ことにしたのです。こうして書いていても、胸をえぐられる気分です。
映倫は、映画の自由だけではなく、登場人物の自由をさえ、もぎとっていく。

――このような個人への抑圧を、「そういう時流だから」程度の理由で、軽率に行っていることが、また許しがたいのです。


今さらですが、『戦場のピアニスト』を見ました。ドイツ兵は、ユダヤ人を殴るとき、いちいち理由を言いませんね。映倫も、フィルムに傷をつけるとき、何の説明もしません。

(C)EFTI_Hoyte van Hoytemahttp://pia-eigaseikatsu.jp/piaphoto/title/240/154212_1.jpg

|

« ■報告いろいろ■ | トップページ | ■眉山山頂秋フェスタ■ »

コメント

 ご無沙汰しております。かけつけるめどがつきましたので、眉山でのトークを楽しみにしております。アニメの話をはじめ、最近の映倫関係の話も興味を持って読ませていただいているので、その話も楽しみです。もし、都合がつけばゆっくりお話でも。
 9日は徳島在住の先輩とうどんをすすりにいくことになりそうです。

投稿: 地元記者(ナ) | 2010年10月 8日 (金) 15時55分

■地元記者(ナ) 様
来てくださるんですか、ありがとうございます。ひょっとして、阿佐ヶ谷の泥酔の朝以来ですね。

壇上では、アニメの話をします。映倫の話は、出ないと思います。
トークが終わって、ばらけてから、いろいろ話しましょう。
私は、明日の夜到着、月曜昼過ぎに帰ります。

投稿: 廣田恵介 | 2010年10月 8日 (金) 19時47分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■映倫は、登場人物の自由をさえ、もぎとる■:

« ■報告いろいろ■ | トップページ | ■眉山山頂秋フェスタ■ »