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2010年10月28日 (木)

■『ギャラクティカ』完結祭■

『ギャラクティカ』完結祭、最終回のエンドクレジットで、会場内から大拍手。誰も拍手しなかったら、自分だけでも……と思っていたので、嬉しかった。
101027_18270001(←開場前、プレス席より)

でもこのドラマ、「今北産業」式に理解したがる日本人に受けなかったのも、何となく分かるんだよね。
何しろ、主人公格のアダマ艦長が、「かなりしばしば、判断を誤る」からね。息子のイケメン、アポロだって、実はかなりイヤなやつだしね。だって、宿敵サイロンを大量虐殺できる名案を思いついたとき、「ふふっ、ふふふふっ」と笑い出すんですよ? しかも、その虐殺作戦を阻止するのがアダマ艦長の優秀な部下、アガソン中尉。なのに、作戦を妨害したアガソン中尉を、アダマ艦長は罰しない。

シーズン3になると、視聴者の「このままでいいのかな?」というモヤモヤを、アポロが代弁するんですよ。「僕らが過ちに寛容なのは、もはや文化国家ではないからだ。ただ生き延びるのに必死なギャングだからだ!」……ね? イヤなドラマでしょ。だって、「人類vsサイロン」というSFドラマの体裁だったら、まず人類側を肯定するんだけれど、人類、愚劣すぎるもん(笑)。
ドラッグも出てくるし、子供を人身売買する闇市場も出てくるけど、とりあえず肯定せざるを得ないわけ。人類、度しがたし!

自分の知っている範囲、気持ちいい範囲の中だけのフィクションに耽溺したい人間にとっては、すごく面倒で厄介なドラマなんですよ。反面、「俺は間違っているのかも知れない」「世の中には、俺の知らない価値観がいっぱいあるらしい」と思っている人なら、必見。

「あ、俺、ちょっと賢くなったかも知れん」という快感、向上心が満たされる喜びを知っている人は、必ずその前に「自分はバカかも知れない」という劣等感を味わっているはずですね。
「俺は、世の中のことに無知すぎる」と劣等感を抱かせてくれたのが、この『ギャラクティカ』。いやー、バカでよかった。少なくとも、俺はバカでなければ、この作品に出会えなかったから。

あとね。『ギャラクティカ』については、すごく大事なことがある。僕はバカだから悩んだけど、製作者(兼・脚本家)は賢いのに悩んだ、ということです。その苦労のあとが胸をえぐるから、拍手せざるを得なかった。


『ギャラクティカ』上映前、原宿に寄って、「JOMO-T展」に行ってきた。原 健一郎さんの作品は、一101027_15470001 発で分かった。ポップなんだけど、原初的なパワーにあふれていて、本気感が伝わってくる。
そして、場内すぐ左側の年表を見て唖然。縄文時代の長いこと、長いこと。古代ローマなんかより、ずーっと前に、1万年もつづいていた。ホントに俺は、何も知らねえな…と思ったけど、そのスケールの大きさに、素直に感激もした。

呆然としたまま、キディランドに向かったら、キャットストリートで二階建ての小型店舗として生まれ変わっていた。
101027_16470001この界隈は、どうかすると、20代のころに見ていた夢のような趣があって、こんな夕暮れどきに歩いていると、うっかり気が遠くなる。
北海道を旅行したとき、宗谷本線の車窓から、小高い丘をのぼる長い長い階段が見えた。あの階段の向こうはどうなっているのかな、と思ったら、何だか風景から現実味が遠のいていった。

キディランドの外では、両手にぬいぐるみを持ったお姉さんが、笑顔でお客さんに話しかけていた。「ああ、いい仕事をなさっているなあ」とうらやましくなった。

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コメント

廣田さま

完結祭に参加されたんですね!
いいなぁ~^^
自分はこのドラマ、絶対に流行るだろ!流行らなきゃおかしいだろ!と常々思い続けてきたのですが、廣田さんの今日のエントリーを読むと「これは流行らんな」と(苦笑)
あまりに熱中しすぎた挙句、周囲が見えなくなっていました・・・恥ずかしい・・・
それでも、最後までこのドラマを見届けたことを、誇りに思う。(アダマ艦長風)

そういえば、メビウスのギャラクティカは、いつ僕の手元に届くのでしょう^^;
9月発売がひたすら延期延期・・・
廣田さん、何かご存知ですか??

投稿: かまタロウ | 2010年10月29日 (金) 00時22分

■かまタロウ様
流行りませんよねえ。まず、9.11への「反省」からスタートしてるんですけど、今の人たちって事物を単純化したがるので、「お説教」ととられちゃうんじゃないでしょうか。

人類を愚かに描いたとしても、その価値や誇りは、ぎりぎり救っているはずなんですよ。その「境界線の揺らぎ」が、ノイズに見えるんじゃないでしょうか。
ハリウッド映画は遊園地のアトラクションになっちゃいましたけど、アメリカ映画って、決してそればかりではないはずなのにね……。

ちなみに、今回は「上映イベント」なので、映倫は関係なかったはずです(笑)

>メビウスのギャラクティカ

えっ、7月発売じゃないんですか! 買っても作れないので、忘れてました(笑)
私にはキットの情報はないですが、まだスピンオフがつくられる(第一次サイロン戦争を舞台に、"ハスカー"の活躍を描くらしい)ので、いずれ発売されるでしょう。
あと、映画化の企画もあるみたいですよ。

投稿: 廣田恵介 | 2010年10月29日 (金) 06時43分

廣田さま

>えっ、7月発売じゃないんですか! 

僕は当初9月頃と聞いて予約したんですが、毎月月末になると延期のお知らせが来るんですよ~
まぁバイパーも塗装を残すのみで全然完成していないので、もうちょっと先でもいいですけど^^;

>映画化の企画もあるみたいですよ。

素晴らしい情報をありがとうございます。
楽しみ半面、グダグダにならないかちょっと心配でもあります・・・
まさか全シーズンを3時間のダイジェスト版にまとめあげて、サイロンを諸悪の根源にしてボッコボコ。そしてすぐに見つかる地球・・・(苦笑)
でも・・・これなら日本でも大ヒット御礼かも?

投稿: かまタロウ | 2010年10月31日 (日) 22時37分

■かまタロウ様
>まさか全シーズンを3時間のダイジェスト版にまとめあげて、サイロンを諸悪の根源にしてボッコボコ。そしてすぐに見つかる地球・・・(苦笑)

本当に、そうでもしないと日本ではヒットしない気がしますね(笑)
この日記では、あえて露悪的に「イヤなドラマ」と書きましたが、そうとすら受け取ってもらえないのではないか、という徒労感を感じています。

なんとなく適度にパニックがあって、適度に愛があって、適度に3Dで(笑)、それで世界で一番高い入場料を払って満足している日本人。そんなんじゃ、『ギャラクティカ』に追いつけない。せっかくDVD出てるのに、なんて勿体ないんだろうと思います。

投稿: 廣田恵介 | 2010年10月31日 (日) 23時12分

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