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2010年10月25日 (月)

■憂鬱な月曜日■

『ぼくのエリ 200歳の少女』の件。
ショウゲートさんと、電話でお話させていただいた。あいかわらず誠実な対応で、これ以上は、ご迷惑をおかけするわけにはいかない……。
映倫からの回答書を読んでいただけただけで、ありがたいと思っています。
出版業界の方から「いっそ、この件を雑誌に書いてみてはどうか」とのお誘いも受けたが、今のところは、飽くまでも観客のままでいたい。記事にするのは、もう最後の手段だと思うので。

この週末から、『マイマイ新子』の巡回ポスターを貼ってくださった川越スカラ座さんで『ぼくLettherightonein1942_2 のエリ』が上映される。関東で見られるのは、これが最後のチャンスになりそうだ。→上映予定
映倫指示のモザイク(スクラッチ)、この目に、しかと刻みに行くか。
無論、初見のかたには表現規制など気にせず、一本の映画として堪能していただきたいと思っている。モザイクは問題視してほしいけど、本当に見てほしいのは映画の中身なんだよなあ……。


僕がこの件で目指しているのは、『ぼくのエリ』無修正版の国内上映です。
しかし、モザイクを外したがために、観客はグロテスクな手術痕を見せられることになる。「見たくなかった」「知りたくなかった」という人も、出てくるでしょう。むしろ「これこそ倫理に反する」と怒りだす人もいるかも知れない。しかし、それが自由の代償だと思います。

先日、初音ミクの『メルト』が嫌われている件を取り上げましたが、作品を公にした以上、「苦手だ」「キモい」という人が出てきても当然だと思います。表現の自由を守る、とは「あらゆる批判を許す」ことでもあります。

10年ぐらい前、ある友人がコミケの帰りに、「○○のエロ同人誌があった。正直、吐き気がした」と電話してきました。僕も本の内容を聞いて「確かに、気持ち悪い」と言いましたが、「でも、俺たちがどんなに嫌悪感をおぼえても、存在そのものを否定しちゃいかんよ」と、友人は穏やかに言いました。
いまこそ、彼の言葉を噛んで含めたいと思います。僕らは抑圧されるだけではなく、いつでも抑圧する側になれてしまう。そして、どっちが悪でも、どっちが善でもない。善悪で割り切れるような、そんな単純な時代を、僕らは生きていない。

せめて、迷いながら、疑いながらも、足を止めないことかな……。しんどいけど。


まったく関係ない話題ですが、あの怪作アニメ『TAMALA 2010 a punkcat in space』が、N518yd3m4ejl__sl500_aa300__2 HK総合テレビで復活していた(「マチ★アソビ」に行ったとき、徳島空港で見た)。

このアニメを一人で映画館へ見にいったときは、本当に怖かった。「悪夢のような」という紋きり表現がピッタリ。NHKでやった方も、かなり怖そうなストーリー。
でも、こういうはぐれ者というか、崖っぷちにいるような作品には、心がひかれる。

(C)EFTI_Hoyte van Hoytema
(C)2000-2008 Kinetique inc.All rights reserved.
(C)2000-2008 Kinetique inc.All rights reserved.(C)2000-2008 Kinetique inc.All rights reserved.http://pia-eigaseikatsu.jp/piaphoto/title/240/154212_1.jpg

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コメント

廣田さま

こんばんは。
「ぼくのエリ」は未見なので、コメは控えておりましたが、

>善悪で割り切れるような、そんな単純な時代を、僕らは生きていない。

この文章を見て、ふとギャラクティカを思い起こしました。
まさに、今はそういう時代なんですよね。

児ポ問題で表現の自由を法的に規制するのは恐ろしいことです。
僕は規制する側と、自由を主張する側が対等な立場でせめぎ合い、均衡を保つような状態が望ましいように思いますが。。。

>僕らは抑圧されるだけではなく、いつでも抑圧する側になれてしまう

自分、映倫のことなぞ歯牙にもかけずにいたのですが、廣田さんのご意見を読み、自分なりに調べた結果、これは大変不気味なことになっていますね。
すっかり慣らされていました(怖)
何故、彼らに映画を裁く資格があるのか?全く解せません。
以前の素人映画評論の話題も然りですが、自分が神の如く振舞うことに何の疑問も感じない方がなんと多いことか・・・
何を発言するにせよ、まずは自分の棚卸をし、己が何者であるか確認した方が良さそうです。

投稿: かまタロウ | 2010年10月26日 (火) 01時06分

TAMALA は知りませんが、この絵から
Happy Tree Friendsを思い出しました。。(ご存知ですか?)
芸術系(とあえて書く必要もないですが)の友人がプレゼントしてくれ、
何も知らずに観たら衝撃でした。。。
(が、目をそむけながらも、こどもたちの危険予知訓練が出来ると思ってしまった私です。)

「ぼくのエリ」は東京/大森もありますね。
まだ上映館が増えそうな?
少ない本数で回ってるんでしょうね。

投稿: kyasリン | 2010年10月26日 (火) 02時09分

■かまタロウ様
映倫を支えている構造が、どうにも見えてこないんですよね。裏情報は聞いたのですが、あくまで「裏」ですので、僕は正面から切り込みたいと思っています。

では、「打倒・映倫」でいいのかというと、そんな単純なものではないな…と思いはじめたのです。

>以前の素人映画評論の話題も然りですが、自分が神の如く振舞うことに何の疑問も感じない方がなんと多いことか・・・

うっかりすると、自分がそうなっているし、そう受け取られてしまいますよね。特に、ネットの世界では。
ですから、何をどう言われても仕方がないぐらいの覚悟でいないと、何も発言できませんね。しかし、それが健全な状態であるかどうかは別です。みんな、白か黒か、性急に決めがちですから。

だから、すごく難しいんです。
『ギャラクティカ』が日本でブレイクしなかった理由も、何となく分かる気がします。何が正しいのか、簡単に決めないドラマでしたからね。

■kyasリン様
『Happy Tree Friends』、検索して見てみましたよ……朝から、すごいものを見てしまいました。

>目をそむけながらも、こどもたちの危険予知訓練が出来ると思ってしまった

分かります。こういう「毒」を隠してしまうというのは、どうも違うような気がします。同じぐらい「薬」も必要だと思いますが……

>「ぼくのエリ」は東京/大森もありますね。

キネカ大森、見落としてました。あと、新潟のシネ・ウィンドさんも決まりましたね。

どうかすると、僕は上映する映画館さんをも敵視していました。ミニシアターを経営されている方なら、それぞれお考えもあるだろうと信じます。

投稿: 廣田恵介 | 2010年10月26日 (火) 12時04分

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